ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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餃子あれこれ

CO-OPなどで売られていた冷凍餃子に殺虫剤が混入しており、食べた人が入院した、というニュースをテレビで見た。安全だと信じて買ったのに中毒を起こすとは、賞味・消費期限の不正表示どころの話ではなく、被害に遭った人は本当に災難だったと思う。価格を抑えるには海外で生産するしかないのだろうが、なぜこのようなことが起こったのか、ぜひ知りたい。

ところで、このニュースを見ていて気づいたのだが、餃子の表記が「ギョーザ」だったということだ。「ギョウザ」だと思っていたので、少々意外だった。
 へぇ〜と思いながらテレビを見ていると、息子がポロッと「餃子くらい家で作ればいいのに……」と言う。我が家では、冷凍餃子を食べるのは私くらいで、帰宅が遅くなったときに自分の分だけ買ってビールを飲みながら食べる、というのが定番だ。
 夫は市販の餃子に使われているニラやガーリックが嫌いで食べないし、息子も「化学調味料が入っているからイヤだ」と宣言している。したがって、我が家の餃子は一応いつも手作りである。ニラの代わりにピーマンを入れたりする。
 一応、と断ったのは皮を作らないからで、これは面倒なので買ってくる。作るのは中身だけ。だから「今夜は餃子にしよう!」という日は手抜きをしたいときであり、高1の息子自身、夏休みなどは自分でパパッと作って昼食にしている。

餃子の皮から作っていたのは、実家の父親である。土日の夕食に腕を振るった。実家で出される餃子は、100%水餃子と決まっていた。
 実家の餃子は、中身は平凡で豚挽肉に白菜、ネギだったが、とにかく皮が分厚い。また、サイズも馬鹿でかかった。見た目はちょうど、イタリアのカルツォーネみたいな感じである。何十個も作って酢醤油で食べた。餃子の日は、ほかには何もなし。ひたすら餃子を食べまくる夕食だった。

結婚してから一度だけ、自分の知っている「餃子」を再現したことがあるが、夫に「これは餃子じゃない!」とただちに拒否された。皮が厚過ぎて、小麦粉だけで腹いっぱいになると嫌がった。
 夫の実家では焼き餃子が定番だったそうだ。ニラが嫌いな夫のためにみじん切りのピーマンを入れることを思いついたのは、夫の母である。なかなか美味しいもので、ピーマン嫌いの子供でも気づかずに食べられそうだ。

たまに外食のとき、水餃子を注文してみることがある。実家で作っていたようなゴツイものが出てきたことはない。あれはどこの餃子がモデルなのだろう。ただ単に、皮を薄く伸ばすのが手間だったからああなったのだろうか。一度親に聞いてみようと思いながら、何十年も聞きそびれている。
 
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by slycat | 2008-01-31 00:59 | 日常のこと

プーの受難

毎晩走り回っているモルモットのプーちゃんだが、彼には我が家にやって来た頃からいろいろと心配事があった。

初めてプーちゃんを抱っこしたときに気づいたのは、ヒゲが短い、ということである。それも、まるで誰かにハサミで切られたかのようにプッツリと。赤ん坊のとき、店の人にでも切られたのだろうか……? 非常に気になったが、今ではヒゲも生え揃った。ヒゲは生き物にとっては大事なセンサーであるので、プーちゃんにとってはおびえる原因のひとつであったことと思う。

また、プーちゃんは身体の大部分が白いため、汚れるととても目立った。息子がペットショップで彼を買って来てから、「ゴンゾウ」と名づけた黒いモルモットと同じケージで暮らしていたが、黒いゴンちゃんは目立たないのにプーちゃんはどんどん薄汚れていく。
 モルモットはハムスターなどと比べると物凄く大量の水を飲む。ハムスターならば糖尿病を疑うところだが、モルモットでは当たり前のことだそうだ。たくさん飲むのでたくさん出る。モルモットにはトイレという概念がないらしく、しかも自分が排泄したものの上でも平気で寝てしまう動物なので、特にお腹の汚れが著しかった。
 大量に排泄する動物が狭いケージで同居していれば、ますます汚れるのは当然なので、別居させることにした。新しいケージを買い、入居させる前にプーちゃんを洗った(YouTubeに動画が投稿されていたので参考にした)。ただでさえびびり屋のプーちゃんを洗うことにはためらいもあったのだが、洗ってみるとすすぎの湯がかなり汚かったので、洗ったこと自体は間違っていなかったと思う。しかも、別居させたその日にゴンちゃんはこの世を去ってしまったので、病気予防の面からも、洗ったことは後から正当化された。
 洗ったとき、プーちゃんは完全に硬直してしまい、鳴きもせず暴れもしなかった。あまりにも哀れで、よーくタオルで拭き、ドライヤーで丹念に乾かし、好物の三つ葉を与えて慰めた。

独りになったプーちゃんを引き取り、毎日観察していたら、さらに心配事が発見された。プーちゃんは、しょっちゅう痙攣しては、仰向けにひっくり返るのである。以前、神経障害で転ぶハムスターを看病したことがあるので、物凄く気になった。
 モルモットは人間と同様、体内でビタミンCを作ることができないため、モルモット・フードには必ずビタミンCが添加されている。ビタミンCが不足すると、脚が悪くなることがあるというので、ひょっとしてビタミンが足りないのかと思い注意して生野菜を多めに与えるが、痙攣は治らない。

極めつけは、掃除の際に抱っこしてプーちゃんをしげしげと眺めてみたら、左目の下瞼あたりに目やにらしき塊がこびりついており、鼻の付近にも「鼻クソ」のようなものがくっついている。1日中暖房を入れているのに風邪を引いたのだろうか。もはや一刻の猶予もない。病院に連れて行かなければ。

ところが、モルモットを診られる動物病院は少ないのである。最初は、ウサギのウーさんがお世話になっている病院に連れて行ったのだが、「モルモットは診ていません」と診療拒否された。ウサギとハムスターは診られるのにモルモットが駄目だとは予想していなかったので驚いた。
 そこで、以前は随分お世話になっていたのに、しばらく足が遠のいていた病院に予約を入れた。月曜日の午前中に診てもらえることになったので、早速受診した。
 先生に聞いたところでは、モルモットのために北海道や新潟からも受診する人がいるという。当日も、プーちゃんのすぐ後の予約は、静岡から来た飼い主さんで、新幹線に乗りはるばるやって来たそうだ。

