ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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<   2008年 02月 ( 12 )   > この月の画像一覧

なくなると困るなぁ

新宿に行く用事があったので、帰りにコーヒーショップ「ベルク」に寄った。ここのホットドッグが好物なのである。天然酵母のパンに、噛むとパリッと弾けるソーセージが挟んであるシンプルなもので、素材がいいから美味しい。

店舗は新宿西口〜新宿三丁目方面に続く地下道から、JR東口の改札に向かう途中にある。いつ頃開店したのかはわからないが、この店にはもう10年以上通っているはずだ。最初は美味しいコーヒーを出してくれる店、だったが、そのうちメニューが増えて、しかも美味しいビール(エーデルピルスがある!)が飲めるようになった(ワインもある)。
 朝食を食べるのにもよし、昼食にもよし、小腹が空いたときにも便利。夕方、帰宅前に一杯ひっかけるのにもいい。女性でも平気で入れる気楽な店である。
 息子と映画を観に行くときなども利用する。ソーセージをはじめ小皿でいろいろ試すことができるため、「今度はこれを食べたい」「お代わりしてもいい?」などと子供も喜ぶ。
 例えば友人と遊びに行った帰り、「ちょっとお茶でも飲んで行こうか」というときなど、飲んべえの私は、ベルクに誘ってみる。店に入れば、「あっ美味しそう。いっそビール飲んじゃおうか」と友人のほうから言い出してくれる。

ところが、久しぶりに行ってホットドッグをパクつきながら「壁新聞」を読んでいたら、何とこの店、立ち退きを迫られているというではないか。えぇ〜っどうして? せっかくの憩いの場なのに。
 事情はよくわからないが、MY CITYという名だった駅ビルは「ルミネエスト」に変わっており、立ち退きはビルのオーナーの意向によるもののようだ。

学生の頃に比べれば新宿に足を向ける回数は減ったけれど、行けば立ち寄りたい店。そういう店がなくなってしまうと、おばさんは困る。若い人たちと違って常に街の情報を調べているわけではないので、ある日行ってみて店がなくなっていたら、ほかにどこへ行けばよいのか、途方に暮れてしまう。

立ち退かなくてもいいような策はないものか。どうか生き延びてくれますように。f0061021_211780.jpg
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by slycat | 2008-02-28 02:13 | 日常のこと

去るもの

キャンベルのホワイトが、老衰のため逝った。2歳8ヵ月。パープルパイドだったが、いつの間にか全身真っ白になっていた。よく長生きしてくれたと思う。

カルロスに続くホワイトの死で、我が家のハムスターは4匹になった。残った子たちの一番年長でも1歳2ヵ月なので、あと1年は彼らと一緒にいられると思う。

カルロスは、一緒に生まれたリンダが早死にしてしまったのでずっと気がかりだったが、病気で悩むことはなかった。おとなしい、いい子だった。餌の時間になっても寝ていたりして、「お〜いご飯だよ!」とつつくと、「そうなの?」という感じでゴソゴソと起き出してくる、のんびり屋さんだった。
 ホワイトは、里子として迎えた子。女の子のはずが男の子だった。人間に媚びるところがなく、ベタ馴れにはなってくれなかったが、おやつのおねだりだけはちゃっかりしていた。こちらも病気ひとつしなかった。乾燥りんごを与えたときは敵だと思って攻撃し、最後にガブッと噛んだらあれ? 美味しい!という顔をして飼い主を笑わせてくれた。

楽しい日々を有難う。またどこかで会おうね。

在りし日のカルロス(上)とホワイト(下)f0061021_2352545.jpg
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by slycat | 2008-02-25 02:44 | ハムスター

若いこと老いること

タイトルを書こうとして気づいたが、「若い」というのは現在を表しており「老いる」は進行する状態を表している。「若くなる」ことはない。どんな生き物もどんどん老いに向かう。

