ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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3連休、だけど出張中!

大阪に来ている。

ホテルを予約しようとしたのが1週間前のことだったが、連休だというだけでどこも満室になっているとは予想していなかった。甘かった。やっと見つけた宿泊先は、ホテルというよりはワンルームのアパートみたいな部屋である。3連泊だが、その間掃除もしてもらえない。タオルその他も自分でフロントに行って「ください」と言わなければならないのである。しかし焦って空室検索していたら、1泊1,300円なんていう部屋もあったのだ。一体どんな「ホテル」なのだろう……。怖いから深追いはしないでおこう。

まぁいい、おかげで振り替え休日を4月の初めに取ることができるんだから。その休日を利用して、結局再び大阪へ舞い戻ることになるのだけれど、次は文楽だもん。ホテルもそれなりにいいホテル、春休み中の息子と2人で羽を伸ばそう。

出張の楽しみといえば、その土地の食べ物。しかし仕事の場の周囲にはろくなところがない。仕方がないので、遠出してみた。大阪中央公会堂にあるレストランである。
 行ってみて、席に案内されたら、何だか見覚えのある風景。おそらくNHKの朝ドラ「ちりとてちん」でヒロインが好きな人と一緒にオムライスを食べたところだと思う。私もオムライスを注文(だって一番安いメニューなんだもの)。

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会社のほうは相変わらず、不正をしている人の問題で荒れている。当の本人は何も知らされていないので平気の平左だが、周囲の人間はストレスで次々と体調を崩しており、雰囲気は最悪だ。そんな中での出張、しかも実りのない案件なので虚しさが募る一方ではあるが、丁寧に作られたオムライスはおいしかった。半熟のオムレツをチキンライスの上に広げるタイプのものもあるが、ここのはライスをきちんとくるんである。見た目も上品だ。

東京に帰るのは日曜日。あと2日、我慢、我慢。
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# by slycat | 2009-03-20 23:25 | 日常のこと

Australian Open 2009決勝:記録と記憶

Australian Open FINAL
R. Nadal d. R. Federer 7-5, 3-6, 7-6, 3-6, 6-2

全豪オープン男子決勝は、予想どおりフルセット、4時間22分の激闘となった。大舞台に上る栄誉を与えられた2人は、やっぱりフェデラーとナダル。フェデラーにとってはグランドスラム14勝というピート・サンプラスの記録に並ぶチャンスであったし、ナダルにとってはハードコートでの初勝利がかかっていた。そして何より、この2人が戦えば、どちらが真の王者たるかが示されることになる。しかし何という試合だったのだろう。

フェデラーは、準々決勝の対ベルディヒ戦ではかなり危ないんじゃないかと思わせたものの、準決勝では好調だったロディックを相手にストレート勝ち。あぁロディックよ、君はフェデラーを奮い立たせるために神が地上につかわした天使なのか、と思ってしまったが、やはりフェデラーは強い、まだまだ怖い存在だということが明らかになった。

一方ナダルは順調に勝ち上がったように見えたものの、ベルダスコとの準決勝ではヒヤヒヤした。最後にベルダスコがまさかのダブルフォルトで自滅したときは、これほどの接戦がこんなあっけない幕切れになるなんて、と信じられない気持ちだった。同時に何だかホッとした。肉体的にも精神的にも追い詰められた場面でこそ強さを発揮するナダルの底力を再確認した。

どう考えても疲労度の高いナダルが不利だと思われたのだが、最初のセットを取ったのはナダル。あぁ苦しい試合を勝ち抜いたからこそ、かえってまたひとつ進化したのかもしれない、これはストレートでナダルの勝ちなのかなぁ、などと思った。

しかし徹底してバックハンドサイドを攻められていたフェデラーが逆襲開始。早いタイミングでボールを打ち返し、ナダルに暇を与えない。これはテニスか卓球か? 相変わらず美しいフォームで打つフォアは鋭く、あり得ない角度であり得ない場所へ飛んでいく。うわぁこれはやっぱりフェデラーが勝つのか。今までどちらかといえばアンチ・フェデラーみたいだった息子が今回は熱烈にフェデラーを応援している。ロッド・レイバー・アリーナの観客もフェデラーに肩入れしているようだった。

第3セットはナダルが取ったが、メディカルトレーナーを呼ぶなど脚の状態が悪そうだ。第4セットをフェデラーが制したときは、もうこれでフェデラーが優勝するものだと思った。
 しかしどうしたことか、ファイナルセットに入ってからのフェデラーは精彩を欠いた。急に元気がなくなったように見えた。長い長い時間、たった1人で相手と向き合うのだから、疲労の感じ方や集中力などに波があるのは当然だが、この大事なときに……。
 最後のボール、フェデラーが打ったボールはほんの少し長かった。ナダルが仰向けに倒れる。試合は終わった。

ついにナダルがハードコートで優勝した。「これであとは全米オープンを1つ取ればいいんだから、生涯グランドスラムは案外近いところまで来たね」「フェデラーの14勝はこっちもあと1つ、あと1つなんだけれど近いようで限りなく遠いね」そんなことを息子と話しているうちにセレモニーが始まった。

