ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31
カテゴリ
全体
ハムスター
テニス
ミステリ
日常のこと
音楽
その他スポーツ
大相撲
映画
小説
ドラマ
高校受験
文楽
旅行
ウサギ
モルモット
未分類
以前の記事
2016年 08月
2016年 03月
2016年 02月
2012年 09月
2011年 07月
2011年 03月
2010年 10月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 02月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 07月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
2008年 02月
2008年 01月
2007年 12月
2007年 11月
2007年 10月
2007年 09月
2007年 08月
2007年 07月
2007年 06月
2007年 05月
2007年 04月
2007年 03月
2007年 02月
2007年 01月
2006年 12月
2006年 11月
2006年 10月
2006年 09月
2006年 08月
2006年 07月
2006年 06月
2006年 05月
2006年 04月
2006年 03月
2006年 02月
最新のトラックバック
東レPPO 2007
from More to life
華麗なる敗者
from la mer | アンディ・..
ハムスターの飼育の基本
from ペットの飼育 ペットとの生活
矛盾だらけの大相撲
from ゆっくりゆっくり 音楽でも聴..
矛盾だらけの大相撲
from ゆっくりゆっくり 音楽でも聴..
「ナチョ・リブレ 覆面の..
from じゃがバタ~ 映画メモ
ハムちゃん夏ばてしてませ..
from ペットは犬?いやいや私はカメ..
MOTHER3プレイ開始!
from More to life
「ひよこはなぜ道を渡る」..
from 読書とジャンプ
私はこのダイエットで成功した
from 私はこのダイエットで成功した
お気に入りブログ
More to life
はむぅの宴
la mer | アンデ...
よる記。
メモ帳
ライフログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧


<   2008年 07月 ( 8 )   > この月の画像一覧

死にたくないと思えること

ハプニング(2008年米、原題 The Happening)
監督・製作・脚本:M. ナイト・シャマラン

『ミラクル7号』の翌日、地元の映画館で『ハプニング』を観る。『レディ・イン・ザ・ウォーター』ですっかりシャマラン・ファンになった息子が観たい、観たいと言うもので(ちなみに彼の出世作『シックス・センス』は、情けないことに私も息子も未見である)。

テレビスポットでさんざん「人類は滅びたいのか」のコピーを見せられ、ついでに言えば通勤の際にこの映画のでっかい広告を毎日見ていたのだが(だって改札の横にあるんだもんね)、実際に観てみて……果たして怖かった。

セントラル・パークを発端に、人々が次々と死んでいく。しかも殺されるのではなく、自ら死を選ぶのである。疫病のように広がっていく死の波は、主人公エリオットが暮らすフィラデルフィアにも押し寄せてくる。

ご承知のとおり、シャマラン監督はインドの人である。映画に描かれる「恐怖」の在り方は、ハリウッド的なものとは印象が違う。
 夫はこの映画を一緒に観に行っておらず、観に行くつもりもない、というのでシャマランがどのように描いたのか、食事をしながら説明していたら、例えばあるシーンはヒッチコックの『鳥』みたいだね、と言われた。

しかしヒッチコック(彼はイギリス人ではあるけれど)の恐怖は、あくまでも、わけのわからないものが襲ってくる恐怖、そのために命が危険に晒される恐怖だった。シャマランの恐怖は、わけのわからない理由により、自分で自分の命を断ってしまう恐怖である。しかも、この脅威からは逃げることができないのだ。

ハリウッド映画だったら、この映画のようなことが起こって何人かで安全な地へと逃げることになったら、必ずグループの中に科学者だの勘のいい人だのが1人はいてリーダーとなり、その都度、的確な判断でピンチを乗り切ることになるだろう。万一誰かが力尽きるのだとしたら、それはリーダーの言うことを無視した結果であったり、ほかの誰かを助けるための犠牲的行為の結果であるのだろう。

一応、主人公は科学の教師であるので、一応、起こっている事態に対して冷静に対処しようとはする。しかし、悲劇を防ぐほどの力は与えられていない。肩すかしを食ったような気分になる。
 この映画では、知識や良識があってもあまり助けにはならない。逃げ延びることができるとしたら、それは「運がよかった」ということにほかならない。えぇ〜っだってこれ、映画なのに。映画なのに逃げられないの? 運命を決定するのは人間ではないのだった。これは厳しい。

シャマラン監督が描きたかったテーマは、ひょっとしたら全然別物なのかもしれないが、この映画を観て受け取ったものがある。それは、人が自分で自分を殺すということが、実に醜い、ということである。シャマランは大胆極まりない映像で、これでもか、これでもか、とこの醜さを叩きつける。観るたびに、映画館の座席で私は飛び上がり、震え上がった。

もう時効だろうから書くけれど、こんなおばさんでも20歳前後のときはショーペンハウアーの『自殺について』かなんか読んじゃって、老いて醜くなる前に死んじゃえ、なんて思っていたのだ。しかし実際はこの年齢まで生き長らえている。死ぬ、ということは簡単であってはならない。死ぬ前にはいっぱい考えなければならない。
 死にたくない、と思えることは幸せである。当たり前のことのようだが、自分がこんなに幸せな人間だったとは。『ハプニング』観てよかった! 私は幸せだ!