早速診ていただくと、プーちゃんはまだ小さいのだということがわかった。体重わずか40グラムのハムスターを見慣れているもので、「モルモット、でかっ」と思っていたのだが、プーちゃんはまだまだ幼いのだった(ちなみに現在500グラム)。
 爪が伸びていたらしく、助手の人が手際よく切ってくれた。そのうち、足の爪の1本を深爪して血が出たので「何すんねん!」と驚いたが、これは深爪というより採血だったらしい(先にひと言、言ってくれればいいのに……)。顕微鏡で調べてくれた。
 プーちゃんはおとなしいので、抱っこされてもじっとしており鳴きもしなかったが、ときどきブルブルッと身体を震わせた。先生が「痒がっている」と言う。皮膚も調べてもらうと、何とハジラミの卵が発見された。シラミと聞いて卒倒しそうなくらい驚いたが、それだけではなかった。

同居していたゴンちゃんの突然死について報告すると、先生の顔が曇った。「疥癬かもしれないわね。突然死ぬことがあるんですよ」。頭が真っ白になる。カイセン、カイセンって何だっけ、昔どこかで聞いたことがあるような……。後で思い出したが、ダニの一種だった。皮膚の下に潜んで宿主を苦しめるアレである。
 最初は、「今日全身の状態を診て、後日薬を使いましょう」ということだったが、プーちゃんの痙攣が頻繁だったため、通常の半分の量を投与することになった。疥癬そのものも怖いが、薬でアナフィラキシー・ショックを起こし、死ぬこともあるという。しかしほかに選択肢があるわけではなし、腹を括るしかない。首の後ろのところに、ちょちょっと薬が落とされた。

シラミにしても疥癬にしても、ペットショップにいるときに貰ったもので、モルモットではよくあることだそうである。同じげっ歯目なのに、ハムスターでは経験しなかった病名がいろいろ出て来て、飼い主のショックは限界に達しつつあった。
 プーちゃんの口をチェックしていた先生が、ダメ押しのように言う。「あぁ、この子、口が狭い! 不正咬合になりやすいんですよ」。よく写真で見るモルモットに比べてプーちゃんは細面だなぁと思っていたのだが、口も小さかったのだった。
 いろいろとショックが重なりグッタリしていた飼い主だったが、不正咬合については牧草をたっぷり与えることで予防できるそうだ。これだけはやや希望が残された。

その後、餌は体重の8%程度与えること(体重が1,000グラム程度までに成長したら、6%でよい)、好きだからといって野菜をたくさん与えるとお腹がいっぱいになってしまいペレットを食べなくなって栄養不足になるので、ほどほどにすること、足がしっかりしてきたらペットシーツは取り払ってすのこ(「うさぎの休足マット」タイプのもの)を置くこと、などのアドバイスをいただいた。また身体を洗うのは問題ないということもわかった。血液、心音その他は問題なし。3週間後に再び受診するため予約を入れて、病院を後にした。

家に帰って調べてみたら、我が家は恵まれた地域にあり、モルモットを診てくれる病院は数カ所見つかった。受診した病院も電車で10分程度のところなので非常に便利である。しかもエキゾチック・アニマル専門医。遠いところから通う人の苦労を思えば、夢のようだ。
 しかし私の怒りは収まらない。シラミやダニに注意せず、診てくれる獣医もいないのに「よく馴れて可愛いですよ〜」と無責任にモルモットを売るペットショップに対して。そういう店にモルモットを卸すブリーダーに対して。いざ自分のペットが病気になって受診させようとしたときに、受け入れてくれる獣医がいない日本の状況に対して。そして、激烈な痒みに苦しんで掻こうとしているプーちゃんを見て、すぐにダニと気づかない自分自身に対して。

薬が効いてくれれば、プーちゃんに巣食っているダニ・シラミは死に絶え、プーちゃんは苦しみから解放される。1日が経過してみて、気のせいかだいぶひっくり返らなくなったようだ。何かの縁で我が家にやって来たプーちゃんが幸せに寿命を全うしてくれること、それが一番の願いである。

それにしても、ペットを飼うのって乳幼児を育てるのにそっくりである。息子が生まれたばかりの頃は、授乳におむつに夜中の救急外来と、大変だったなぁ。親も子も新米で、何もかもわからないことだらけだった。
 しかし、ヒトというのは誰かの世話をしたいと望む生き物であるらしい。手がかかる子ほど可愛く、面倒であればあるほどいじらしいと感じる。

しばらくはプーちゃんに振り回されそうだ。あれほど手がかかると思っていたハムスターたち、実は全然手がかからないのだということがわかったのも収穫(もちろん、手がかからないからと言って可愛くないわけではない。親孝行だということが判明したのである)。みんな、これからもよろしくね。

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by slycat | 2008-01-30 00:34 | モルモット

全豪オープン:ジョコビッチ初優勝!

Australian Open 2008 FINAL
N. Djokovic d. J.-W. Tsonga 4-6 6-4 6-3 7-6 (7-2)

今日は大相撲初場所のほうも千秋楽。横綱同士の対決が素晴らしい熱戦で見応えのあるものとなった。横綱2人は仕切のときから意地のぶつかり合いが物凄く、時間前から客席にどよめきが走っていた。結果は白鵬の勝利となり、(独走ぶりが)常々フェデラーみたい、と思っていた朝青龍が敗れて、ああ極東の地でも世代交代は止められないのか、などと感じた。

