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ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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逃げない生き方

歴史的勝利があれば,その陰には必ず歴史的敗者がいるのだな,と思った昨日の全豪オープン準決勝。しかし,その日の‘post match conference’に臨んだロディックは,とても立派だったようだ。

見るのがつらいほどだった試合の後で,一体何を聞くの,どうして追い討ちをかけるの,と思うのだがジャーナリストという人たちは,ある意味勇気のある人種である。「試合がああいう風に終わって,今ここにいるのはどんな気持ち?」なんて……そりゃぁ,本音を言えば聞いてみたいけど,とても口に出せないね。
 ロディックの答えは“It was frustrating. You know, it was miserable. It sucked. It was terrible. Besides that, it was fine.”。frustratingはともかく,miserable,suckが出てくるというのはつらい。それでも「ほかはよかった」と冗談(?)が言える彼に感心する。

面白かった,というより読んで嬉しかったのは,記者の「この記者会見に出ないためだったら,いくらくらい払ってもよいと思いますか?」という質問に対する答え。“That's about the best question that's been asked. ”と軽口を叩きながら,

“Well, I mean, I can't really say an amount because I would have gotten fined, what, 20 grand. Obviously, it would have to be less than that, right, if we're thinking logically? It really wouldn't be about the money; it would be about running away and not facing it.
 I would pay a lot of money if everyone would just make up stuff that I said and pretend like I was actually here. That would be fine. My dad didn't raise me to run away from it, so here I am.

お金の問題ではなく,「父は僕を(物事から)逃げるようには育てなかった,だからここにいるのさ」という言葉。ちょっと感動した。ロディックという人がとても好きになった。

何万人という観衆の前で,また全世界がテレビやインターネットを通じ固唾を呑んで見守る中で,悪夢のような負け方をしたのである(サフィンやヒューイットは,彼に比べればもう少しマシな負け方をしたときに記者会見をスキップしてすさまじい額の罰金を支払ったことがある)。大恥をかいたわけだし,悔しいというよりは情けなかったに違いない。まだ24歳。人前で泣いたとしても誰も責めなかっただろうと思う。

しかしロディックは会見から逃げなかった。いつものように意地悪な質問が飛び交うことがわかっていても。あの大きな大きなアメリカという国で,何千何万というテニス選手志望者を退けてNo. 1になっただけのことはある。力や身体能力に優れているだけではない,選ばれし者のプライドを見た。

ATPの罰金はべらぼうだと思うものの,こういうコメントを引き出して若い人,子供たちの生き方に光を与えてくれるのであれば,記者会見には罰金分の意義がちゃんとある,というものだ。
 今後,自分の子も試験に落ちたり競争に負けたり,逃げ出したくなるときがきっとあるだろう。そのときに思い出してもらいたい,昨日のロディックのこと。

ちなみに,試合直後,コーチのジミー・コナーズは何と言ったんですか?という質問に対する答えは,「ビールをくれたよ」。
 コナーズもちゃんとわかってるね。
by slycat | 2007-01-26 11:20 | テニス
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