映画館を出たら、風が吹いていた。ゾッとした。なぜゾッとしたのかは、映画を観た人にしかわからない。
[PR]
by slycat | 2008-07-31 22:51 | 映画

馬鹿にしたもんじゃない

ミラクル7号(2008年中国、原題:長江7号)
監督・製作・脚本:チャウ・シンチー

『カンフーハッスル』以来、何してるんだろうなぁ、と思っていたところへ公開されたチャウ・シンチーの最新作。貧乏親子とETの心暖まる物語(?)ということで、怖じ気づいたというか、胡散臭さを感じたというか、少々敬遠していたのだが、公開から1ヵ月が経過して、これ以上グズグズしてたら見逃してしまう、と決意を固めて観に行った。

上映している劇場を調べたら、何と「シネマスクエアとうきゅう」でしか観られない。以前『上海グランド』を観たのもこの映画館だったので、ここ10年くらいはアジア映画に力を入れているのかな、とも思うが、シネマスクエアとうきゅうといえば、私が学生の頃は、難解な文芸映画ばかりかける小屋だったのである。今ではあんまり珍しくもないが、毎回入れ替え制のため続けて観られない、フランス製の椅子を導入している、など当時としてはかなり画期的な、どちらかといえばお固い映画館だった。へえぇ、チャウ・シンチーの映画をシネマスクエアが……。何だか変な気持ちである。

1日に3回のみの上映で、しかも最後の回が15:15開始。平日にはとても行けないので、土曜日に息子を連れて行った。息子は『少林サッカー』を見せてからすっかりチャウ・シンチー・ファンとなっており、もちろん観に行くことに異論はない。いったん四谷3丁目まで行って立ち食い寿司(安くて美味い)の店でお昼を済ませ、新宿へ移動した。

道中、「今日は久しぶりにスカッと笑えるね」と言っていたのだが、結果的には滝のように涙を流して帰ることになった。もちろん、楽しくなかったわけではない。チャウ・シンチー節は健在で、彼が過去に撮った映画のパロディみたいな場面もあって大いに笑えた。だけど、一方で大いに泣かせる映画でもあったのである。

チャウ・シンチーは、今回の作品では脇役に徹しており、主人公は彼の息子ディッキーである。お父さんが日頃言い聞かせている「嘘をつかず、喧嘩せず、一生懸命勉強していれば尊敬される人になれる」という言葉を信じて健気に生きている。
 しかし貧乏だけはどうにもならず、運動靴が破れているからといって体育の時間に立たされたり、友達に馬鹿にされたりする。欲しいおもちゃも買ってもらえない。
 そんなある日、お父さんがゴミ捨て場から拾ってきた球状の物体が、可愛らしい生き物に変化する。ディッキーはこの生き物を長江7号(ナナちゃん)と名付け可愛がるようになる。

どうせCGなんだから、と思っていたのに、このナナちゃんの可愛らしさには脱帽する。本当に可愛い。ナナちゃんが画面に現れた途端、あまりの愛らしさにノックアウトされた。一時、学習能力のあるロボット犬が流行ったが、やっぱりペットというのは自由に行動し、人間の思い通りにならないところが愛おしいんだなぁと再確認する。
 この映画はスピルバーグの『E. T.』にインスパイアされて作られたのだが、ETとナナちゃんに違いがあるとすれば、ETがその超能力を惜し気もなく人前で披露するのに対して、ナナちゃんはこっそりと人知れず能力を発揮する、という点だろう。この辺り、実にアジア的な美学が感じられ日本人には理解しやすい。

今回、チャウ・シンチーはあくまでも子供向けの映画としてこの作品を作ったらしく、『少林サッカー』や『カンフーハッスル』のようなアクションはほとんどないし、彼独特の厳しいユーモア感覚(というものが存在するとすれば)も影を潜めている。しかし何か事が動くとしたら、それは情あってこそ、という姿勢は同じである。ディッキーとナナちゃんの間にある無条件の信頼関係、ディッキーとお父さんをつなぐ愛情、そういうものが素直に伝わってきて涙を誘う。