ロッド・レイバー、ケン・ローズウォール、ジョン・ニューカムとテニスのLegendたちが居並ぶ中、偉大なファイナリストとしてフェデラーが呼ばれた。手を振りながら壇上に上るフェデラー。「Hey, guys. Thanks for the support」とスピーチを始めたフェデラーに観客が声をかける。「Roger!」「Roger, I love you!」
 ここで思いがけないことが起こり、物凄いショックに襲われた。フェデラーの瞳から涙が溢れ、涙は止まらない。何度も涙を拭うが、声が出てこない。フェデラーはスピーチをすることができなくなり、後方に下がった。
 何度も優勝セレモニーを見たけれど、ファイナリストが壇上で泣きじゃくるのを見たのは、恐らく自分の記憶では初めてである。ベンチに下がって泣く選手を見たことはあるけれど、大抵さばさばとした表情で出てきて、スピーチでは軽い冗談くらい言うのが通例だ。
「フェデラー可哀相! 可哀相すぎるよ」と息子が叫ぶ。自分より10歳も上の、しかも王者に向かって可哀相とはおこがましい。しかし46のおばさんも思わずもらい泣きしてしまった。

「ロジャーにはちょっと休んでもらいましょう」などと司会者がフォローし、優勝者としてナダルの番がきた。ロッド・レイバーからトロフィーを受け取るナダル。ここで彼は、すっと後ろに下がりフェデラーの横に立つと片手を彼の肩に回し、耳元で何かを囁いた。まだ目や鼻は赤かったが、フェデラーはにっこりと笑い、「I'll try again」と言って前へ出た。
 ナダルもどうしていいかわからなかっただろうに、とっさにこういう行動がとれるところがナイスガイ。ちゃんとフェデラーのスピーチが終わってから、自分のスピーチを行った。美しいスポーツマンシップを見た。

今回、勝ったほうが真の王者としての存在を証明すると思っていた。しかし、終わってみたら、勝ち負けなんてどうでもいい、という気持ちである。どちらか1人は必ず負けなければならないというスポーツで、2人が全力で戦ったことが重要なのだった。コートを離れればどちらも感情豊かな清々しい若者なのである。この世界に、そういう2人がいてくれること、その2人を見られることが幸せだ。そんなことを再確認した、今年の全豪オープンだった。
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# by slycat | 2009-02-02 12:43 | テニス

謹賀新年

また新しい年を迎えることができた。時が経つスピードに追いつくのがひと苦労だが、とりあえず平和でよかった。いろいろと心配は絶えないものの、ちゃんと屋根の下でお雑煮を食べることができたのは幸せなことだ。

今年も新井薬師に初詣に出かけた。昨年、ここのお地蔵様にお願いして就職できたので、お礼も兼ねてのお詣りである。家を出るのがいつも夕方になってしまうのは相変わらずだが、お寺は待っていてくれた。

本来なら12月30日まで出社の予定だったのだが、12月半ばに土日返上で働いたおかげで振替休日を使うことができ、社会人になって初めて9日間という長い冬休みが取れた。休みが長くなっても結局何もせずダラダラと過ごしてしまったのは勿体なかったかもしれないけれど、昨今は何もしないことこそが一番の贅沢と思うようになって、あまり後悔もしていない。

今年はどんな年になるんだろう。高3になる息子には毎日ガミガミ小言を言わざるを得ないだろうし、今は元気なハムスター4匹も今年中に天寿を全うするはずだ。仕事ではますます厳しい状況に置かれるだろうし、鏡を見るたびにシワだのシミだのに溜息をつくことになるだろう。楽しいことばかりは期待できない。

まぁ、でも。なるべく腹を立てず、なるべくよいことだけに目を向けて、のほほんとしていれば……。

新年おめでとうございます。

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# by slycat | 2009-01-04 12:07 | 日常のこと

よくあること?

10月に転職して新しい会社に勤めるようになったことは先日書いた。就職活動をしていた会社が現在の会社に買収され、結果的にはそれなりに大人数の社員を抱える企業の一員となったのだが、もともと入りたかった会社はヨーロッパに本社があって日本支社には数人しかいないという規模だった。

会社をブランドで選ぶつもりはなかったし、学歴も大したことはないので、小規模の会社であっても自分の好きな仕事ができればOK。幸い買収されても自分の業務内容はほぼ変わらず、福利厚生が充実しただけ運がよかったかなぁと思っていた。

しかし少人数で会社を運営するとなると、社員一人ひとりが自分の裁量で行動し売上を伸ばすことを要求される。会社の繁栄を自分の幸福と捉えられれば何も問題は起こらないのだろうが、このような状況に置かれたとき、自分の幸福を最大の目的と考え、背任行為を行う者が出てくることもありうる。入りたかったもとの小さな会社には、そんな人がいたのだった。

先日書いた「いじめ」もどき事件、その「犯人」と思われる人物がそういうタイプだったようだ。ペーパーカンパニーを作ってそこを外注先とし、法外とも思える価格で業務を発注、差額あるいは全額を自分の懐に入れていたらしい。
 あまりにも高額な経費に不審感を抱いた社員の一人が、その人物のノートPCの中身をハードディスクにコピーして調べてみたところ、怪しいデータがいくつも出てきた。会社の経費で取材に行った渡航費などを個人で立て替えたかのように経費に計上し、確定申告しているらしいこともわかった。