フェデラーもサフィンもヒューイットもいない。全豪決勝の舞台に上ったのは、20歳のジョコビッチと22歳のツォンガ。この組み合わせを大会前に予想できた人は1人もいないと思う。勝負の行方もさっぱりわからない。
 若いとはいえ相撲に喩えればジョコビッチはいまや大関、今年は横綱昇進を狙う位置にいるので、決勝進出は驚くにはあたらないかもしれない。
 片やツォンガのほうは、新入幕でいきなり優勝争いに絡んできた豪栄道みたい。横綱・大関相手に全く緊張しないという度胸のよさは、活躍の場こそ違え、世代に共通する特徴なのかも。
 2人はそれぞれ準決勝でNo. 1、No. 2を退けた。無敵と思えたフェデラーが負け、そのフェデラーを常に脅かしてきたナダルが負けたという事実が、今年のテニス・シーンで起こりうる「革命」を予感させる。

【第1セット】
ツォンガのサーブで始まる。最初はツォンガのほうが軽いジョブで相手の力を探っているような印象を受けたが、ジョコビッチにブレイクされると、すかさずブレイクバック。少なくとも技術はジョコビッチが上回ると思っていたのだが、小手先だけでは勝てそうもない。お互いサーブがいい上に、思い切って叩いていく。戦いは五分五分の様子となった。
 ツォンガ有利かと思い始めたのは、胸のすくサービスエースを連続3本決めてキープした第9ゲーム。そして迎えた第10ゲームではレーザーか、はたまた弾丸か、というリターンの続出。これで最後!とばかりに打ち込むジョコビッチのスマッシュすら返してウィナーにしてしまう。ツォンガが6-4で第1セットを先取し、ジョコビッチは今大会初めてセットを失った。

【第2セット】
微妙にツォンガ有利の雰囲気の中、第2セットが始まる。ジョコビッチにとっては、何だか勝手が違う、という思いだったことだろう。
 型にはまらないツォンガのテニス、過去の誰かを思い出そうとしても難しい。敢えて比べようとすると、どうしても「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と言いたくなる。本当にきれいな足さばきなのである。
 しかしさすがに大関は違う。ツォンガにミスが目立ち始めた第8ゲーム、相手のリズムを崩してジョコビッチがブレイク。客席のご両親が立ち上がって息子を讃える(余談だが、ジョコビッチのお父さんは『ツインピークス』のウインダム・アールに似ている。最近では『リ・ジェネシス』に出演していた俳優さん)。サーブが冴えてきた。このチャンスを生かして、ジョコビッチが第2セットを取る。

【第3セット】
お互いにラブ・ゲームのキープで始まった第3セット。なぜかツォンガに元気がなくなったように見える。レット2回の後センターへのエースなどいいところを見せたのだが、長いラリーで自滅。ジョコビッチが先にキープ成功。目をむき、胸を叩くジョコビッチ。その後も、ちょっとボールが浮けばすかさず叩き込み、厳しい角度でクロスを決める。流れが完全にジョコビッチのほうに行ってしまったようだ。
 ジョコビッチのミスに助けられてリズムを取り戻したか、ツォンガが第5ゲームをキープ。しかし第1セットのときのような弾丸ショットが見られない。詳しい球種はわからないが、何となくスライスばっかりのようだ。第9ゲームも苦難は続き、度重なるデュースの挙げ句、ジョコビッチがブレイク。第3セットもジョコビッチが取った。

【第4セット】
ジョコビッチのサービスエースで始まる。特別どこかが悪いとか、痛いとかいうようには見えないのに、ツォンガの動きがよくない。一方のジョコビッチはすっかり波に乗っている。それでも、これを落としたら二度とチャンスはない。相手のセカンドサーブを思い切り叩くなど、ツォンガにも攻めの姿勢が戻って来た。
 第4ゲーム、ツォンガのサーブ。浅いボールを取りに行ったジョコビッチに異変が起きた。脚がつったのかもしれない。えーこのタイミングで……。しかしジョコビッチは痛みに耐えて第5ゲームをキープ。トレーナーを呼んだ。

傷めたのは左太腿だったらしく、メディカル・タイムアウトを取ってマッサージを受ける。しないよりはマシだと思うが、果たしてこれだけでよくなるものなのか。
 試合再開。ツォンガが難なくキープ。心配だったジョコビッチもラブ・ゲームでキープ。その後もお互いにキープが続くが、何となく「攻められない」ジョコビッチ対「攻め切れない」ツォンガ。ツォンガが「悪い子」で、相手の故障につけ込める性格だったら、情勢は逆転していたかもしれないのだが……。

最後はタイブレイクとなった。ツォンガも可能なかぎり叩いていったが、今一歩ジョコビッチには及ばなかった。ジョコビッチ初優勝。コートに大の字になり喜びを噛み締めるジョコビッチ。セルビアに初めてチャンピオンが誕生した。

モヤが全仏オープンで優勝したとき、喜びのあまりラケットを投げてしまい、後で「後悔している。戻ってこないかなぁ」と語っていたものだが、ジョコビッチは惜しげもなくラケットを観客にプレゼント。バッグからもう1本取り出してさらに客席に投げ入れた。あまりモノにこだわるタチではないのだろうか、太っ腹である。
 セレモニーでのスピーチが始まる。まずツォンガ。「英語が巧くないので申し訳ないけれど」と謝りながら家族やコーチに感謝を述べ、ジョコビッチに感謝し、スポンサーに礼を尽くした後、「来年また会いましょう」と締めくくった。
 チャンピオン・スピーチ。ジョコビッチも同様に感謝を述べ、ツォンガに対しては「君が勝っていたら、やはり素晴らしいことだった」と讃えた。また「皆が彼を応援していたことはわかってるけど……」と笑いを誘い、「だけどいいんだ、あなたたちのことが大好きだから」と言って観客のハートを摑んだ。もちろん最後は「セルビア人最初の優勝者となったことをとても誇りに思っている」と締めて喜びを表した。

ツォンガの躍進を見ながら思い出したが、昨年引退したヘンマンの現役最後の相手(USオープン2回戦)がこの人だった。3回戦でナダルに敗れてしまったが、そのナダルを下しての決勝進出。彼の進化はこれからも続くだろう。1度かぎりのラッキー・ボーイに終わらず、ガンガン活躍してもらいたい。
 そしてついにグランドスラム・タイトルを手にしたジョコビッチ。この勝利をバネに、今年のテニス界を引っ張って行く存在であるのは間違いない。