いやいや、こんなに泣いてしまうとは夢にも思わなかったが、非常に爽やかな気持ちである。シネマスクエアよ、四半世紀経ってようやくこの境地に至りましたか、よくやった! 「文芸映画」の建前なんかなくても、いい映画はちゃんと人に何かを伝えるものなのである。

それにしてもチャウ・シンチーって、貧乏を描かせたら世界一だなぁ。どんなに才能があっても、作品がヒットしても、どこか貧乏臭さを漂わせていられるところが凄い。ずっとこのまま、庶民の味方(?)の映画人であって欲しいと思う。
[PR]
by slycat | 2008-07-27 01:52 | 映画

プーよ、素直に涼め

ウインブルドン以後、体調がぐだぐだだったところへもってこの暑さである。何もする気が起こらない。それでも人間はまだマシだ。動物たちにとっては地獄である。ウサギのウーさんは息子の部屋にいて冷房が使えるのだが、プーとハムスターたちがいる私の部屋ではエアコンが壊れており、暑さの影響をモロに受けている。週末には買うつもりなので、もうちょっと我慢してもらいたい。

少しでも涼しくしてやりたいので扇風機を回しているが、生暖かい空気をかき回しているだけでは辛い。そこで小動物用の大理石プレートを買ってきた。好奇心旺盛で恐れを知らないハムスターたちは、ケージに入れた途端にプレートの上に乗り、めいめい毛づくろいなどしてくつろいだ(グレーの上にグレーのハムスターなのでわかりづらいが、プレートの上にぺっとりと寝ているのはキャンベルのジュジュである)。
f0061021_21483065.jpg

問題はプーである。どういうわけだか、プーは大理石プレートが怖いらしい。移動するときもよけて通り、間違って上に乗ってしまうと、驚いてペレット入れを蹴飛ばし、お家に逃げ込む。何なんだ、君は。せっかくひんやりして気持ちがよかろうと思ったのに。
f0061021_21492333.jpg

おお、乗ったぞ、と喜んだのも束の間……
f0061021_2150882.jpg
なんか、露骨によけてる〜!!
[PR]
by slycat | 2008-07-14 21:53 | モルモット

ナダル、芝を制す!

The Championships, Wimbledon 2008 FINAL
R. Nadal d. R. Federer 6-4, 6-4, 6-7, 6-7, 9-7

長い長い決勝戦だった。観ていただけでもぐったりなのに、戦った2人には本当にお疲れさま、有難うと言いたい。

3年連続で同じ組み合わせとなったウインブルドン決勝。2人が別々の相手とそれぞれ戦っていたとき、すでに彼らの圧倒的な強さはいやというほど見せつけられていたのだが、2人が同じコートに立つと、さらにその恐ろしさが明らかになった。信じられないほど高いレベルのテニスが今、ここにある。凡人にはそれだけしかわからなかった。

最初から2人ともガンガン飛ばしていたので、大丈夫かなと思った。当然だが2人とも真剣そのもの。
 フェデラーに勝つにはミスは許されず、たったひとつチャンスがあれば必ずもぎ取ることが必要だ。ナダルはうまくそのチャンスを摑んだ。つまり自分のゲームは必ずキープし、ひとつでいいから相手のゲームをブレイクすること。
 どちらかと言えばナダルのサービスゲームのほうがデュースにもつれていたにもかかわらず、ブレイクを大事に守ってナダルが2セット先取した。サーブを打つのに時間をかけ過ぎる、と主審に警告をとられても動じなかった。逆にフェデラーのほうはナダルのゲームを崩せず、苦しい立場に追い込まれた。

ところがどっこい、雨による中断の後、王者フェデラーの逆襲が始まった。今までにも似たようなことがあったな、2セット取っていたのに逆転負けしたことが……。だからフェデラーは怖いのだ。勝つまでは安心できない。
 ナダルは第3ゲームのときに剥げた地面に足を滑らせ、右膝の痛みを訴えてトレーナーを呼ぶ。せっかくここまできたのに、まさか万事休す? しかし大怪我ではなかったようだ。再びコートに戻り、ナダルは何もなかったかのようにプレーを続けた。
 お互い一歩も譲らずタイブレイクとなった第3セット、フェデラーのサーブがナダルを上回った。フェデラーが第3セットを取る。