週明け早々、米国デルレイ・ビーチの大会(テニス、インターナショナル・シリーズ)で錦織 圭選手がジェイムズ・ブレイクを破って優勝したというニュースが入って大興奮。18歳1ヵ月でのツアー優勝は1998年のレイトン・ヒューイット(16歳10ヵ月)に次ぐ若さで、日本は勿論、海外でも注目を集めた。久々に日本から世界で通用する選手が出てきたことは大変嬉しい。しかも彼のおかげで日本のテレビでもテニスの話題が取り上げられる回数が増えた(間違った情報も多いけれど……“フェデラーを輩出したボロテリ・スクール”とか。ちゃんと調べてから報道して欲しい)。錦織君に感謝。

自宅に帰れば、まだ幼いプー(モルモット)が待ち構えており、手を伸ばせば逃げるくせに、餌の催促だけはやかましい。ケージ内の家の床に敷いたタオルを漂白したら、匂いが気に入らなかったのか、家に入らず外でぐるぐる回って文句を言う。好物だからと思って与えた三つ葉の茎を残す。若さとは欲求である。わがまま全開だ。16年ぶりに赤ん坊の世話をしているようで、毎日気苦労が絶えない。

一方、ここには書かなかったが、15日の夜、キャンベルのカルロスが2歳1ヵ月でひっそりと息をひきとった。老衰である。そしてもう1匹の老ハム、ホワイトが老いのため顎の力が弱くなってしまい、流動食しか受け付けなくなった。2歳8ヵ月くらいになるので、いつお迎えがきてもおかしくないのだが、餌の時間になると巣から出てくるのがいじらしく、物悲しい。文句ひとつ言わず、静かに食べて静かに眠る。彼が生きようとするかぎり、支えてやりたい。

女優の森 光子さんが87歳にして『放浪記』上演1,900回を達成したというニュースを見た。私が生まれる前からこの舞台に立っているとは驚きだ。
 ニュースの中で「87歳という年齢を考え、ヒロインの小説が初めて認められる場面での“でんぐり返り”はやめ、代わりに周囲の人たちが万歳で祝うという演出になった」と言っていた。
 それを聞いた息子がポツリと、「つまりこの人、86歳まではやってたってことだよねぇ」。……絶句。次の瞬間、笑いが止まらなくなった。息子が不機嫌そうに「何? 俺、何かおかしなこと言った?」と訊く。

そうだよねぇ、86歳までは“でんぐり返り”やってたんだよ。カルロスも十分生きたし、ホワイトもギリギリまで頑張っている。一度この世に生まれてきたからには、でんぐり返りしながらしぶとく生きていきたいものである。
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by slycat | 2008-02-24 01:30 | 日常のこと

初BITE

土曜日、プーちゃんを病院に連れて行った。

体重は3週間で120g増え、620gになっていた。毎日見ていると気がつかないものだが、ちゃんと育っているらしい。よかった、よかった。3週間後にまた投薬のための予約をとる。
 「なかなか馴れないんですが」と獣医さんに相談すると、モルモットは怖がるのが正常、時間はかかっても毎日抱っこするとよい、と教えてもらった。身体が宙に浮く、という感覚に恐怖を感じるのだという。人間がケージに手を入れたとき、逃げるのは当たり前。隅に逃げ込んだところを手ですくうようにして抱っこし、抱っこされても何も怖いことはないのだ、ということを根気よく覚えさせるのが大事、とのことである。

キャリーケースの中で長時間揺られていたのが可哀相だったので、家に帰ると膝に載せて「せり」のご褒美を与える。プーちゃんは喜んで食べた。
 だいぶ食べたところで、早く家に戻してやろうと抱っこし、ケージまで運んで行ったのだが、どうも私は抱っこが下手くそらしく、途中でプーちゃんが暴れ出した。そして……ガブッと噛まれた。右手の人差し指と親指の中間くらいのところである。
 今まで、ハムスターとは何度も流血騒ぎを起こしているものの、モルモットに噛まれたのは初めてで、プーちゃん自身も初めて噛みついたため、お互いショックが大きかった。しかも、噛まれた痛さはハムスターの比ではない。ハムスターほど歯が細くないからか、噛まれた場所に骨があったためか、血は出なかった。しかし後々まで痛かった。何か入れ物に入れて運べばよかったと後悔した。