意外な組み合わせとなった全豪決勝だが、今年のテニスを占う上で、大きな意味のある試合となったと思う。フェデラーの逆襲はあるか、全仏オープンではナダルがタイトルを守れるのか、今後の展開が楽しみだ。
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by slycat | 2008-01-27 21:31 | テニス

ジョコビッチ、決勝進出

Australian Open Semifinal
N. Djokovic d. R. Federer 7-5 6-3 7-6 (7-5)

全豪オープンもいつの間にか終盤。大好きなエナンがシャラポワにベーグル喰らって負けてしまったため、大会そのものへの興味が薄れかけていたのだが、ナダルがツォンガに負けるという「波乱」があり、男子のほうは目が離せなくなっていた。

全豪オープンといえば、シーズン最初のグランドスラムにふさわしく、テニスに飢えていたファンを喜ばせてくれる、楽しい大会だ。また2003年のシュトラー、2006年のバグダティスなど、前年までそれほど話題になっていなかった人が突然現れて人気を攫うことがあり、ニュー・スターが才能を開花させる場でもある。昨年はゴンザレスが神がかり的な強さを見せ決勝に残った。
 そして2008年、話題の人といえば、何といってもフランスのジョー=ウィルフライ・ツォンガだろう。プロ入り4年目、怪我のため出足をくじかれていた彼だが、今年22歳の若さでシード選手を次々と打ち負かして準決勝に進出、ついにNo. 2のナダルまでやっつけて度肝を抜いた。全豪オープンの公式サイトでの“Now is the Time for Tsonga”という見出しが語るとおり、まさに絶好調。モハメド・アリを彷彿とさせるルックス、力強いサーブ、見事なボール・コントロール、バネの利いたフットワーク、どれをとっても魅力たっぷりの「新人」である。

しかし、今年の全豪オープンで我々を驚かせたのは、彼だけではなかった。昨日行われたもう1つの準決勝。ついにセルビアのジョコビッチがやりました。無敵の王者フェデラーをストレートで破り決勝進出。実力は十分だし昨年のUSオープンでも決勝に進んだし、驚くこともないのかもしれないが、フェデラーという人の強さを思えばやはり溜息が出る。

試合開始からジョコビッチの闘志が感じられた。ブレイクされても、気持ちがくじけるどころか、いいサーブを立て続けに決め、相手につけ入る隙を与えなかった。途中、悪い癖でドロップショットを繰り出しては失敗、3セット目も結局タイブレイクに持ち込まれてしまいヤバイかな、と思ったのだが、ウイナーが決まるたびに拳で胸を叩いては自らを鼓舞し、気力を失うことがなかった。セルビアの夢を実現しようとしているんだな、国を背負った人は強いもんだな、そんなことを思う。

そんなわけで決勝のカードはツォンガ vs ジョコビッチとなった。フェデラーがグランドスラムの決勝に進めなかったのは2005年以来である(これも全豪オープンだったね……)。予想してみたいと思うが、全然見当もつかない。どちらが勝っても不思議はない。どちらにも勢いがある。凄い試合になりそうだ。

日本での放送は明日夕方。今から待ち切れない。
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by slycat | 2008-01-26 14:01 | テニス

プーの謎

モルモットのプーちゃんが我が家にやって来て早3ヵ月が経過した。年明け早々、一緒にお迎えしたゴンちゃんが死んでしまい、息子には世話を任せられないと後を引き取ったのだが、ハムスターとは違うことが多く戸惑っている。

基本的に、よく売られているクッキーまがいのおやつは与えていない。プーちゃんはみかんやいちごを食べないので、青菜を与える。餌は朝晩2回だが、私が寝る前にもう一度皿に青菜を入れてやると、あっという間に平らげる。

その後が謎である。若いモルモットは嬉しいとき、興奮したときに「ポプコーン・ジャンプ」なる動きをするらしいのだが、毎晩おやつを食べた後、プーちゃんは飛ぶだけでなく走り回る。ふだんもっそりしているだけに、初めて見たときは驚いた。

しかしどう見ても喜んでいるとは思えない。「少ない」「もっとちょうだい」という抗議行動のようである。だからと言って、際限なく与えるわけにもいかないし。ペレットや牧草を食べればいいのに。

狭いのだから、あまり激しく走らないで欲しいのだが……。木製の牧草フィーダーや「お家」に頭をぶつけそうで怖い。このところ毎晩ドコドコという地響きに悩まされている。

(Quick Time 6.5以上、携帯ムービーなので見づらいです。あらかじめお詫びします)

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by slycat | 2008-01-23 00:01 | モルモット

文楽初春公演:その2

チェックインを済ませて邪魔な荷物を部屋に置き、雨の湿気で乱れた髪を直して再び文楽劇場へ向かう。暑いので、直した髪も化粧もすぐによれよれになってしまうのだが、何とか辿り着いた。コートをロッカーに押し込んで自分の席に向かうと、今度はど真ん中。すでに着席している人たちに「すみません、すみません」と謝りながら席に座る。

第2部
国性爺合戦
〜平戸浜伝いより唐土船の段〜
中国・明代の英雄、鄭成功の活躍を下敷きに書かれた物語。故あって明から日本に亡命した鄭芝龍は、老一官と名前を変えて日本女性と結婚し、和藤内という息子をもうけていた。
 和藤内とその妻小むつが仲良く貝をとっている。若い夫婦の他愛ない日常のひとこま、そんな場面でも鴫と蛤の争いを見かければ、大明国と韃靼国との争いに重ねて軍法を学ぶ和藤内である。
 その浜に明国の皇女が乗った船が流れ着き、和藤内の運命が一変する。小むつを日本に置いて、明国へ旅立つ和藤内とその両親……と発端はこういうお話なのだが、前日からの疲れがここへきてピークに達し、必死の抵抗にもかかわらず眠くて何が何だかわからなかった。これはいけません。