第4セットに入っても、勝負の流れはフェデラーに行ったりナダルに行ったり。厳しいボールの応酬が続いて再びタイブレイクに。今度はナダルがフェデラーを攻め、ついにチャンピオンシップポイントを握ることとなった。ナダルのコーチ、トニおじさんも思わず立ち上がり勝利を確信する。
 ウインブルドンの観客は完全にフェデラーの味方となり、ロジャー・コールが沸き起こった。これに応えるように頑張るフェデラー、ナダルのバックハンド・ショットがエラーとなり、何と試合はファイナル・セットへ。やっぱりこうなっちゃうのか。

第5セット第5ゲーム、2-2、デュースの時点で再び雨。全くロンドンの空は移り気だ。しかしこれも今年までのこと。来年からは雨が降っても屋根ができるから試合は続行されるんだなぁ。

試合が再開され、第8ゲーム、3-4のときはあわやフェデラーがブレイクするかと思われたが、ナダルはこれを凌ぐ。観客席(トニおじさんたちとは別の席だ。遠慮したのかな?)のご両親が両の拳を振り上げて息子を讃えていた。本当に、どんな気持ちだろう、こんな局面にいる息子を見ているというのは。

第11ゲーム、今度はナダルにブレイクチャンス。しかしフェデラーもこれを凌ぐ。もちろんフェデラー陣営でもご両親とミルカさん(ついでにグウェン・ステファニーも)が必死の応援をしており、一喜一憂。試合をしている2人も大変だが、見守る家族の心労が慮られる。

第13ゲーム、40-30でフェデラーのボレーがネットにかかり、またまたデュース。今度こそピンチかと思った、が、ここでも凌いでフェデラーの7-6に。しかし次のゲームをナダルがキープして迎えた第15ゲーム、ナダルがとうとうブレイクした。今度こそ、とばかりにトニさんらが立ち上がる。
 ナダルのサービス。リターンが少し長くなり、最初のポイントはフェデラーへ。するとナダルはサーブ・アンド・ボレーで次のポイントを取った。その次も一度返した後ネットに出て30-15。またフェデラーが取って30-30。
 ここで主審が観客に向かってフラッシュ撮影をしないよう注意したが、その後ナダルのサーブに時間がかかったのに憤ったか、フェデラーが何事か訴えていたようだ。主審パスカル・マリアさんの戸惑ったような顔が映るが、彼は特に警告を出さなかった。苛々が災いしてか、フェデラーのボールがアウト。しかし次は苛々を力に変えて素晴らしいリターンエースでデュースに。この場面でこんな球が出てくるなんて、驚いてものが言えない。

再びナダルのサーブ。フェデラーのリターンが大きくアウトすると、トニおじさんはもう座っていられない。ナダルのお父さんの横で落ち着きなく立っている。最後のサーブ。静かに打ち合う2人。フェデラーのボールがネット。ナダルの優勝が決まった。コートにひっくり返るナダル。陣営のほうも大騒ぎだ。

フェデラーと肩を抱き合い、讃え合った後、ナダルは勝者の特権として家族のもとへ上った。嬉しそうなご両親、おじさんたち、みんな笑顔だ。こういう場面を見ると胸がいっぱいになる。お父さんにスペイン国旗を手渡され、ちゃんとスペインのフェリペ王子ご夫婦(だと思う)にも挨拶してからベンチへ戻った。

あっという間に準備が終わり、セレモニーが始まる。大事そうにトロフィーを抱えるナダル。ここでインタビューに応えなければならないのはフェデラーにとって残酷だが、彼はきちんと責務を果たした。ナダルも控えめに喜びを語りつつ、フェデラーに対する敬意を忘れなかった。

ナダルの初優勝はとても嬉しい。いつも「もっと進歩しなくっちゃ」と言っているナダル、バックハンドや戦い方など、本当に目覚ましい進歩を見せてくれた。それに2年連続で負けているんだもの、今年勝ってもいいじゃない……。でもフェデラーの気持ちを思うとほろ苦い気分になる。勝ちたかったよねぇ。

「テニスでは、残念なことに必ず勝者と敗者がいなければならない、引き分けはないんだ」。試合後、フェデラーは言った。かつて同じ意味の言葉がアガシによって語られたときは「だからテニスは美しいんだ」と締めくくられたのだが。
「とても辛いよ……。パリで負けたことは僕にとって何でもなかった。ここで負けるのはdisaster(災難)だ」

フェデラーはオリンピックに出場し、USオープンでいい結果を出してシーズンを終えたい、と言っている。ウインブルドンで味わった失意を次に戦うときのための力に変えて欲しい。
 そしてナダル、本当におめでとう! 頑張って頑張って、ついにクレーだけでなく芝でも勝てることを証明した。今回の勝利は、そのために重ねてきた努力にふさわしい。