日中、こんな騒ぎがあったので、また人間嫌いになって引きこもってしまったのではないか、と心配だったが、夜、餌の時間に行ってみると、いつものごとく扉が開いており、人待ち顔のプーちゃんがいた。ペレットや牧草はまだ残っているのだが、野菜を貰うのが楽しみになっているのだ。空の皿を確かめては鳴いている。

モルモットが根に持つ性格でなくて、本当によかった。

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by slycat | 2008-02-18 19:27 | モルモット

変わらない味

用事で竹橋に行った帰り、そのまま地下鉄に乗ればさっさと帰れたのだが、敢えて神保町まで歩くことにした。目当ては共栄堂のスマトラカレー。大昔は職場が近かったのでしょっちゅう通ったものだが、最近はなかなか行かれないので、店の傍まで来たときはチャンスを逃さないことにしている(ちなみに、本郷に行ったときは「万定」か「ルオー」と決めている)。

初めてこの店を訪れたのは学生のときだから、もう四半世紀も通っていることになる。店は靖国通り沿いのビルの地下にあり、当時は隣に「ABC」という喫茶店が入っていた。バロネス・オルツィ作『隅の老人』が好きだったので、「わーいABCショップだ!」と喜んだ。共栄堂は、言ってみればついでに覗いてみたのだった。

しかし、食べてみたらすぐにここのカレーにハマった。カレー粉をかなり炒ってあるらしくソースの色は深い焦げ茶色である。ほどよい辛さでご飯はたっぷり、一皿でお腹いっぱいになる(しかしそれでも、女性が来店すると厨房に「ご婦人!」と合図するので、ご飯の量は加減してあるはずだ)。当時はポークカレーで600円だっただろうか(ほかにチキン、ビーフ、海老などがある)。
 そして何より気に入ったのは、一緒に供される野菜スープ。とうもろこしの香りがする、ポタージュ・タイプのとろりとしたもので、牛乳やバターなどは使われていないようだ。これが美味しい。ずっと真似したいと思っているが、自分では作れないでいる。

「ABC」はいつの間にかなくなり、その後居酒屋などお隣さんはコロコロ変わった(今では「キッチンジロー」になっている)。変わらないのは共栄堂だけである。階段を降りると扉には「スマトラカレー共栄堂」の文字。何となく古めかしい。店内も、驚くほど変わっていない。25年の間に変わったことといえば、一度メニューに「ハヤシライス」が追加されたくらいである。相変わらず、10月から冬の間だけ「焼きリンゴ」が食べられる。

ひとつだけ変わったのは、学生時代から社会人になってから10年くらい、ずっとお給仕をしてくれたおじいさんがいなくなったこと。
 いつもシャツの上に「ベスト」を身につけていた。とても腰が低く、食事中、グラスの水が半分くらいになったかな、と思うとさりげなく水を足してくれ、会計の際には深々と頭を下げ「有難うございました」と心から声をかけてくれた。
 職場が近かった頃、週に一度ならず二度も三度も通っていたのは、この人にサービスしてもらいたかったからだった。

美味しい料理を出す店はいくらでもある。しかし、行き届いたサービスを提供してくれる店は数えるほどしかない。共栄堂は、そんな店の一つだった。

老舗なので、テレビや雑誌で紹介されることも多い。一度、若い学生風のカップル客が来て、「カレーがぬるい」と言って取り替えさせていたのに出くわしたことがある。カレーをグラグラ煮立たせてしまっては、スパイスの香りが飛んでしまうではないか。近くで見ていて苛々したが、お店の人は黙って取り替えた。