このことは上司に報告され、本社の弁護士が本件を調査するまでに至った。現在の会社に吸収された社員たちは、これでようやく積年の恨み(?)が晴れると喜んだ。

しかし……。会社が買収されたのは2007年のこと。ノートPCから出てきたデータはそれ以前のものばかり。現在もその人物が背任行為を続けているという証拠が見当たらない。依然として驚くほど高額の経費を使って好き勝手しているのは事実だが、ペーパーカンパニーとその人との関係を裏付ける確固たる証拠がなければ、クビにするのは難しい。訴訟になれば労働者が勝つだろう、というのがトップの判断であるらしい。

その人が刑事告訴されることを望んでいるわけでは全然なく、単純に名刺ファイルを盗んだり、口汚い言葉で同僚をののしったり、自分の都合でスケジュールを無視して他人に迷惑をかけていることが許せないだけ。その人がいなくなれば気持ちは楽になるが、その人の人生まで奪おうと思っているわけではない。

だが、このような「犯罪者体質」の人物とともに、ニコニコと仕事を続けられるものなのか。私には自信がない。

半月前、上司が同じ部署の社員を集めて、「彼女を解雇する方向で話が進んでいる」と内々に報告した。その後、その人はアメリカに取材に行き1週間留守にしたが、日本に帰ってきても一向にカタがつかない。結局証拠不十分で無罪放免なのだろうか。

ほかの社員たちは寄るとさわると「一体どうなっているんだ?」と不満を露にしている。たまたまみんな喫煙者なので、ビルの1階にある喫煙所に集まっては胸の内をぶちまけている。
 一番いやなのは、「正義」が行われないことだ。40過ぎてこんな言葉を口にするのも恥ずかしいが……。PCをもっときちんと調べれば、メールのやりとりなどで「犯罪」の痕跡は必ず出てくるはずだ。個人情報の保護など法的な建前はいろいろとあるだろうが、現在の会社は社員に「高潔であれ」と説き、コンプライアンスとして掲げているんだから。社員に要求することは会社としても当然守ってもらいたい。

1月10日、日本支社の営業担当者はすべてアメリカに飛び、会議に出席する。問題の人物をその会議に出席させるのかどうか。1月5日から出社なのだが、何だか鬱々としている。
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# by slycat | 2008-12-29 01:05 | 日常のこと

転職はほどほどに……?

ず〜っとブログを更新していなかった。10月に今度こそ最後!とまたもや転職してから2ヵ月。まぁどこへ行ってもいろいろありますわな。

以前の職場はフレックスタイム制だったが今度はフツーに出勤して定時までは机にかじりついていなければならない。ちょっと苦痛。何を贅沢なこと言ってるんだか、と叱られそうだが、今までルーズだったので慣れるのにひと苦労。

10月は素浄瑠璃を初めて体験し、11月には恒例の文楽大阪公演に行き、つい先日も国立劇場小劇場での文楽公演にもしっかり行った。だがその感想を書く元気がない……。いや素晴らしかったのですが、どの公演も。

テニスのほうはシーズンが終わってしまった。マスターズカップも何とかテレビで観たのだが、この感想も書けなかった。あぁ勿体ない。日々記憶喪失になりつつあるというのに。

ひと言で言えば、今の職場で生まれて初めて悪意ある「嫌がらせ」もどきを経験し、少々へこんでいるのである。具体的に言えば、前職のときにいろいろな人からいただいた名刺、それを保管していた名刺ファイルを盗まれた。入退室の際にIDカードを必要とするセキュリティ万全なはずの職場で。そういうことが以前からあったことは聞いていたのに、まさか自分に降りかかってくるとは夢にも思わず……。「やられたぜ」、私は思わずつぶやいた。かなりグチャグチャなのだった、人間関係が。会社そのものは今まで経験したことのない規模の大きさで、福利厚生も完備、この不景気によくぞ入社できたなぁと感謝すべきであるのだが。

だけどここで負けてはオンナが廃る。幸か不幸かイイ年なので、ダメージに対しては抵抗力もある。上記の「事件」以外にもいろいろあるんだけれど、絶対に退却なんかするもんか〜。

人間が息巻いている間、のびのびと肥え太っているのがモルモットのプーさん。一時はどうなるかと心配したのに、今では960gとなった。残念なことにダニのほうも健在でしぶとく居残っており、いまだ定期的に通院、注射を余儀なくされているが、元気いっぱいである。

2008年も残りわずか。明日のことはわからないけれど、プーを撫でていると癒される。我に力を!ちょうだいね、プー。

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# by slycat | 2008-12-11 00:26 | 日常のこと

Paris 2008決勝

J-W. Tsonga d. D. Nalbandian 6-3, 4-6, 6-4

今年の全豪オープンでファイナリストとなり、テニス界を沸かせたツォンガが、ついにマスターズ・シリーズで初優勝。マスターズ・カップ行きのチケットも手にして有終の美を飾った。あぁ〜しかしナルバンディアンのファンとしてはガッカリな結果。彼が優勝していれば、上海に行くのは彼のはずだったのに……。大体スパートかけるのが遅すぎる。もっと早めにポイントを稼いでおけば、あるいは……悔しいけれど、結果は結果である。