寝不足続きのウインブルドンはすべての試合が終わった。これでゆっくり眠れる。おやすみなさい、また来年!
[PR]
by slycat | 2008-07-07 12:41 | テニス

ヴィーナス優勝

V. Williams d. S. Williams 7-5, 6-4

2003年決勝以来の姉妹対決。あのときはヴィーナスが腹筋だか背筋だかを傷めており、いまひとつピリッとしなかった(でも棄権しなかったのは凄かった)。エナンが準決勝で敗れてしまっていたのでガックリ、「まぁたこの2人かよ〜」とテンションは下がりまくっていた。
 しかし今思えば、このときが“姉妹”としてのピークだったのかもしれない。その後ヴィーナスにしてもセレナにしても、怪我に見舞われ長く苦しんた。今回のAll-Williams対決が5年振りだとは……。2003年当時、こんなことになるとは夢にも思っていなかった。あのとき、「またか」と思ったこと、実は後悔している。

一方エナンは同じ年、2つのグランドスラム・タイトルをとって名実ともにNo. 1となった。エナンは2004年全豪優勝の後、病に襲われて残りの3大会をふいにしてしまったがアテネ・オリンピックで金メダルを獲得、ベルギーの英雄となって面目を保ち、2005年の全仏で復活、その後3連覇とUS OPENタイトルを取り、いろいろあったが今年、No. 1のまま引退した。

エナン・ファンの私にとってウイリアムズ姉妹は常に目の上のタンコブであり、記者会見でエナンが「彼女たちに勝つためには何が必要か、わかってはいるけれど難しいわ」と語るのを見るにつけ悔しかった。ほっそりと可愛らしかったエナンが筋肉ムキムキになって現れたのを見て驚き、ウイリアムズのためにここまで……と感心する一方でやはり悔しかった。恵まれた身体をもった2人がスイスイ勝つのは当たり前じゃん、全然面白くない、と憤っていた。

しかし、エナンがいなくなった今、結局頼りしたのはこの2人。エナンがいなくなった途端にするっとNo. 1の座が手に入るなんて納得できない、ウイリアムズじゃなければディメンティエワか、ダヴェンポートでもいい、“あの頃”活躍していた人にタイトルを取って欲しい。歪んだファン根性が暴走した。

そうしたら、そんな願いが叶ってしまったではないか。正直言って驚いた。圧倒的にセルビア勢有利だと思っていたし、クジーやシャラポワにもチャンスがあると思っていたのだが、マジで強いぞこの2人(ちなみにディメンティエワも頑張ってくれ、非常に満足した)。

今回の興味は、いつも何となく妹に遠慮しているんじゃないかと思われるヴィーナスが、セレナを敵としてどこまで攻められるのか。前回はエナン贔屓のため色眼鏡で見てしまった悔いが残るので、観客として真剣に付き合いたかった。

いや、もう、全然心配する必要はなかったようだ。2人とも容赦なく自分の試合をした。2人のお父さんは見るに忍びない、とアメリカに帰ってしまったそうだが、これはぜひ見てあげて欲しかった。素晴らしく真剣で、素晴らしく非情だった。

相手が誰でも関係なく攻めていけるだろうと思っていたセレナ、やはり最初から好調だった。解説の神尾米さんが「今回のセレナは丁寧にプレーしている」と仰っていたが、動きもいいし、チャンスでネットに出ていくタイミングも早い。これはまたセレナかなぁ、などと思った。

しかし、ヴィーナスは冷静だった。試合の途中、風が強くなってきて何度かサーブに支障をきたしたが、慌てず騒がず、風に流されるボールに対して的確に対処していった。反対に、セレナのほうには苛立ちが見られるようになった。大きな空振り。入るはずのボールが入らないことに腹を立てる。それが表情に現れた。
 ヴィーナスがセレナに追いつき、7-5で第1セットを取る。第2セットに入っても風は止まない。セレナの苛立ちも収まらない。何度となく、自分本来のプレーができるよう、自分自身に何事かを語り続けるものの、ひたすらマイペースで打ち続けるヴィーナスに、隙はなかった。

第1セット、ラリーの途中で大声を出してしまい、主審がリプレーを告げた場面で「今のは私が悪かった」とヴィーナスのポイントを認めたセレナは偉かった。相手がお姉さんだから、ということを差し引いても偉かったと思う。大人になったねぇと褒めてあげたい。
 本当は悔しくてたまらなかっただろうに、準優勝のプレートを手にポーズをとり、ユーモアを忘れずインタビューに答えたところも立派だった。そして強風にもめげず、妹のガッツにも負けなかったヴィーナスは美しかった。

