ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
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AIG OPEN 2008:決勝

10月5日(日)、この日も晴れた。前日より少し涼しく陽射しも優しくて、日焼けしたくないお年頃にはちょうどよかった。
 西口広場でパエリアを買い、息子にはケバブサンドも追加して腹ごしらえ。ベンチで食べていたら、パエリア・ブースの関係者らしき青年(たぶんスペイン人なんだろうな)が「あっ買ったんだ、美味しい?」という感じで言葉は全然わからないが、声をかけてきた。会場の外でパエリアをパックに詰めているらしく、何度も往復するのだが、そのたびににこやかに笑いかける。しまいには手や口を拭くためにとティッシュを何枚か持って来てくれた。ラテンの人は女性と子供に親切だなと思った。

ほのぼのとした気分になったところでセンターコートへ移動。女子の決勝が行われており、席に着いたときには第3セットが始まったところだった。エストニアのカネピも随分頑張ったのだが、デンマークのウォズニアッキが優勝した。

シングルス決勝 T. Berdych d. J. M. del Potro 6-1, 6-4
丁寧で粘り強いベルディハか、はたまた力と勢いのデルポトロか。ベルディハは怪我などでランクが落ちてしまっているので、勝って欲しいなと思ったが、デルポトロのパワーをかわせるかどうか……。昨年のフェレール/ガスケ戦は、神がかったようなフェレールがガスケを圧倒し、疲れていたガスケが意外にあっさり負けてしまったので、今年は接戦が見られるといいなぁと思っていた。

ところが、試合が始まってみるとベルディハが断然リード。サーブもいいし面白いようにウイナーが決まる。実にリラックスしているようで動きもなめらか、非の打ちどころがない。かたやデルポトロは昨日の活躍はどこへやら、どうも覇気がない。どうしたんだろうと思ったが、ベルディハのプレーがいいのだろうと解釈していた。

ベルディハの4-1となったところでデルポトロがバスルーム・ブレイクをとるコートを後にする。しかしなかなか帰ってこない。主審のノームさんがデルポトロにウォーニングを与えた。このセットはこのままベルディハが優位に立ち、あっという間に第1セットが終わった。

選手の入場口の傍に控えていたトレーナーがデルポトロの許へ駆け寄るが、2人はそのままコートの外へ。どうやらメディカル・タイムアウトを取るらしい。だが怪我ではないようだ。その証拠に、トレーナーを置いてデルポトロのほうが先にとっとと走って行ってしまった。
 「何だろうね」
 「お腹こわしてるんじゃないの。寿司にあたったとか」
 「寿司は食わないんじゃね?」
などと会話していると、デルポトロが戻ってきて主審が「タイム」とコール。何事もなかったかのように試合が再開される。

第1セットに比べれば、デルポトロの元気は戻ってきたようだった。しかし、たまにボールがアウトになって大声を出すほかは、全く崩れないベルディハ。ラリーが続く。何となく元気がないデルポトロを気遣って観客も一所懸命応援する。デルポトロがラリーを制すると会場は大いに沸いた。

けれども、デルポトロの本来の力は戻って来なかった。対戦相手が体調不良を抱えているのに気づかなかったはずはないが、ベルディハは自分のゲームにしっかり集中し、乱れることなく勝利をその手に収めた。

あとで松岡修造氏が観客に打ち明けたところによれば、デルポトロは朝から下痢に苦しんでいたらしい。しかし、それを内緒にして欲しいと言ったそうだ。せっかくの決勝なんだし、事情を話して試合を遅らせることはできなかったのかなぁと思うが、決められた時刻に仕事をしなければならないのは会社員でも同じことだし、デルポトロには非常に気の毒だが、体調管理も勝負のうちなのだろう。

もちろんベルディハの勝利は「棚からぼた餅」では全然ない。ロブレドを倒し、ゴンザレスを倒し、ロディックを倒して進んだ決勝である。デルポトロの体調が万全であっても、巧みなプレーで少しずつ相手のペースを崩していき、結局は同じ結果になったんじゃないか。何と言っても2005年、フェデラーとナダル以外で唯一マスターズ・シリーズのタイトルを勝ち取った実力の持ち主なんだから。