QFのマレー戦はかなりよかったと思う。あの体型からは予想もつかないフットワークで、しつこく粘り強くマレーのボールを打ち返し、根負けさせた。準決勝では立ち上がりの悪かったダビデンコを早めに攻めていき、第2セットは取り返されたものの、気落ちせず勝利を摑んだ。試合が進むにつれミスが増えていくのが気になったので、ツォンガが決勝の相手に決まったとき、これは力負けするのではないかと心配していたのだが……。

第1セット、ツォンガの素晴らしいサーブはナルバンディアンをまるで寄せ付けなかった。しかもただ単に力で押すだけではなく、アングルで押し、「読み」で押し、さっさとセットを持っていってしまった。これはもう駄目だ、そう思って試合を見続ける気が失せ、ふて寝していたら、「第2セットはナルちゃんが取ったよ、ギリギリのところだったけど」と家の者の声。しかし恐ろしくて観戦を再開する気にならず、翌朝録画を見ることにしてそのまま寝てしまった。

そして今日、第3セットを観たのだけれど……。あぁ、あそこでボールがネットに引っかからなければ、あそこでクロスじゃなくストレートに打っていれば、とにかくファーストサーブがもう少し入っていれば……。完全なアウェイ状態でよくぞ我慢したとは思うけれど、逆にあれほど観客に声援を送られてもプレッシャーに負けなかったツォンガの素晴らしさが印象に残った。

そんなことを思いつつも、ナルちゃんのプレーは決して悪くはなかった。昨年のマドリッド、パリでの彼はゾーンに入っており、奇跡的なプレーの連続だったので、それに比べてしまえば今年は少々物足りない。しかし豊富な技、多彩な球種はツォンガを苦しめたはずだ。そして今年はボレーがとてもよかった。ナルちゃんが20代半ばになってもまだ進化を続けていることを確信した。

それにしてもツォンガ、怪我がなければもっともっとランキングも上がっていただろうに。一瞬でボールを読み反応していくセンスは抜群だ。サーブも凄いけれど、リターンの鮮やかさに感服した。

今年のマスターズ・カップにはマレー、デルポトロ、そしてツォンガという「新顔」がメンバーに入り、彼らが1年の最後にどんな戦い方を見せるのか、否が応でも期待が高まる。トップ3はかなり疲れているようなので、終盤になってから伸びてきたこの3人、ひょっとしたらひょっとするのではないだろうか。

いまだにナルちゃんが上海のメンバーに入れなかったことが諦め切れないが、とにかく彼が今年の目標として掲げたのは「最初のグランドスラム・タイトル、オリンピックのメダル、デ杯優勝」であり、そのうち2つはすでに夢を絶たれてしまったのだから、最後の1つくらいはもぎ取ってもらいたい。決勝の相手は強豪スペインだから油断はできないが、デルポトロもいるし、デ杯HP上の一般投票でも7割の人がアルゼンチン有利と見ている。ぜひ目標を達成して欲しい。頑張れアルゼンチン!
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# by slycat | 2008-11-03 12:25 | テニス

AIG OPEN 2008:決勝

10月5日(日)、この日も晴れた。前日より少し涼しく陽射しも優しくて、日焼けしたくないお年頃にはちょうどよかった。
 西口広場でパエリアを買い、息子にはケバブサンドも追加して腹ごしらえ。ベンチで食べていたら、パエリア・ブースの関係者らしき青年(たぶんスペイン人なんだろうな)が「あっ買ったんだ、美味しい?」という感じで言葉は全然わからないが、声をかけてきた。会場の外でパエリアをパックに詰めているらしく、何度も往復するのだが、そのたびににこやかに笑いかける。しまいには手や口を拭くためにとティッシュを何枚か持って来てくれた。ラテンの人は女性と子供に親切だなと思った。

ほのぼのとした気分になったところでセンターコートへ移動。女子の決勝が行われており、席に着いたときには第3セットが始まったところだった。エストニアのカネピも随分頑張ったのだが、デンマークのウォズニアッキが優勝した。

シングルス決勝 T. Berdych d. J. M. del Potro 6-1, 6-4
丁寧で粘り強いベルディハか、はたまた力と勢いのデルポトロか。ベルディハは怪我などでランクが落ちてしまっているので、勝って欲しいなと思ったが、デルポトロのパワーをかわせるかどうか……。昨年のフェレール/ガスケ戦は、神がかったようなフェレールがガスケを圧倒し、疲れていたガスケが意外にあっさり負けてしまったので、今年は接戦が見られるといいなぁと思っていた。

ところが、試合が始まってみるとベルディハが断然リード。サーブもいいし面白いようにウイナーが決まる。実にリラックスしているようで動きもなめらか、非の打ちどころがない。かたやデルポトロは昨日の活躍はどこへやら、どうも覇気がない。どうしたんだろうと思ったが、ベルディハのプレーがいいのだろうと解釈していた。

ベルディハの4-1となったところでデルポトロがバスルーム・ブレイクをとるコートを後にする。しかしなかなか帰ってこない。主審のノームさんがデルポトロにウォーニングを与えた。このセットはこのままベルディハが優位に立ち、あっという間に第1セットが終わった。