“若手”トップシードたちが結果を残せず、ウイリアムズ姉妹が決勝に残ったことに対して、当然「不甲斐ない」「女子テニス界はこれでよいのか」という声が挙がるんじゃないかと思われるが、姉妹が歩んできた道程を思えば、まだまだ2人の時代が続いてもいいような気がする。
 25歳であっさりキャリアを捨てたエナンを責める気持ちはないけれど、寿命は延びているんだもの、アスリートの活躍期間も延びていい。ディメンティエワがベスト4に入ったことも嬉しいし、タナスガンの頑張りも印象的だった。みんなが納得できるまでプレーを続けてくれればいいと思う。

何だかんだ言いながら、結構楽しめたウインブルドンも、後は男子決勝を残すのみ。さて、今夜、結果はどうなりますか……。
[PR]
by slycat | 2008-07-06 12:54 | テニス

そして2人が決勝へ

R. Federer d. M. Safin 6-3, 7-6, 6-4
R. Nadal d. R. Schuettler 6-1, 7-6, 6-4

第1試合
サフィンがセンターコートに帰ってきた。肩を揺すりながら歩く姿は熊のよう。放たれる重いショットはまさにグリズリーの一撃のごとし……。やっぱりこの人には大舞台が似合うなぁと思う。
 観客席にはボルグの姿。自分の記録が破られるかどうか、気になっているだろうな。今年は来ていないかと思っていたクリフ・リチャード氏もちゃんと座っていた。決勝を別にすれば、今大会最も注目される試合である。

フェデラーにしてみれば、サフィンは何度も闘ってその実力が十分わかっている相手。彼が準決勝に現れても驚きはしないだろうが、サフィンにとっては大事なチャンスだ。それに、どうも彼は小さなトーナメントを地道に回ってランキングを上げていくのが似合わない。グランドスラムで一発当てるほうが向いている。

サフィンが出場する試合が「いい試合」になるかどうか、それはいつでもサフィン次第である。対戦相手は世界No. 1なのだから、本気にならないわけがない。しかし相変わらず、表情こそ真面目だが、何だか無造作に打っているような感じ。まぁ、それが彼の魅力なんだけれど。
 誰もが期待するこの試合、それにしてもWOWOWの番組スタッフはちょっと画面を作り過ぎ。三文小説の惹句じゃないんだから……見ていて恥ずかしい。

いきなりブレイクされてしまってオイオイ、しっかりしてくれよと思う。プレースタイルは全然変わっていないようだ。独特の打ち方、独特の雰囲気。サーブも重そう。さすがのフェデラーもやりづらそうに見えたが、「そういえばサフィンてこうだったかな」くらいの印象だろうか。フェデラーが25分であっさり第1セットを獲った。

1セットダウンでかえってすっきりしたのか、第2セットは少し気持ちを引き締めてきたような。いいサーブが入ってゲームをキープ。でもまだボールが長い。ネットに引っ掛けるよりはマシだけれど。
 このセットを取れたら、サフィンにも勝機があったと思う。サフィンだって、フェデラーに2セット先に取られてしまったら後がなくなることくらい承知していたはずだ。だけどフェデラー相手にミスを重ねたのは致命的だった。もう少し集中できていればなぁ。フェデラーは3分の2くらいの力しか出していなかったのではなかろうか。
 恐らくそんなことも全部わかっていただろうから、余計にサフィンの苛立ちは大きかった。お馴染みのシーンではあるが、ラケットを叩きつけてぶっ壊す。それでも足りずにベンチにラケットをぶちかまし、主審のグラフさんにジロッと睨まれた。

結果はやっぱりフェデラーの勝ち。力だけ、技術だけでは語れないフェデラーの強さをしみじみ感じた。それでも勝利の瞬間、飛び上がって喜びを表したフェデラー。後のインタビューで「僕は芝では無敵だ」と言ったフェデラーといえどもサフィンには脅威を感じていたんだ……と思っておこう。

それでもサフィンの強さが健在だということは十分証明されたと思う。2004年、フェデラーに負けるたびに悔しい思いをし、マスターズ・カップでも打ちのめされた彼が、翌年の全豪準決勝で見せた奇跡的なテニスを忘れない。彼はまたやってくれる。そう信じて、残りのシーズン、見守っていくつもりである。