今、ポークカレーのお値段は、800円。25年の間に200円しか値上げしていない。諸物価高騰の折、いろいろご苦労があることと思うが、何とかこの味を絶やさないで欲しい。
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by slycat | 2008-02-14 22:17 | 日常のこと

えらい商売や

NHKハイビジョン特集『闘う三味線 人間国宝に挑む 文楽 一期一会の舞台』
(2007年6月24日の番組、再放送)

昨日一緒に文楽2月公演を観に行った友人から、今日再放送があるらしい、とメールで教えてもらったので、喜んで見てみた。なかなか内容の濃いドキュメンタリーだった。

2007年5月に東京国立劇場で行われた『文楽太棹 鶴澤清治』において、1日だけ鶴澤清治さんが竹本住大夫さんと共演した。演目は『壇浦兜軍記〜阿古屋琴責の段〜』。公演当日を迎えるまでの様子をカメラが追う(公演内容のほうはDVDとして来月発売になるらしい)。

文楽のことを知りたくて、いろいろと資料を読んでみるが、読んでわかったつもりになって、実は全然理解していないことがたくさんある。番組中で鶴澤清治さんの“悩み”が紹介され、改めて「あっ」と思った。
 そういえば、住大夫さんが語るときは野澤錦糸さん、綱大夫さんは鶴澤清二郎さん、嶋大夫さんのときは竹澤宗助さん、鶴澤清治さんは切場のときに床に上がることはない。四代竹本越路大夫さんの三味線を務めていたときは事情が異なっている。勿論どんな場合でも魂を込めて弾くのだろうが、心中さまざまな想いがあるだろう。こういうことに気づかせてもらえただけで、この番組を見た甲斐があったというものだ。

ビリヤードに興じたり、ご自宅に飾られているものが意外に洋風だったり、と清治さんのふだんの姿が見られたのは面白かった。住大夫さんが仲睦まじく奥様と犬の散歩に出かける場面もよかった。

しかし住大夫さんが文字久大夫さんにお稽古をつけるシーンは、見ているほうがびっくりするほど怖かった。お稽古なのだから厳しくて当然とはいえ、こんなに叱られないと一人前になれないのか……と驚く。住大夫さん、「馬鹿!」までおっしゃいましたからね。
(余談だが、関西の人は「アホ」と言われるより「馬鹿」のほうが堪えるのではないだろうか。親の転勤で大阪の小学校に転校したとき、東京にいた頃と同じように「バッカみたい」と口にしたら、クラスメイトがすーっと引いたのがわかった)

いつも、文楽の舞台はどのように作られるのだろうと興味があったので、(言葉は悪いが)“出歯亀”趣味は大いに満足させていただいた。しかしこんなところまでカメラが入り込むというのは、よくよく考えれば非常に失礼なことであり、よくぞお許しになったものだと思う。これも文楽のため、文楽を後世に遺すため、ということでOKなさったのだろうが、本当に有難いことである。

ふだん一緒に舞台を務めることのないお2人が、お互い相手に“合わせる”ことなく、それでも何とかひとつの舞台を作り上げて行こうとする努力と葛藤。公演直前のリハーサル・シーンには、どんなサスペンス映画も敵わない、鬼気迫る空気があった。

清治さんのまっすぐな視線にグッときた。住大夫さんの仰る「えらい商売」という言葉が心に沁みた。ますます文楽が好きになった。

※ 番組中、1シーンだけ文吾さんが映った。ああこのときはご健在だったのに、と思うと寂しくてならない。改めてご冥福をお祈りする。
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by slycat | 2008-02-10 23:04 | 文楽

国立劇場文楽2月公演

前日の天気予報では朝から積雪の恐れ、ということだった。電車が止まりでもしたら嫌だなぁと思っていたのだが、今にも降りそうな空模様ではあったものの、何とか降られずに済んだ。

国立劇場の文楽2月公演、今回は第2部を観に行った。楽しみは最後の演目『壺坂観音霊験記』。住大夫さんが娘義太夫さんの三味線でこれを語って出征した、というのを読んで聴いてみたいと思っていた。ようやく体験できることになって嬉しい。