選手の入場口の傍に控えていたトレーナーがデルポトロの許へ駆け寄るが、2人はそのままコートの外へ。どうやらメディカル・タイムアウトを取るらしい。だが怪我ではないようだ。その証拠に、トレーナーを置いてデルポトロのほうが先にとっとと走って行ってしまった。
 「何だろうね」
 「お腹こわしてるんじゃないの。寿司にあたったとか」
 「寿司は食わないんじゃね?」
などと会話していると、デルポトロが戻ってきて主審が「タイム」とコール。何事もなかったかのように試合が再開される。

第1セットに比べれば、デルポトロの元気は戻ってきたようだった。しかし、たまにボールがアウトになって大声を出すほかは、全く崩れないベルディハ。ラリーが続く。何となく元気がないデルポトロを気遣って観客も一所懸命応援する。デルポトロがラリーを制すると会場は大いに沸いた。

けれども、デルポトロの本来の力は戻って来なかった。対戦相手が体調不良を抱えているのに気づかなかったはずはないが、ベルディハは自分のゲームにしっかり集中し、乱れることなく勝利をその手に収めた。

あとで松岡修造氏が観客に打ち明けたところによれば、デルポトロは朝から下痢に苦しんでいたらしい。しかし、それを内緒にして欲しいと言ったそうだ。せっかくの決勝なんだし、事情を話して試合を遅らせることはできなかったのかなぁと思うが、決められた時刻に仕事をしなければならないのは会社員でも同じことだし、デルポトロには非常に気の毒だが、体調管理も勝負のうちなのだろう。

もちろんベルディハの勝利は「棚からぼた餅」では全然ない。ロブレドを倒し、ゴンザレスを倒し、ロディックを倒して進んだ決勝である。デルポトロの体調が万全であっても、巧みなプレーで少しずつ相手のペースを崩していき、結局は同じ結果になったんじゃないか。何と言っても2005年、フェデラーとナダル以外で唯一マスターズ・シリーズのタイトルを勝ち取った実力の持ち主なんだから。

デルポトロはがっかりしていたと思うが、爽やかだった。ベルディハも凄く嬉しそうだったので、心から勝利を祝いたいと思う。それにしても、2人並ぶとホントに「でかっ」と思うな。
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ダブルス決勝 M. Zverev-M. Youzhny d. L. Dlouhy-L. Paes 6-3, 6-4
イベントの後、雨が降りそうだからと屋根が閉められることになった。一瞬真っ暗になるが、こういうのも結構面白い経験だ。
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ダブルス決勝に進んだのはパエス(インド)/ドロウヒー(チェコ)対ユーズニー(ロシア)/ズベレフ(ドイツ)。ユーズニーたちはアスペリン/ノウル組を倒したのだから大したものだ。だけどパエスには敵わないだろう、なんて思っていたが、こちらも予想は大外れ。ドロウヒーはサーブがうまくいかず(隣で息子が「おいおい、パエスの足引っ張るなよ!」とつぶやく)、パエスもミスが多かった。
 しかしパエスは格好よかった。一番年上なのだが、全然年齢を感じさせない。結果としてはユーズニー/ズベレフに追いつけなかったが、要所要所で胸のすくプレーを見せてくれた(ボレー最高!)。
 最後はボールがポトンと落ちるあっけない幕切れだったが、終わった後、互いを讃え合う選手たちの様子はとても清々しかった。そして……。待ってました、ユーズニーの敬礼。とととっとコートに出て行き、ネット前中央に立ってお馴染みのポーズ。おぉ、ダブルスでもやってくれるんだ! 何だか得をしたような気持ちになった。

優勝セレモニーでも選手たちは和気あいあい。ユーズニーは冗談ばっかり言って笑わせるし(僕は日本語できないんですけどロシア語の通訳はいますか?とか)、ズベレフはちゃんと日本語で「こんにちは」なんて挨拶してくれた。写真撮影の際にはパエスが優勝トロフィーを掲げるなど、みんなお茶目だった。
 シングルスでは敗者がどうしても落ち込んでしまうが、ダブルスってパートナーがいるから多少は気が楽なんだろうか、楽しい雰囲気のうちにセレモニーは終わった。終わった後も、ATPのロゴ入りリストバンドを観客席にサービスするなど愉快な雰囲気は長く続いた。
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年に一度、楽しみにしているイベントが終わった。今年は残念ながら2日しか観に行けなかったけれど、引退したら1週間ぶっ通しで行きたいものだ。来年はうまく休みがとれるだろうか。そして誰が来てくれるんだろうか。賞金額が上がるらしいし、お馴染みのメンバーも含め、この際日本に行ってみようかという選手が増えてくれることを期待する。
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# by slycat | 2008-10-07 01:06 | テニス

AIG OPEN 2008:準決勝

10月4日(土)、AIG OPENの準決勝を観るため有明に出かけた。第1試合はガスケ対デルポトロ、第2試合はロディック対ベルディハ。豪華メンバーが揃った今大会、ゴンザレスのプレーが観られなかったのは返す返すも残念だが仕方がない。来年は平日にも観に行きたいものだ。