第2試合
ベッカー、シュティヒに次いでドイツでは3人目のSF進出。ず〜っと不調を囲ってきたシュトラーだけど、彼は本当に不思議な人だ。2003年の大活躍、2004年アテネ・オリンピックでのメダル獲得など、彼よりずっと華やかで才能のありそうな人たちを差し置いて、いいところで母国に貢献しているように思える。
 フィリポーシスやクエルテンがノー・スポンサーでコートに現れたり、アガシがウェアをアディダスに替えたときは、スポーツ・ビジネスの厳しさをひしひしと感じたものだが、シュトラーは相変わらずフィラを着ているし、ラケットも変わらずヘッドのまんま。彼のマネージャーがしっかりしているのだろうが、日本で考えられている以上にドイツでの評価は高いんじゃないかと思う。

観客席にはご両親の姿が。親孝行だなぁ。だけどいいんだろうか、ナダルとの対戦なのに呼んじゃって……。要らぬことを考えながら試合を観る。
 いきなりナダルがガンガンとシュトラーを圧倒する。うわぁもう見ていられない、どうすんのよ。クレメンとの長丁場の後にしては疲労の色は見られなかったが、全然歯が立たないんじゃないだろうか。

ところがあっさり1セットを落とした後、彼は頑張った。どちらかといえば彼はフォアよりバックハンドが得意で、2003年は特にダウン・ザ・ラインで随分ポイントを稼いだものだが、開き直ったのだろうか、いいボールがちゃんと入るようになった。ボレーもきれいに決める。諦めることなく左右に、前後に走る。

シュトラーの粘りに対して、今度はナダルの調子がおかしくなってきた。解説の土橋さんによれば、早くポイントを取ろうと焦る気持ちがミスにつながる、とのこと。ナダルでも苛々することがあるんだ……。相手のボールを走って走って打ち返す、というスタイルはナダルに似ている面がある(ついでに言えば、ベンチでペットボトルをきちんと並べる点も似ている)。自分がやられるといやなものなんだろうか。

苛々の理由は、剥げてしまった芝に足をとられて、思うように動けないところにもあったようだ。ナダル陣営が新しいシューズを届ける。すぐには履き替えなかったが、結局何ゲームか後のコートチェンジの際に履き替えた。それでも足がもつれる場面があったので、ひょっとしたらどこか痛いんじゃないだろうかと心配になる。

しかしシュトラー、力及ばず。苦しくても勝つ、そこがナダルの凄いところ。第2セットのタイブレイクを何なく取り、第3セットでもすがるシュトラーを振り切った。結局ストレートで準決勝に進出。久々のシュトラーの大活躍は、ここでピリオドを打たれた。

でも、頑張ったよねぇ。第2セットは、ひょっとしたら取れるんじゃないかと期待させてくれた。ナダル相手にここまでできたんだから、ビールをザブザブかけて祝ってあげたいと思う。彼が一番得意とするのはハードコートなので、北米のUS OPENシリーズでもこの勢いを絶やさず、実力を発揮して欲しい。
[PR]
by slycat | 2008-07-06 11:27 | テニス

ウインブルドン:いよいよ準決勝

女子決勝の組み合わせはall-Williamsに決まった。以前なら「またか……」と文句を言っただろうに、今回は嬉しく思うのだから、勝手なものである。やっぱりこの人たちが元気じゃないと、テニスは面白くない。

一方、男子のほうは1試合雨で翌日まで持ち越されたものの、準決勝のカードが決まった。週末でよかった、仕事中、眠くて仕方がないんだもの。

第1試合 ロジャー・フェデラー vs マラト・サフィン
第2試合 ライナー・シュトラー vs ラファエル・ナダル

正直なところ、いくらシュトラーのファンでも、第2試合のほうの結果はすでに見えているような……。クレメンとのQFは何と5時間にわたったという。さすがに粘り強い、2人とも。だけどその翌日にナダルと戦うなんて、本人のせいじゃないけれど無謀だ。

「イギリスの人たちは負けそうなほう(underdog)を応援するんでしょ? 僕、間違いなく負けそうだよね」だなんて本人が言っていることだし、シュトラーが決勝に進む確率はかなり低いだろう……と書いてしまう。でもいくら相手がナダルだからといって、ボロ負けはして欲しくない。というか、しないんじゃないか、今回のシュトラーは。
 2003年の勢いをもう一度! 2004年モンテカルロ準決勝のときみたいに徹底してサーブ&ボレーで攻めるとか、何か奇策が欲しいな。頑張れKorbacher!