二人禿
ふたりはげと読んでしまいました(ににんかむろである)。半七捕物帳に『かむろ蛇』という作品があるのに、いい年して漢字が読めないとは恥ずかしい。人前で口に出さなくてよかった。
 恐らく「景事」に分類されるのだと思うが、可愛らしい切り髪の少女が2人、羽根つきや毬つきに興じる様が描かれる。途中の歌で横溝正史の『悪魔の手毬唄』を思い出してしまったが、雑念を振り払って人形の動きを楽しむ。
 大阪の初春公演と同様、しだれ桜があしらわれていたのが綺麗だった(ただし大阪のときと異なり桜は1列のみ)。人形はお揃いの紅い着物。袖を振るたび揺れるフリンジ(?)のような飾りも可愛らしい。曲も綺麗で退屈しない。

鶊山姫捨松
〜中将姫雪責の段〜
非常にややこしい話がこの段の前にあるらしい。登場人物は、右大臣藤原豊成、その娘中将姫、次期天皇の座を狙う長屋王子の乳母であり豊成の後妻である岩根御前、長屋王子派の藤原広嗣、豊成の館に勤める侍女の桐の谷と浮舟。

藤原豊成の館。侍女の桐の谷と浮舟が争っているところへ岩根御前登場、中将姫に味方する桐の谷を「憎き女」とののしり、追い払う。さらにそこへやって来た藤原広嗣と2人、中将姫を殺してしまおうと話す。

素足に下げ髪の中将姫が奴たちに引っ立てられ登場。上手に姫の半身が覗いただけでゾクゾクっとするオーラが……。遣うは吉田文雀さんである。凄いものだ。語るのは豊竹嶋大夫さん、こちらも最初からお顔にパァーッと血が上り、たっぷりと聴かせてくださる。

襦袢1枚で庭に突き放され、割竹で打ち据えられる中将姫。姫にかけられた疑い(=千手観音の尊像を盗んで隠した)は実は責めている側の岩根御前の企みなのだが、何がどうしてこうなったのか、岩根御前という人物はよほど悪どく、よほど権力があるのだろう。

姫があまりにも哀れで、奴たちも打ち続けることができなくなると、ついに岩根御前が自ら手本を示す、と割竹を手に取り姫を打ち始める。陰謀の完成のためなのか、あるいは前妻への嫉妬がこうさせるのか。人形とはいえ凄惨で見るのもつらい。
 桐の谷が駆けつけ割竹を取り上げると、浮舟も出てきてまたもや女の戦いに。この騒ぎの中、浮舟の振り上げた割竹が姫に当たり、姫は絶命。すると、もともと姫を殺すつもりだったのに広嗣と岩根御前、これはヤバいとこそこそ逃げて行く(最初からこんなことしなければいいのに……)。

不仲と見せかけていた桐の谷と浮舟、実は同志であり、姫は死んだ振りをしていただけ(だったらあんなに叩かれる前に助ければいいのに……)。歩くのもままならない姫を両側から支え、鶊山に逃れようとすると、豊成登場。岩根御前の悪行は知っていたけれど、ここで岩根の邪見を明らかにすれば天皇に迷惑がかかるから黙っていた、と言う。死骸となった娘にせめて別れを告げたいと出てきたのである(後妻を離縁することはできないんだろうか?)。

「コリヤ推量せよやふたりの者、親ぢやもの、子ぢやもの、心の内の悲しさは鉛の針で背筋を断ち切らるるもかくやらん」……と、真情を吐露する豊成の語りの辺りで、三味線の糸が切れてしまったらしい。ふと床のほうを見ると、手早く代わりの糸を張り調節している竹澤宗助さん。こういうこともあるんですねぇ。しかし、見ていなければ気がつかなかっただろうと思う。