大会が始まった当初は雨にたたられ、有明のコートで試合が消化できない事態も生じてしまったが、この日は快晴。まさに観戦日和で幸運だった。
 例によって早起きできないため、家を出るのが10時を過ぎてしまった。デパートで弁当を買ってのんびりと出かけ、有明に着いたらまずは食事。1番コートでニエミネン/ケンドリック対パエス/ドロウヒーの試合を観る。すっかりAIG OPENではお馴染みとなったが、今年もニエミネンが観られて本当に嬉しい。先にセンターコートに行っていた息子(こちらはパエス組が勝つだろうからとさっさと移動していた)から「シングルスの試合が始まる」とメールを貰ったが、途中で席を立つには惜しい内容だったので最後まで観てからセンターコートに向かった。
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第1試合 J.-M. Del Potro d. R. Gasquet 6-3, 4-6, 7-5
昨年はフェデラーの欠場を埋めるために急遽呼び出され、にもかかわらず快く出場してくれたガスケ。今年も来てくれた。何ていいヤツなんだ、ガスケ。しかも準決勝に残ってくれて凄く嬉しい。
 対戦相手は夏から絶好調のデルポトロ。US OPENで錦織君と対戦したことで、日本でも知名度が高まった(「デルポルト」と言ったアナウンサーもいたけど)。大きなコートに立ってもなお目立つ長身である。ガスケの白いウエアと対照的な赤いウエアで登場した。

今季4大会で優勝しているデルポトロ、2年前にヘンマンに負けた試合を観ているが、あのときはヘンマンのサーブ&ボレーに翻弄されてキレていたなぁ。当時はATPのガイドブックにもデータが載ってなかったし。それが今やトップ10選手になって帰ってきた。わずかな間に凄い成長ぶりである。しかも全然キレなくなっていた。そしてショットのパワーが凄まじい。
 最初は、何と言っても経験のあるガスケのほうが有利じゃないか、彼の頭脳的なプレーが徐々にデルポトロを追い詰めていくのじゃないか、と思っていたのだが、試合が始まると「これは……」と絶句。想像以上に強い。強いだけじゃなくてボールが深い。しかもとんでもなく厳しい場所を狙って打っていく。コントロール力も半端ではないようだ。
 GAORAで試合を放送したときに、辻野隆三さんが「彼はボールを打つ際にしっかり腰を落とすなど、基本がしっかりしている」とおっしゃっていたようだが、特にバックハンドのときに安定しているなぁと思った。フォアのときには大きなテイクバックで重そうなボールを打っていく。ボーッとしているうちに、あっさり第1セットをデルポトロが取ってしまった。

しかしガスケも負けてはいない。第2セットでは果敢にネットに出て行き、デルポトロの意表を突いた。どちらかと言えば「大味」なデルポトロに対して技の抽き出しをいくつも持っているガスケ、観客も多彩なプレーに声援を送る。ガスケのバックハンドは本当にきれいだった。エナン、ガウディオなき後では一番きれいかもしれないシングル・バック。第2セットはガスケが取る。

そして第3セット。一時はガスケが勝つかと思われたのだが、デルポトロの力が勝った。勢いって凄いなぁ、怖いなぁとつくづく感じた試合だった。
 途中、ガスケにとって大事なポイントを落とした際に、ガスケがラケットを放り出して頭を抱えるポーズをとったときは、思わず「可愛い〜」と叫んでしまった。とにかく頭がいい、という印象なのだが、こんな面もあるんだ。ガスケ、今年も日本に来てくれて有難う。来年もどうぞよろしく。
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第2試合 T. Berdych d. A. Roddick 6-7, 7-5, 7-6
今年、一番の驚きだったのは、何と言ってもロディックの来日。直前まで、いやGAORAで2回戦を観るまで信じられなかった。ロディックのバックに「AIG」という文字があるのを確認して、あぁ本当に来たんだ!とようやく信じられた次第である。
 対戦相手はベルディハ。髪の毛が短くなった。キャップとパンツを鮮やかな赤でコーディネートしているが、シャツのブラウンが落ち着いた色なので少々地味である。
 ロディックは登場のときから自信満々といった感じ。対するベルディハは静かなる男という感じだ。試合が始まると、動と静の印象はさらに強まった。

生きているうちにロディックのサーブが見られるとは思っていなかったので、かなり上のほうの席ではあったけれど、目の前で彼が200km超のサーブを繰り出すのを見て、感動を覚えた。やっぱりロディックは華やかな人だ。決してテニスがきれいだとか、巧いとかは思わないのだが、観客を楽しませてくれる。
 さすがのベルディハもロディックのサーブを返すのは苦労だったようだが、それで苛々するなどということは全くなかった。恐ろしいほど落ち着いていた。セカンドサーブになってしまえばベルディハのほうが断然有利になる。
 それでもロディックは長いラリーに耐え、ダブルフォルトに耐え、途中キレそうになっても結構我慢できたと思う。その辺は偉かった。第1試合のガスケと同じく、ミスに頭を抱えるジェスチャーがあったが、ガスケと違う点は、それで時間を作り、さらに観客を自分の側につけたこと。「可愛い〜」と思うより前に「あっロディックがまた何かやる」と思わせてしまう。
 ラケットを投げ出して、観客が拍手するまで拾わないとか、ラインジャッジに対して派手にクレームをつけるとか、聞こえなかったもののかなり悪口雑言を吐いていたようで、よくウォーニングを取られなかったものだと半ば呆れてしまう(でも面白かった)。第2セット、いい線いっていたのに落としたときは、観客の期待どおりラケットを叩き折った。