デルポトロはがっかりしていたと思うが、爽やかだった。ベルディハも凄く嬉しそうだったので、心から勝利を祝いたいと思う。それにしても、2人並ぶとホントに「でかっ」と思うな。
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ダブルス決勝 M. Zverev-M. Youzhny d. L. Dlouhy-L. Paes 6-3, 6-4
イベントの後、雨が降りそうだからと屋根が閉められることになった。一瞬真っ暗になるが、こういうのも結構面白い経験だ。
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ダブルス決勝に進んだのはパエス(インド)/ドロウヒー(チェコ)対ユーズニー(ロシア)/ズベレフ(ドイツ)。ユーズニーたちはアスペリン/ノウル組を倒したのだから大したものだ。だけどパエスには敵わないだろう、なんて思っていたが、こちらも予想は大外れ。ドロウヒーはサーブがうまくいかず(隣で息子が「おいおい、パエスの足引っ張るなよ!」とつぶやく)、パエスもミスが多かった。
 しかしパエスは格好よかった。一番年上なのだが、全然年齢を感じさせない。結果としてはユーズニー/ズベレフに追いつけなかったが、要所要所で胸のすくプレーを見せてくれた(ボレー最高!)。
 最後はボールがポトンと落ちるあっけない幕切れだったが、終わった後、互いを讃え合う選手たちの様子はとても清々しかった。そして……。待ってました、ユーズニーの敬礼。とととっとコートに出て行き、ネット前中央に立ってお馴染みのポーズ。おぉ、ダブルスでもやってくれるんだ! 何だか得をしたような気持ちになった。

優勝セレモニーでも選手たちは和気あいあい。ユーズニーは冗談ばっかり言って笑わせるし(僕は日本語できないんですけどロシア語の通訳はいますか?とか)、ズベレフはちゃんと日本語で「こんにちは」なんて挨拶してくれた。写真撮影の際にはパエスが優勝トロフィーを掲げるなど、みんなお茶目だった。
 シングルスでは敗者がどうしても落ち込んでしまうが、ダブルスってパートナーがいるから多少は気が楽なんだろうか、楽しい雰囲気のうちにセレモニーは終わった。終わった後も、ATPのロゴ入りリストバンドを観客席にサービスするなど愉快な雰囲気は長く続いた。
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年に一度、楽しみにしているイベントが終わった。今年は残念ながら2日しか観に行けなかったけれど、引退したら1週間ぶっ通しで行きたいものだ。来年はうまく休みがとれるだろうか。そして誰が来てくれるんだろうか。賞金額が上がるらしいし、お馴染みのメンバーも含め、この際日本に行ってみようかという選手が増えてくれることを期待する。
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by slycat | 2008-10-07 01:06 | テニス

AIG OPEN 2008:準決勝

10月4日(土)、AIG OPENの準決勝を観るため有明に出かけた。第1試合はガスケ対デルポトロ、第2試合はロディック対ベルディハ。豪華メンバーが揃った今大会、ゴンザレスのプレーが観られなかったのは返す返すも残念だが仕方がない。来年は平日にも観に行きたいものだ。

大会が始まった当初は雨にたたられ、有明のコートで試合が消化できない事態も生じてしまったが、この日は快晴。まさに観戦日和で幸運だった。
 例によって早起きできないため、家を出るのが10時を過ぎてしまった。デパートで弁当を買ってのんびりと出かけ、有明に着いたらまずは食事。1番コートでニエミネン/ケンドリック対パエス/ドロウヒーの試合を観る。すっかりAIG OPENではお馴染みとなったが、今年もニエミネンが観られて本当に嬉しい。先にセンターコートに行っていた息子(こちらはパエス組が勝つだろうからとさっさと移動していた)から「シングルスの試合が始まる」とメールを貰ったが、途中で席を立つには惜しい内容だったので最後まで観てからセンターコートに向かった。
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第1試合 J.-M. Del Potro d. R. Gasquet 6-3, 4-6, 7-5
昨年はフェデラーの欠場を埋めるために急遽呼び出され、にもかかわらず快く出場してくれたガスケ。今年も来てくれた。何ていいヤツなんだ、ガスケ。しかも準決勝に残ってくれて凄く嬉しい。
 対戦相手は夏から絶好調のデルポトロ。US OPENで錦織君と対戦したことで、日本でも知名度が高まった(「デルポルト」と言ったアナウンサーもいたけど)。大きなコートに立ってもなお目立つ長身である。ガスケの白いウエアと対照的な赤いウエアで登場した。