侍女の制止を振り切り父の前に出る中将姫。親子が別れを惜しむ場面でこの段は終わる。浮舟と姫はいつ打ち合わせをしたのだろうとか、後で死んだ振りをするのなら、責められている間に口にしたことは一体何だったんだろうとか、いろいろ疑問の多いお話ではあったが、とにかく姫が拷問されるところが非常にリアルで残酷で、それに驚いてしまって観ているうちは何も考えなかった、凄かった。

壺坂観音霊験記
〜土佐町松原の段〜
壺坂寺の縁日、参詣帰りの人々が茶店で休んでいると、お里が通りかかる。お里は盲目の夫、沢市によく尽くし、しかも美人。褒めそやす人々。お里は、沢市こそ立派で自分には過ぎた夫であると言い、みんなはすっかり感心して、観音様にお願いしてみてはと勧めるが、お里は貧乏暇なしだと言って家路を急ぐ。

〜沢市内の段〜
ここが本日のお楽しみ、聴いてみたかったところである。語りはもちろん住大夫さん。

せっせと縫い物などに励むお里。沢市が珍しく三味線を弾き唄など歌っているので、「よい機嫌ぢやの」と話しかけると、「モウモウ気が詰まつて詰まつていつそ死んでものけう」などと言う沢市。
 夫婦になって3年の間、毎晩七つになると妻が家を抜け出すことをずっと気に病んでいたが、自分は盲目であり顔には疱瘡の痕があるのだからもう諦めている、他に男がいるのなら嫉妬などしないから打ち明けてくれ、と頼む。
 3年にもわたって鬱々と我慢していたのは驚きだが、自分は妻に不釣り合いだと思っている沢市の心情が切ない。思わずつられて涙ぐんでしまう。しかしお里にしてみれば、こんなことを言われるのは青天の霹靂である。ここから有名なお里の口説、「三つ違ひの兄さんと、云ふて暮らしてゐるうちに……」が始まる。
 この口説、書かれたものを読んだ印象では、取り乱したように力を込めて語るのかと思っていたのだが、住大夫さんは意外なほど静かに、だが切々と語った。あぁ、これなんだ、こういう語りなんだ……と感動を覚える。

3年の間、お里は夫の目を治してくれるよう観音様にお詣りし続けてきたのだった。自分の悩みを思わず口にしたことで、初めて妻の誠実な気持ちを知り、お里に詫びる沢市。何事かを思って「未来は……」と言いかけ先を言わない妙、ここで先の展開に含みをもたせておいて、お里とともに観音様にお願いに行くから手を引いてくれと言う。

※ 住大夫さんの白湯汲みをなさっていた太夫さん(文字久大夫さんでしょうか)、語りの間中、ずっと口許が動いているのが見えました。やはり稽古熱心な師匠には稽古熱心なお弟子さんが育つのでしょう。こうやって芸を磨いていくんですねぇ。

〜山の段〜
お互いに相手のことを思い遣りながらすれ違っていた夫婦をしみじみと静かに語った住大夫さん。最後の段は伊達大夫さん病欠のため千歳大夫さんがピンチヒッターを務めた。すると、沢市が別人のようになってしまってビックリ。
 実は沢市には思うところがあってわざと快活に振る舞っているので、多少人格が変わったように見えてもおかしくない理由はあるのだが、太夫さんそれぞれの個性というのは面白いものだ。
 明るく山を登っていき、本堂まで辿り着く2人。沢市はお里に、ここで3日間断食してお願いするから、お前はいったん戻って用事を片付けるようにと言う。お里は沢市の言葉を信じてこの場所を動かないよう念を押し、家に戻る。
 お里がいなくなると沢市は、妻が3年間も祈り続けてもご利益はないのだから、妻の幸せのためには自分がいなくなればいい、と谷底へ身を投げる。しばらくして、お里が戻ってくると沢市の姿が見当たらない。ここですでにお里の髪や着物が乱れているのはおかしいな、と思ったのだが、胸騒ぎがしたので慌てて駆け戻ったということを表しているのだろう。
 沢市が残していった杖を見て崖に上り、谷底に夫の遺体があるのを発見して、お里は半狂乱で連れて来たことを悔やむ。この悔やみ方が物凄い。「エヽこちの人聞こえませぬ聞こえませぬ、聞こえませぬわいな〜」。語りも人形も実に迫力がある。