そして第3セット。ロディックが4-1とリードした時点で、あぁこれで明日の決勝でもロディックが見られる、と確信した。ところがどっこい、ここからロディックが崩れ出す。ベルディハが冷静に追い上げたと言ってもいい。コートの反対側で好き勝手やってる相手に惑わされず、彼はじっとチャンスを待ち、それが来たときにしっかり自分のものにした。素晴らしい落ち着きだった。ロディックは自分の舞台を作ったが、せっかくのマッチポイントを生かせず自滅してしまった。

まぁそれでも、観客に手を振り帰って行く姿は堂々としていた。まさにスター。こういうものを見られただけでも、ロディックには感謝しなければならないと思う。もう日本には来ないよねぇ。できれば来年も来て欲しいけれど……。
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# by slycat | 2008-10-06 20:36 | テニス

第164回文楽公演:清十郎さん、おめでとうございます

9月13日(土)、文楽9月公演第1部に行ってきた。だいぶ時間が経ってしまいボケもいいところだが、書いておかないと忘れるので……。

近頃河原の達引
〜四条河原の段〜
今回も最前列の席だった。三宅坂の劇場は字幕が左右にあるのだが、全然見えない。パンフレットに挟まれているミニ床本の文字を追おうとしたが、照明が暗くてこれも無駄。耳を澄ませて語りに集中するしかない。
 「予習」を全然していなかったのでどんなお話なのかもわからない。だが、見るからに悪そうな奴(亀山藩勘定役横渕官左衛門)が出てきて、主人公のひとりらしき井筒屋伝兵衛を待ち伏せの上殺そうとしているらしい。

駕篭がやってくる。もちろん伝兵衛が乗っているので、官左衛門が邪魔をする。伝兵衛は官左衛門が大事な茶入れ(亀山藩の若君が将軍家に献上しようとしている)を持っているので、返してくれるなら何でも堪える、と官左衛門がバシバシ打ち据えるのを我慢する。
 はなから伝兵衛を殺すつもりなのに、面白がって伝兵衛を叩く官左衛門は唖然とするほどイヤな奴で、実にわかりやすい展開である。しかし堪えていた伝兵衛も、官左衛門が茶入れを投げ捨てて砕いてしまうに至って堪忍袋の緒が切れる。官左衛門の刀を奪って逆に斬り殺してしまう伝兵衛。
 伝兵衛の自害を止めたのは、彼に恩のある久八。大事な茶入れが壊れてしまった上に人を殺めたと気も狂わんばかりの伝兵衛を前に、妙に落ち着いている。実は官左衛門が壊した茶入れは偽物で、本物はちゃんと別にあるという。そして罪は自分が被るから、と伝兵衛を逃がす。

〜堀川猿廻しの段〜
実家に帰った遊女おしゅん(伝兵衛の恋人)には盲目の母と猿廻しを生業とする兄がいる。久八が伝兵衛の罪を被ったはずだったが、すでに伝兵衛が官左衛門殺しの犯人であるとバレており、母と兄はおしゅんのことが心配でたまらない。おしゅんも伝兵衛の身を案じながら、母と兄の気持ちが痛いほどわかっている。3人が互いを思いやる気持ちが交差する。
 妹(娘)を助けたい一心で退き状を書けという兄と母。おしゅんは母が盲目であり兄が無筆であることを「利用して」退き状の代わりに遺書を書く。伝兵衛の登場でそれが判明し、妹(娘)の決意が固いことを察して、母と兄はおしゅんと伝兵衛の旅立ちを猿廻しで祝ってやることにする……。

盲目の母のためにおしゅんが煙管に火をつけてやるシーンは、現代であれば「年寄りに煙草を喫わせるの?」と問題視されそうだが、いかにも「プロ」の女性らしく手際がよく、なおかつ母をいたわる気持ちが溢れていて美しい。
 しかしこの段の場をさらうのは、おしゅんの兄、与次郎である。コミカルな仕草で観客を笑わせる一方、妹想いの優しさで泣かせる。妹が退き状を書いたのに安心し、休むように促すシーン、妹にはふかふかの布団に高枕、その上自らの丹前(?)まで掛けてやるが、自分は煎餅布団にくるまって寝る。
 伝兵衛には伝兵衛の事情があるのだが、この母とこの兄を見てしまうと、おしゅんは悪い男に引っかかったものだなぁ、運が悪いなぁと思ってしまうのだった。

五世 豊松清十郎 襲名披露 口上
今回の公演、何と言っても清十郎さんの襲名がメインなのだった。ロビーはいつもにも増して賑やかであり、特別に華やかな雰囲気に溢れていた(住大夫さんの奥様もいらっしゃっていた。ロビーでお顔を見かけたのは初めて)。
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歌舞伎などを見慣れている人たちには珍しくないのだろうが、「襲名」という大事なときに立ち会うのが初めての私には、何もかもが目新しく厳粛に感じた。
 清十郎さんを中心に両側を重鎮が固め、口上が述べられる。清十郎さんご自身はひと言も語らない。文字久大夫さんが「司会」のような役割を務め、住大夫さん、寛治さん、蓑助さん、勘十郎さんが清十郎さんの襲名を祝う。
 「恐悦至極に存じ上げ奉ります」……うわぁ、時代劇みた〜い、などと内心はしゃいでしまった(なぜか寛治さん、勘十郎さんは「普通」の丁寧語だったが)。家に帰って夫に報告したら「襲名なんだから当たり前だろ」と言われてしまったのだが、伝統と格式をベースにしたこの儀式に、いたく感じ入った。大事なことがいろいろとないがしろにされがちな現代において、かたくななまでにルールを重んじる人たちがいること、それ自体が清々しいのだった。いい経験をさせていただいた。