〜千里が竹虎狩りの段〜
助かったことに、この段は派手で楽しい場面だった。眠気もどこかへ吹き飛んでいった。老一官が明国に残し生き別れとなっていた娘、錦祥女の夫、五常軍甘輝将軍の力を借りるため、老一官は1人で、和藤内は母とともに、二手に分かれて城を目指す。
 城へ向かう途中、通りかかったのが、虎が出るという竹林。早速虎がお出ましになる。妙に可愛らしくて憎めない虎だった。母の知恵で、「伊勢大神宮/天照大御神」のお札をかざすと、虎はすっかりおとなしくなる。ついでに、虎狩りに来ていた李蹈天の部下たちも家来にしてしまう。家来のヘアスタイルを日本風の髷にしてしまうあたりに笑える。

〜楼門の段〜
親子3人、城の前で合流するが、警護が厳しく中に入るのは不可能。錦祥女に取り次ぎを願うが、「我々だって拝顔したことがないのに」と警護兵に突っぱねられる。しかし錦祥女のほうから顔を見せてくれたため、楼門の上と下とはいえ、老一官と娘、親子の対面が実現する。
 大きなセットで、錦祥女が顔を出すのは2階である。美しい異国風の衣装の錦祥女、遣っていたのは吉田文雀さん。久々にお顔を拝見できて嬉しかった(文雀さんのお顔は余分な表情を排していながらちゃんと錦祥女の感情を表しており、清々しい、を通り越して神々しい。年をとるのであればかくありたい、と思う)。
 甘輝将軍が留守の上、異国者は中に入れられない、という事情を汲んで、ここでも知恵を出すのは和藤内の母。お婆ちゃんが1人で中に入っても悪さができるわけでもなし、と言う。韃靼国への配慮から縄付きとなってしまうが、それでも将軍に老一官たちの願いを伝えるため、城内へ入る。
 和藤内がどちらかといえば度を超した熱血漢で、母に縄とは何事か、とすぐに怒り出すのだが、大事を人に頼むのだから一時の恥くらい何だ、と息子を諭す母の偉大さが際立つ。甘輝将軍が味方になると返事をしてくれたら城の堀に白粉を溶いて流し、駄目だったら紅粉を流す、と合図を決めて、親子らは別れる。

〜甘輝館の段〜
縄付きではあるが、錦祥女にとっては義理の母、和藤内の母は手厚くもてなされている。日本の着物がどうの、おむすびがどうの、と賑やかな女官たちのお喋りの後、将軍が帰館する。
 明国再興のため和藤内たちに力を貸して欲しい、という願いを承知する将軍、しかし、妻のために味方したと思われては恥、と錦祥女を殺そうとする(頭、硬いなー)。ここでおめおめと義理の娘を殺されては日本の恥、と必死で阻止する和藤内の母。

〜紅流しより獅子が城の段〜
川下で合図を待っていた和藤内が見たのは、紅い流れ。こうなっては一時も早く母を救い出そうと城に向かう。甘輝将軍と刀を交えようとする和藤内。それを止めに入った錦祥女、髪乱れて息も絶え絶えである。実は先ほどの紅い流れは、紅粉を溶いたものではなく、錦祥女の血だった。先ほどまでの豪華な衣装から、髪飾りも取ってはかな気な姿となった錦祥女が哀れでならない。
 自分の命を断ってまでも父と弟に協力して欲しい、という妻の気持ちに応え、将軍は和藤内に力を貸すことを決意。それを喜びつつも、義理の娘だけを死なせるわけにはいかないと、和藤内の母も自害する(老一官は、わずか1日のうちに娘と妻を失ったことになるわけで、あまりにも哀れ)。
 お互い、妻の仇、母の仇と思えば明国再興の力になるだろう、という死に際の母の言葉が重い。和藤内は「国性爺鄭成功」と名乗ることになって、甘輝将軍とともに今後の戦いに誓いを立てる。
 男の意地の張り合いで、賢明な女性2人の命が失われたかと思うと、何だか納得できない面もないではないが、女性の健気さが光るお話だった。

さすがに1日通しての文楽鑑賞はキツかった。ただ座っているだけなのだが、お話に起伏があるためどうしても力が入り、思った以上に体力を消耗した。最初から1泊するつもりだったら2日に分けたのだが……(泊まることにしたのは直前だった)。次は無理のないプランを立てよう。
 すっかり暗くなった街に出て、ホテルに向かう。でんでんタウンの店もそろそろシャッターを閉める頃。それでも何か食べておこう、と再びホテルを出て、「なんばこめじるし」というところに入っているラーメンの店に入った。息子がいれば、あれが食べたい、これを食べよう、とうるさいが、1人なのでラーメンでちょうどいい。
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 大阪でラーメンを食べたのは初めてで、これは「堺ラーメン」だそうだ。がんこ系のような塩スープで、少し塩気が強いようにも思ったが、疲れていたのでさっぱりしているのが有難かった。

つるっと食べて、ついでに黒門市場を通ってホテルに帰る。ほとんどの店は閉まっていたが、八百屋さんの店先に「万願寺しし唐」が250円で並んでいたのにはちょっと気を引かれた(安い)。持って帰るうちに潰れてしまいそうなので諦めた。いろいろなお店が開いている時間だったら面白かったのだが。

夜中にホテルで映画を観てしまったため(無料だったのでつい……)翌日は寝坊した。あたふたとチェックアウトして、今度はなんばOCATからバスに乗り、14:00の飛行機で東京に帰った。お土産を選ぶ時間もろくろくなかったので、「ナンバなんなん」の中にある「会津屋」でたこ焼きだけ買って帰った。もうちょっと旅慣れないといけないな。

次は1人か、それとも子連れか。できるかぎり大阪に足を運んで、文楽を楽しみたい。
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by slycat | 2008-01-18 01:59 | 文楽