散々悔いた後、お里はこれも運命と冷静になり、夫の後を追って身投げする。ここで終わってしまうとやり切れないが、このお話のよいところは、ちゃんと続きがあることだ。
 観音様が現れ、沢市の目が見えなくなったのは前世の業によるもの、しかしお里の日頃の信心に応えてもう少し寿命を延ばしてやろう、と告げると、2人は生き返る。しかも沢市の目は見えるようになっている。2人で観音様の霊験を喜び、感謝するところでおしまい。

拷問の後だけにハッピーエンドは気持ちがいい。明治の作品なので言葉もわかりやすくて、私のような初心者には向いているかもしれない。

ところで、今回「資料集」というのが売られていたので買ってみた。上演年表や解説、芸談などが収載されている。この芸談はちょっと素人には難しかったが、よく読んでおいて、いつか今日の演目を見直したときに参考にしてみたい。

三宅坂を出たときはまだ降っていなかったが、練馬に戻ったらみぞれが降っていた。雪は大好きだが、とりあえず帰るまで積もらなくてよかった。これも観音様の霊験か?f0061021_2461125.jpg
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by slycat | 2008-02-10 03:03 | 文楽

思わず……

失礼して親馬鹿ぶりを発揮。こういう顔をされると、つい甘やかしたくなる。

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ご当人(モル)は、生きるために必死なだけなのだが。野菜が欲しくて、思わず前脚に力が入るプー。
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by slycat | 2008-02-09 22:17 | モルモット

タオル1枚で生活が変わる

毎日飼い主を悩ませたり笑わせたりしているモルモットのプーちゃん。いまだ飼い主自身が初心者であるため、プーちゃんも迷惑しているだろう。

プーちゃんのケージは、金属製の細い棒が横に渡っているタイプで、床も同様である。そのままだとモルモットのか細い足が落ちてしまい危険なので、上にペットシーツを敷いている。排泄するものの量がびっくりするほど多いため、毎日1回夜の餌の時間に取り替えている。

なるべく余計なものは置きたくないので、ケージの中には牧草フィーダーと家、ほかにペレット入れと野菜用の皿だけを入れている。この「お家」も、箱型ではなく、木の枝のようなものを筏状につなげたものをアーチにしたもの。プーちゃんは何か怖いことがあるとそこに逃げて行く。

しかし、逃げ場としての機能は果たしていたものの、肝腎の家としての機能には問題があったらしい。昼間ケージを覗くと、野良寝しているプーちゃんの姿をしばしば見かけた。快適な住まいにはほど遠かった。

モルモットは南米原産で、インカ帝国では食用として飼われていたらしい(ひえぇ〜)。木のうろや根元、岩陰に住んでいたらしく、隠れる場所がないと安心できない性質らしい。なので家を設置してみたのだが、何か違う……。

ハムスターの場合、彼らは砂漠や草原の地下に深く穴を掘り、餌を貯めておく穴やトイレ、寝るところ、とそれぞれ上手に部屋を作っているらしい。ペットのハムスターはモルモット同様にケージで飼われているが、床材(紙、ウッドチップ、牧草)などを利用して器用に巣を作る。掃除してみればわかるが、おやつを隠しておく場所など自分でキチンと決めている。

プーちゃんには材料すら与えていないが、与えたところでハムスターのような器用な前脚や頰袋があるわけでなし、自分で巣を作るのは無理である。人間が考えなければならない。先輩飼い主さんに学ぼうと、ブログやHPなどいろいろ探していたら、家の中にタオルを敷いている人がいた。そのお宅のモルちゃんがタオルの上ですやすや眠っているのを見て、「これだ!」と思う。

早速タオルを三つ折りにして敷いてみた。すると……。プーちゃんの野良寝がピタリとやんだではないか。わー、やっぱり柔らかいのがいいよねぇ。ごめんねプー、すぐに気がつかなくて。プーはタオルのおかげでぐっとくつろげるようになったらしく、今では覗くと家の中にいる。ヤッタァー、大成功!