今季4大会で優勝しているデルポトロ、2年前にヘンマンに負けた試合を観ているが、あのときはヘンマンのサーブ&ボレーに翻弄されてキレていたなぁ。当時はATPのガイドブックにもデータが載ってなかったし。それが今やトップ10選手になって帰ってきた。わずかな間に凄い成長ぶりである。しかも全然キレなくなっていた。そしてショットのパワーが凄まじい。
 最初は、何と言っても経験のあるガスケのほうが有利じゃないか、彼の頭脳的なプレーが徐々にデルポトロを追い詰めていくのじゃないか、と思っていたのだが、試合が始まると「これは……」と絶句。想像以上に強い。強いだけじゃなくてボールが深い。しかもとんでもなく厳しい場所を狙って打っていく。コントロール力も半端ではないようだ。
 GAORAで試合を放送したときに、辻野隆三さんが「彼はボールを打つ際にしっかり腰を落とすなど、基本がしっかりしている」とおっしゃっていたようだが、特にバックハンドのときに安定しているなぁと思った。フォアのときには大きなテイクバックで重そうなボールを打っていく。ボーッとしているうちに、あっさり第1セットをデルポトロが取ってしまった。

しかしガスケも負けてはいない。第2セットでは果敢にネットに出て行き、デルポトロの意表を突いた。どちらかと言えば「大味」なデルポトロに対して技の抽き出しをいくつも持っているガスケ、観客も多彩なプレーに声援を送る。ガスケのバックハンドは本当にきれいだった。エナン、ガウディオなき後では一番きれいかもしれないシングル・バック。第2セットはガスケが取る。

そして第3セット。一時はガスケが勝つかと思われたのだが、デルポトロの力が勝った。勢いって凄いなぁ、怖いなぁとつくづく感じた試合だった。
 途中、ガスケにとって大事なポイントを落とした際に、ガスケがラケットを放り出して頭を抱えるポーズをとったときは、思わず「可愛い〜」と叫んでしまった。とにかく頭がいい、という印象なのだが、こんな面もあるんだ。ガスケ、今年も日本に来てくれて有難う。来年もどうぞよろしく。
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第2試合 T. Berdych d. A. Roddick 6-7, 7-5, 7-6
今年、一番の驚きだったのは、何と言ってもロディックの来日。直前まで、いやGAORAで2回戦を観るまで信じられなかった。ロディックのバックに「AIG」という文字があるのを確認して、あぁ本当に来たんだ!とようやく信じられた次第である。
 対戦相手はベルディハ。髪の毛が短くなった。キャップとパンツを鮮やかな赤でコーディネートしているが、シャツのブラウンが落ち着いた色なので少々地味である。
 ロディックは登場のときから自信満々といった感じ。対するベルディハは静かなる男という感じだ。試合が始まると、動と静の印象はさらに強まった。

生きているうちにロディックのサーブが見られるとは思っていなかったので、かなり上のほうの席ではあったけれど、目の前で彼が200km超のサーブを繰り出すのを見て、感動を覚えた。やっぱりロディックは華やかな人だ。決してテニスがきれいだとか、巧いとかは思わないのだが、観客を楽しませてくれる。
 さすがのベルディハもロディックのサーブを返すのは苦労だったようだが、それで苛々するなどということは全くなかった。恐ろしいほど落ち着いていた。セカンドサーブになってしまえばベルディハのほうが断然有利になる。
 それでもロディックは長いラリーに耐え、ダブルフォルトに耐え、途中キレそうになっても結構我慢できたと思う。その辺は偉かった。第1試合のガスケと同じく、ミスに頭を抱えるジェスチャーがあったが、ガスケと違う点は、それで時間を作り、さらに観客を自分の側につけたこと。「可愛い〜」と思うより前に「あっロディックがまた何かやる」と思わせてしまう。
 ラケットを投げ出して、観客が拍手するまで拾わないとか、ラインジャッジに対して派手にクレームをつけるとか、聞こえなかったもののかなり悪口雑言を吐いていたようで、よくウォーニングを取られなかったものだと半ば呆れてしまう(でも面白かった)。第2セット、いい線いっていたのに落としたときは、観客の期待どおりラケットを叩き折った。

そして第3セット。ロディックが4-1とリードした時点で、あぁこれで明日の決勝でもロディックが見られる、と確信した。ところがどっこい、ここからロディックが崩れ出す。ベルディハが冷静に追い上げたと言ってもいい。コートの反対側で好き勝手やってる相手に惑わされず、彼はじっとチャンスを待ち、それが来たときにしっかり自分のものにした。素晴らしい落ち着きだった。ロディックは自分の舞台を作ったが、せっかくのマッチポイントを生かせず自滅してしまった。

まぁそれでも、観客に手を振り帰って行く姿は堂々としていた。まさにスター。こういうものを見られただけでも、ロディックには感謝しなければならないと思う。もう日本には来ないよねぇ。できれば来年も来て欲しいけれど……。
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by slycat | 2008-10-06 20:36 | テニス