文楽初春公演:その1

1月12日、大阪・日本橋の国立文楽劇場で行われる「文楽初春公演」に出かけた。今回はひとり旅である(息子はアルバイトで忙しい)。

羽田発8:00の飛行機で伊丹空港へ。昨年は空港から電車を乗り継いで行ったのだが、今回はリムジンバスに乗る。飛行機が20分ほど遅れたので不安だったが、9:25発のバスに乗ることができた。
 乗ってみればこっちのほうが断然早い(35〜40分)。車酔いもしなかったし、途中通る中之島の中央公会堂など、美しい建築物も見ることができた。高速を下りてからなかなかバスが進まないのは仕方がない。
 近鉄上本町でバスを降りる。近鉄百貨店でお弁当でも買おうかと思ったためだが、羽田で食べたホットドッグが胃にもたれていたので、代わりに近くの洋菓子店で息子へのお土産を先に買う。
 昨年11月に行ってみた店で、チョコレートムースやメレンゲのケーキが滅茶滅茶美味しいのだが、生ケーキを東京まで持ち帰るわけにもいかず、チョコレートやクッキーをあれこれ選んだ(樋口一葉が飛んで行った)。

雨が降っていたので傘を買い、歩いて行けない距離ではないものの、地下鉄で日本橋へ。大阪は暑かった。汗をかきながら到着すると、文楽劇場は、すでに大勢の人で賑わっていた。
 第1部の席は、床のすぐ傍、前から4列目。東京公演の際には「あぜくら会」会員の友人が1時間以上も粘って電話してくれ、やっとのことでよい席を確保してくれるのだが、普通にネット予約でこの席が取れた。劇場が大きいからだろうか。舞台の上、中央にはめでたい「鯛」が飾られていた。
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第1部
七福神宝の入船
前日一睡もしておらず、飛行機の中でも眠ることができなかったので、公演中に寝てしまうのではないかと不安を抱えながらの鑑賞だが、これなら眠るわけがない、という豪華絢爛な演目。こういう舞台を観て1年を始められるとは、大阪の人たちは幸せだ。
 舞台いっぱいの宝船、その上には七福神。衣装もきらびやかで少しエキゾチック、いつもと違う。この七福神たちが1人ずつ芸を披露するのだが、三味線、琴に胡弓と続く、その音色の素晴らしさ。よくぞ日本人に生まれけり、と思う(三味線、琴にしても胡弓にしても、元々は中国からの輸入なのだろうがそこは気にしない)。ふだんロックやポップスしか聴かない私の貧しい耳にもぐぐっと入ってくる。最初の三味線のときは人形がやや遅れたが、その後胡弓の演奏など、人形の手の動きと楽器の音がぴたりと合って、いやぁ、堪能しました。
 ただ1ヵ所、生ビールのジョッキが出てくるところがあって、お客さんはみんな喜んでいたみたいなのだが、私にはちょっと……。頭、硬いですかね。気持ちとしては、そこまでサービスしてくれなくても、十分楽しめるのに、というところである。

ここで30分の休憩。売店で「おにぎり弁当」を買い、客席でかっ込む。三宅坂で売られているものよりでかい。全部食べ切れなかった。

祇園祭礼信仰記
これまた美しい舞台。舞台上部からしだれ桜が2列に咲き乱れている。将軍足利家乗っ取りを企てる松永大膳と、それを阻止しようとする小田信長の対決を描いたお話だそうだ。そこに画家雪舟の孫娘の仇討ち物語が絡む。

〜金閣寺の段〜
金閣寺の一室で、松永大膳と、その弟鬼藤太が碁を打っている。大膳は先の将軍足利義輝を殺害しその母慶寿院を拉致監禁、将軍家の御旗を奪った悪人であり、とんでもないエロ親父でもある(しかも言うことが一々いやらしい)。こいつが美しい雪姫に自分のものになるか雲龍の絵を描くか、と迫る。雪姫は父親を何者かに殺され、秘伝が盗まれてしまったため雲龍の絵は描けない。また、直信という恋人があるため(いてもいなくても、だろうけれど)大膳なぞの言うことは聞けない。しかしこのままでは恋人の命が危ういため、雪姫は苦しむ。
 一方、この日、大膳は信長の元を去ったという此下東吉(実は真柴久吉;豊臣秀吉)を軍師として採用することになっており、東吉が寺にやって来る。囲碁勝負を始める大膳と東吉。東吉は、これから自分を雇い入れようとする人物に対してもわざと負けたりしない、という態度を示して逆に大膳の歓心を買い、さらに知恵のあるところを見せてまんまと大膳の信用を得る。

〜爪先鼠の段〜
手本がないと絵が描けない、という雪姫に、これを見ろと大膳が剣を出し滝にかざすと、あら不思議、滝に龍が現れる。実はこれが雪舟の秘伝で、雪姫の父親が殺された際に行方不明になっていた「倶利伽羅丸」だった。敵をあざむくため秘(伝の)書と言い振らしていたのだが、実は書でなく剣で、倶利伽羅丸を所持しているからには大膳こそが父の仇だった、ということなのである。
 大膳に斬り掛かろうとする雪姫、しかしあっけなく縄で縛られてしまう。祖父雪舟が涙で鼠の絵を描いた話を思い出し、桜の花びらで鼠を描く雪姫。すると絵は生きた鼠となり、縛めを食い切る。役目を果たした鼠が桜の花びらに戻る一瞬がとてもきれい(そういえば、子年だから鼠の演目だったのね)。
 逃げようとする雪姫の前に立ちふさがる鬼藤太、しかしそこへ真柴久吉が現れ姫を救う。姫を逃がした久吉が、慶寿院を助け出すため金閣寺のてっぺんまで上っていくところが驚きの、3段にわたる舞台装置。久吉がどんどん上に行くのを示しているのだが、圧巻だった。面白い!