しかし、ここにも問題が発生した。モルモットだから仕方がないのだが、せっかくのふかふかタオルに、したい放題やらかすのである。しかも、家の中にいる時間が長くなったため、固形物のほうも家の後ろに集中することになった。ペットシーツを取り替えるときに家を持ち上げたら、家があった場所の後ろに固形物の「帯」ができていた。強烈だ……。

濡れタオルの上に寝たりして気持ち悪くないのか? 飼い主の当惑をよそに、プーちゃんは少し幸せそうに見える。今さら取り上げるわけにもいかないので、毎日地道にタオルを交換することにした。
 居心地がよいらしく、餌入れも家の前に引っ張って来て(前歯でくわえて引きずるのである)、家の中から食べている。水入れも家の前にあるので、ここにいればわざわざ出かける必要はない。すっかりものぐさになってしまったプーちゃんである。f0061021_15332337.jpg
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by slycat | 2008-02-08 15:39 | モルモット

こんなところに

立ち食い蕎麦、好きですか? 高校に入って電車通学をするようになった頃、毎朝駅の立ち食い蕎麦店で蕎麦をかっ込んでいるサラリーマンを見ると、何だか羨ましかったものだ。社会人になると、「夢」は簡単に叶った。単純に朝早く起きられないので、慌てて家を飛び出しては駅の地下にある立ち食い蕎麦のお世話になった。
 喫茶店でモーニングセットを頼むより速く、食べて温かいのが嬉しい。おじさんばっかりの店内に入るのをためらう女性もいるだろうが、20代の頃から利用している。今では押しも押されぬおばさんなので、平気で入ることができる。

先日地元で、混雑を避けて路地裏に入ったら、「めん処」の幟を見かけた。こんなところにこんなお店、あったっけ? ランチタイムはとっくに終わっている時間帯、昼食をとっていなかったのでこれ幸いと中に入ると、食券を買うタイプの蕎麦・うどん店。ちゃんと椅子があって座れるので立ち食い蕎麦、じゃないんだけれど、ふらっと寄ってすっと気軽に入れる。手前がカウンター席で、奥には大きなテーブルがあった。
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ここのお店のウリは、天然だし、ということらしい。きつねそば(立ち蕎麦ではこれが私の定番なのだ)を食べてみた。蕎麦は普通かな、という感じだがつゆのほうは本当に天然らしく、化学調味料のいやな後味がない。へぇ〜これは凄いかも。

今日は風邪を引いて会社をサボッたので、また行ってみた。「関西風うどん」というのが気になったので、それに決めた(450円也)。
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ネギ、三つ葉、炙って細い短冊にしたうす揚げ、とろろ昆布が載っている。ひと口すすってみると、いきなり柚子の香りがした。昆布だしだと思うが、透き通ったつゆで、本当に薄味だ。風邪で痛い喉にも優しい。そして、うどんがほどよい硬さ、ほどよい太さで美味しかった。

ひとつ残念なのは、このお店、開いている時間が短いことである。昼頃から午後4時くらいまでしかやっていない(日曜日は休み)。夜開いていたら、飲み屋で一杯やった人たちがさぞ重宝するだろうに……。調理をする人がたった1人のようなので、あんまりたくさんのお客さんが来ると、対応できないのかもしれない。

しかし、この値段で採算がとれるのだろうか、ちょっと心配(元々は海産物問屋らしい)。ずっと長く営業を続けてもらいたいものである。


(由比亭:西武練馬駅、千川通りを渡って金物屋さんの横をずーっと入った右側にある)
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by slycat | 2008-02-07 17:34 | 日常のこと