そして、サフィン対フェデラー。これがどっちへ転ぶのか、全くわからない。論理的に考えれば絶対フェデラーが勝つはずなんだけど、サフィンが絡んでいると何かが起こりそうな気がしてしまう。あくまでも希望的観測ではあるけれど。見てみたいなぁ、2004年マスターズ・カップのときみたいな、2005年全豪準決勝のときみたいな手に汗握る熱戦を……。
 サフィンを見ていると、頭の中で"Hose Runter"(Die Prinzen)という曲が鳴り出すのだけれど、なぜかというとそのものズバリ、全仏オープンで曲名と同じことをしたからである。言葉の意味としては「開き直れ!」ということらしい(以前は歌詞の和訳を紹介してくれる方がいらっしゃって助かっていたのだが、事情により歌詞を公開できなくなり残念だ)。実際に行動に移さなくていいから(何しろここはウインブルドン)、気持ちだけは開き直ってもらいたい。

さてさて、明日は休みだし今夜はずっと起きていられるぞ。選手の皆さん、いい試合を頼みます!
[PR]
by slycat | 2008-07-04 16:03 | テニス

ウインブルドン:驚きのベスト8

エナン引退後のウインブルドン。女子のほうはトップシード4人が消えてしまい、波乱のセカンド・ウイークとなっているが、男子のほうも驚きの顔触れがベスト8に残った。

男子QFのカードは、
 ロジャー・フェデラー vs マリオ・アンチッチ
 マラト・サフィン vs フェリシアーノ・ロペス
 アルノー・クレメン vs ライナー・シュトラー
 ラファエル・ナダル vs アンディ・マレー

それぞれ出身はスイス、クロアチア、ロシア、スペイン、フランス、ドイツ、イギリスとヨーロッパ勢が圧倒しており、かつてテニス王国だったアメリカのアの字もない。

フェデラー、ナダルを除けば、ほかの6人は大会前には予想だにしなかった顔触れである。ジョコヴィッチやロディックが入っていると思っていたのだが……。何でも始まってみるまではわからないものである。
 
マレー対ガスケの試合は非常に面白かった。ガスケのほうがお利口なプレーをする、チャンスの場面で落ち着いている、と思っていたのだが、今大会のマレーは昨年とは大違いだ。
 苦しいときによく粘るようになった。左右によく走る。諦めない。対ハース戦でもそうだったが、いいところでネットに出てボレーで決めたり、相手の動きをよく見てロブを使ったり、強打に頼らずうまく相手の意表を突いたプレーができていた。
 何より、長いことヘンマンが苦しんできた「国の期待」をうまく自分のエネルギーに変え、よく叫び、自分を奮い立たせた。観客と一緒になって闘うことができた、その効果は絶大である。

ロペスについては、もともと芝で活躍できる人だと思っていたので、そんなにびっくりはしていない。とにかく惚れ惚れするほど美しい人だから単純に嬉しい(昨年、AIG OPENのとき、すぐ横を通り過ぎて行った彼はこの世の人とは思えないほど神々しかった……)。

サフィンがここまで勝ち残ったのが嬉しい。感激のあまり言葉が出てこない。彼としては謙虚に「今年はコートが遅いからラッキー」と述べているが、いや、君の力ならここまで来て当然だよ、と讃えたい。有難う、ここまできてくれて。

シュトラーの活躍も嬉しい驚きである。2003年は大躍進で世界6位まで行った彼の、最後まで諦めない粘りのプレーが大好きで応援していたのだったが、2004年以後どうもパッとしなかった。負けが込んでくるとプレーも投げやりになり、元気がみられなかったものだが、このウインブルドンで勝ち進む彼の顔は生き生きと輝いている。やっぱり勝利こそがプレイヤーを勇気づけるんだな、と改めて思う。
 そしてクレメン、サングラスにバンダナとお洒落な出立ちにばかり目を奪われてしまうが、フランス人らしい個性的なプレーで楽しませてくれる。シュトラーとのQFは30代対決となった。次はどんな試合を見せてくれるのだろうか。

さらに病気や故障で苦しんできたアンチッチが息を吹き返したことが嬉しい。クロアチア人らしい強気の攻め、長身を生かしたサーブはやはり魅力がある。QFの相手はフェデラーだからもちろん楽ではないが、芝の王者を苦しめるところが見てみたい。

大会前はフェデラーとナダルの因縁対決ばかりを気にしていたが、こうなると誰が決勝に残っても面白そう。泣いても笑っても最後には2人に絞られてしまうのだが、何だか勿体ないなぁ。

どうぞ神様、彼ら一人ひとりに最高の試合をお与えください。勝つ人も負ける人もみんなが完全燃焼できますように。
[PR]
by slycat | 2008-07-01 22:39 | テニス