傾城恋飛脚
〜新口村の段〜
寝不足のため、眠気はもちろん身体中が痛み出してきたが(あちこちツボを押しながら耐えた)、ここはしっかり聴かなければ。何しろここできちんと聴いておかなければ、2月まで住大夫さんは聴けないのである。血中住大夫濃度が下がって調子が悪い今日この頃、この演目のためにはるばる飛行機に乗ってやって来たのだ。
 学生の頃好きだった富岡多恵子の『子供芝居』の中で主人公が演じるのが、遊女梅川。近所に住み何かと優しく接してくれるお妾さんが「梅忠やるんか」と感心するくだりがある。子供が大人を演じるにあたり、周りの人々の仕草を盗まなければならない、ということが徐々に主人公の重荷になるのだが、その頃から「原典はどんなお話なんだろう」と思いながら歌舞伎を観ることもなく、近松を読むでもなく、だらだらと年齢ばかり重ねてきた。この日が初めての“梅忠”体験となる。だけど『冥途の飛脚』じゃないじゃんと言われそうだが、まぁ、とにかく。

馴染みの遊女、梅川がほかの客に身請けされるのを止めるため、養い親の飛脚問屋から預かった大事な為替銀に手をつけてしまった忠兵衛、梅川とともに実家のある大和・新口村に逃げて来る。
 さすがにのこのこと実家には戻れず、父の下で働く忠三郎の家を訪れると、すでにこの地にも大阪から詮議の者が来ており、紙屑屋などに化けたスパイが付近をうろうろしていることがわかる。外にも出られず、忠三郎の帰りを待っていると、たまたま忠兵衛の父、孫右衛門が通りかかり、2人の目の前で足を滑らせて転ぶ。
 外へ飛び出し、孫右衛門を介抱する梅川。その親切に、この女性こそが我が子の嫁と気づく父。忠兵衛が逃亡したため、身代わりとなって入牢している養い親のことを思えば、可愛い我が子とはいえ自首を勧めるほかはない。子への愛、養い親への義理が錯綜する、ここの語りが見事である(今じゃない、のところで客席から笑いが起こったのには納得できず)。眠くてたまらないのに、勝手に涙が溢れてくる。あぁ、やっぱり無理してでも今日来てよかった、そう思った。

第1部が終わり、いったん外に出てでんでんタウン近くのホテルにチェックイン。また劇場に戻る道程が、寝不足の身体に辛かった。傘も邪魔だが、持って出なければ必ず降られる、という雨女なので渋々再び傘を持ち、再び文楽劇場へ……。
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by slycat | 2008-01-16 03:44 | 文楽

本(だけ)は大切に……

ときどき夫に頼まれてアマゾンで古本を探す。彼は土日ともなると一人で古書店に出かけ、あちらこちらで本を買ってくるが、足を棒にしても見つからなかったものはネットで探すしかない。
 正月休みにも頼まれて注文したのだが、その際ついでに自分も2冊ほど買った。そのうちの1冊は『風俗 江戸物語』(岡本綺堂、河出文庫)である。つらつら検索していたら1円で出ていたので、手数料を支払っても341円。まだ普通に書店で買える本ではあるが、千円近くするので、まぁいいかな、と思った。

先日荻窪の古書店を回ったときにも店頭で見かけたのだが、「あっきれい、買っちゃおうかな」と思って開いたら、何と赤鉛筆で線が引いてあるページを発見した。私も学校の教科書にはマーカーを引いたり落書きをしたものだが、基本的にこういう行為は許せないタチである。線引いてどうするんだよ、と思う。その本の持ち主は結局売り払ったわけだから、読み返すために引いたわけでもないのだろう。いたずらに本を汚すのはよくない、と思う。

さて。アマゾンでの出品者は、この本の状態を「良い」とし、「多少の焼け」くらいしか書いていなかったのだが、今日、届いた本を見たら、な、な何と「ふくろう文庫−読み終りましたらお返しください、池袋駅」と表2、扉、最終ページおよび表3に真っ赤なハンコが押されているではないか。

「ふくろう文庫」は営団地下鉄丸の内線の池袋駅に設けられた文庫であり、寄贈によって成り立っている。不要になった本を置いておくことで、読みたい人が通勤の友として無料で読むことができる。しかし、借りるはいいが読み終わった後で文庫に返さない人が多く、池袋駅の駅員さんたちも困惑している、という新聞記事をよく読んだものだ。
 以前は通勤に丸の内線を利用していたので、借りたことこそなかったもののお馴染みの「ふくろう文庫」。そこに寄贈された本が、巡り巡って私の手許に来るなんて……。

二重に頭に来た。一つには、善意で寄贈されたものを元の場所に返さないばかりか、古本屋に売っぱらった奴に対して。もう一つは、デカデカとハンコが押されている本を買い取ったばかりか、平気で転売する書店に対して。これでいいのかニッポンは。

安かろう、悪かろうとはよく言ったものだが、本の世界にまで通用する言葉だとはつゆ知らず。大体、どうしてくれるのよ〜まるで私が泥棒みたい。電車の中なんかじゃ恥ずかしくて読めないじゃん。
 封を切ったときには、きちんとカバーがかけられていて好感をもったのだが、開いてびっくり。何だかいや〜な気持ちになってしまった。やっぱりちゃんと新品を正価で買おう。

文庫本は、海外のペーパーバックに比べてコンパクトで携帯しやすく、カバーデザインも凝っていて、日本が誇ることのできる文化の一つであると思う。たかが文庫本と思わず、小中学生の学力が低下しただのと憂う前に、本を大切にすることから教育を始めてもらいたい。

注:書店の名誉のために付け加えると、「書き込みがあったため返金します」と返金してくれました(これを書いた後でメールを確認)。でもねぇ……。ハンコの押された本を自分が持っているということが、心が重いのであります。
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by slycat | 2008-01-09 03:28 | 日常のこと

半七の足跡:初詣その2

正月、読む本が特になかったので『半七捕物帳』を読み返していて「正雪の絵馬」のところでページをめくる手を止めた。東京都杉並区にある大宮八幡宮に納められている由井正雪の絵馬を巡る話である。幕末の岡っ引き、半七が子分の亀吉を連れ、事件の調査のため神田を出て大宮八幡宮に向かうくだり。

「内藤新宿の追分から角筈、淀橋を経て堀之内の妙法寺を横に見ながら……」
「『ついでと云っちゃあ済まねえが、ここらまでは滅多に来られねえ。午飯を食ってお詣りをして行こう』二人は堀之内へまわって、遅い午飯を『信楽』で食って、妙法寺の祖師に参詣した。……」

伯母が和泉に住んでいたため大宮八幡宮はお馴染みの神社で、お祭りや初詣に行ったこともある。そこに由井正雪の絵馬があったとは、子供だったので全く知らなかった。
 一方妙法寺といえば、以前近くに大きなペットショップ(今はない)があったため、ハムスター・グッズを買いに行く途中、バスで通り過ぎていた。参道の入り口がバスの窓から見え、気になってはいたが一度も下車したことはなかった。ちなみに半七がお昼を食べた「信楽」という茶屋は、彰義隊の渋沢成一郎が上野を逃れて隠れたところだそうである。

息子は年末からアルバイトを始めており、iPodを買うのだと言って真面目に働いている。親としては働くよりも勉強して欲しいものだが、とにかく昼間いなくなり静かになったので、たまには夫婦で散歩に行こうということになり、初詣の第2弾というわけで、妙法寺に行ってみることにした。
 半七が歩いたとおり、大宮八幡宮まで足を延ばそうかとも思ったが、“足弱”の現代人(?)には無理なので、とりあえず参拝の後は方南町から荻窪に出て、古書店でも冷やかそうというプランである。

阿佐ヶ谷からバスで堀之内に向かう。以前はしょっちゅう通った道だが、久しぶりに行くと町の風景もずいぶん変わっているようだ。卓球の殿堂「バタフライ卓球道場」の横を通り高円寺陸橋の交差点を曲がると、間もなく堀之内に到着。

お寺に入る直前に、お菓子屋さんが2軒あり、そのうちの1軒で「揚まんじゅう」を買う。「お詣りしてからだろ」と言われたが、昼食をとっていなかったので誘惑に負けた。
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皮の薄い、餡がたっぷり詰まった饅頭に衣をつけ、その場で揚げてくれる。1人に1つずつしか買わないのに、ちっとも嫌な顔をせず売ってもらえて、何となく嬉しい。神田にある有名な甘味処でも揚げ饅頭を売っており以前はよく食べたものだが、こうやって揚げたてを外で齧りながら歩くのも楽しい。空きっ腹に沁みる美味しさで、あと2、3個は入りそうだったが我慢した。

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いざお詣り。こちらは、境内に入るだけで厄除けになるそうだ。商売柄、気持ちが暗くなるような事件に係り合うことの多い半七が、滅多に来られないんだからお詣りしよう、と言うだけのことはあるお寺なのである。
 その霊験あらたかなお祖師様が奉られた祖師堂に詣り、その後境内を進むと、ほかにも本堂や廿三夜堂、淨行様などがあり、財布の中の小銭がすっかりなくなってしまった。
 奥には「有吉佐和子の碑」があり、碑の裏側、発起人の中には竹本越路大夫の名前がある。有吉佐和子ご本人はクリスチャンだったそうだが、お寺の境内にクリスチャンの碑が建つというのも大らかでいい感じ。神仏混淆は江戸時代までということでもなさそうである。世界中がこれくらいアバウトだったら、聖地を巡る争いなどもなくなるのに。

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お詣りを済ませて方南町駅に向かう途中の定食屋(庶民価格が嬉しい)でラーメンを食べ、駅の近くのブックオフを覗いて、荻窪へ。夫がよく行くという古書店を廻り、最後に彼お奨めの店に行こうとしたが、残念ながら年明けの営業は6日からということで閉まっていた。
 近くのフランス料理店でキッシュとパテ、メレンゲを買って再びバスに乗り、途中モルモットの餌を買い、最後は鷺ノ宮に最近開店したインド料理店でチキンカレーを食べて帰った。半七もびっくりの和洋折衷、東西ちゃんぽんである。

半七の足跡を忠実に辿るにはあまりにもいい加減な散歩ではあったが、このところ上方文化に傾倒して足下を見ていなかったので、今年は近所から江戸再発見といきたいものである。次は大宮八幡宮に訪問して正雪の絵馬を見たいものだ(ところで一般公開されているのかな?)。
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by slycat | 2008-01-06 08:07 | 日常のこと

初詣

新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

ここ何年か、年末に風邪やインフルエンザに罹ることが多く、昨年のお正月も家から出られなかったが、今年は元気に新年を迎えることができ、遅まきながら初詣に出かけた。

どこが氏神様だかわからないし、毎年適当なところに気の向くまま詣でるのだが、今年は中野の新井薬師に行った。バス1本で行けるので気軽である。昼過ぎまで寝てしまったので、出かけるのも遅くなってしまったが、それでもお寺に着くとたくさんの参拝客でいっぱい。お参りするのに行列ができていた。

今時はお寺もちゃんとホームページを作っており、由来など読むことができるようになっている。お寺は中野区にあるのだが、御本尊は元々鎌倉時代の新田家代々の守護仏だという。鎌倉時代から南北朝にかけての戦乱の中、行方不明になっていたものが、なぜか新井の地で発見され、仏様を安置するために建立されたのが、この新井薬師梅照院だということだ。御本尊の御開張は寅年のみらしいので、拝みたければあと2年待たなければならない。今まで何度か足を運んでいながら、お寺の由来については全然知らなかった。

自分のことはさておき、こんな時代にもかかわらず、何らかの願いを胸に人々が熱心にお祈りしているのを見るのはいいものだ。心が洗われる。人間の力ではどうにもならないことがあるのを悟り、神仏を怖れる。こういう気持ちは、時代が変わってもずっと持ち続けていくべきものだと思う。

少し謙虚な気持ちになったところで、仕事でミスをしないよう、大事なときに病気にならないよう、厄よけのお守りを求めた。最初に「念願成就」のお地蔵様を購入したのだが、「厄よけのはありませんか?」と係の人に尋ねると、「これが一番手軽なものです。財布に入れるんですが」と出してくれたのが左のもの。わざわざ私の財布に入れてくれた。
 お地蔵様のほうは、石で出来ており携帯電話や財布に付けるには結構重い。バッグのポケットにでも入れて歩くか。これは晴れて願いが叶ったら、再びお寺に来て納めるのだそうだ。

おみくじを引いたら、珍しく「吉」。昨年、大阪の法善寺(水掛地蔵)で引いたら「大凶」だったのだが。今年は春から縁起がいいや〜。このままするっと1年、無事に過ごせますように。f0061021_246386.jpg
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by slycat | 2008-01-04 02:54 | 日常のこと