本朝廿四孝
清十郎さんの襲名に合わせた、華やかな演出を楽しめる演目。人形を遣う方々も超豪華なメンバーである。

〜十種香の段〜
長尾謙信の館。中央に花作りの蓑作(実は武田勝頼)を配して、左右に夫の死を悲しむ女2人、という舞台構成が凄い。
 亡くなった許婚の勝頼にそっくり、と蓑作に駆け寄る八重垣姫(謙信の娘)。毎日得姿を拝み、恋しさが募ったというのがいじらしい。最初は人違いと突っぱねていた勝頼も、ついには正体を明かす。しかしこれを盗み見ていた謙信が、勝頼に塩尻に向かうよう命じ、刺客を差し向ける。

〜奥庭狐火の段〜
勝頼に追っ手が迫っていることを何とか伝えたい八重垣姫だが、目の前には諏訪湖。どうすることもできない。諏訪明神所縁の兜を手にすると、狐の霊力が宿る。八重垣姫は狐たちに護られ、勝頼の許へ……。

奥庭狐火の段では、まず狐の人形(縫いぐるみ)を操る清十郎さんが白い衣装(肩衣には狐火の模様)で登場。諏訪明神の兜のところへ消えていくと、早変わりで別の色の衣装を身にまとい(左遣いは勘十郎さん、足遣いは……申し訳ない、お名前がわかりません。たぶん吉田幸助さん)八重垣姫として登場。最後に再び衣装が変わり、狐が4体いっせいに出てきてエンディング。
 なぜか、この狐4匹が出てくるところでバッと涙が出てしまった。恋人を案じる一途な思いが頂点に達した瞬間だからだと思うのだが、何というタイミング。冷静に考えれば縫いぐるみなんだけどなぁ。そんなことは全く思わず、ただただ感動した。

11月の大阪公演でもこの本朝廿四孝が披露される。今回、一番前の席だったために八重垣姫が兜を手に水面に写る姿を見てびっくり、というところが確認できなかったので、次回はもう少し後ろの席だといいなぁと思う(しかし残念ながら席は選べない……)。
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# by slycat | 2008-09-24 23:41 | 文楽

子供には見せたくない青春映画

言えない秘密(2007年台湾、原題:不能説的・秘密)
監督・主演・音楽:ジェイ・チョウ、脚本:ジェイ・チョウ、トー・チーロン、撮影:リー・ピンビン

先日観た『カンフーダンク!』で主演を演じた台湾のスター、ジェイ・チョウの初監督作品である。『戯夢人生』『花様年華』の撮影を手がけた名カメラマン、リー・ピンビンをはじめスタッフが皆超一流、ということを差し引いても素晴らしい瑞々しさで、ジェイの底知れない才能には驚かされてばっかりだ。

ジェイ・チョウ演じるシャンルンが淡江音楽学校に転校してきた日から、この映画は始まる。古い校舎を探索中、シャンルンは一人のミステリアスな少女(シャオユー=グン・ルンメイ)に出会い、ひと目で恋に落ちる。映画の前半では、2人の高校生らしい、幼い恋が可愛らしく描かれており、自分の子にもこういう恋をして欲しいと思わせる。

後ろの席にいる少女のほうを盗み見ては先生に注意される場面。少女を自転車の後ろに乗せて家まで送っていくひととき。誰もが一度は経験したことのある甘酸っぱい日々が生き生きと描かれる。初恋の舞台となる台湾最北部・淡水鎮の景色も非常に美しい。
 またピアノの音色をたっぷりと堪能できるのもこの映画の大きな魅力である。「ピアノ王子」と呼ばれる生徒とシャンルンの“ピアノ・バトル”、シャンルンとシャオユーの連弾。2人が学校帰りに立ち寄るCDショップのレトロな雰囲気もとてもいい。音楽学校の生徒らしく、彼らの日常は音楽に溢れている。

しかし映画が進むに従い、シャオユーが抱える「秘密」がただならないものであることが薄々わかってきて、秘密の重みが徐々に観客を圧倒する。そして映画の最後、ピアノのテンポとともに、物語も加速していき、思いがけない結末を迎えることになる。

卒業式の日、誰もいない教室で、シャオユーにメッセージを伝えようとする場面でドッと涙が溢れた。ふだんは淡々として寡黙なシャンルンが、愛する少女のために何もかも捨てる、その凄まじい勢い。10代の恋は恐ろしい。
 「頑張れ!」と言いたいのに、一方では「もう諦めてくれ……」と思ってしまうのは私も子をもつ親であるからだろう。子供のいない人は、すんなりとシャンルンの気持ちに同化でき、違った印象をもてるのかもしれない。

世の親にとっては非常に残酷な映画である。傑作であることは間違いない、だけど自分の息子には見せたくない。
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# by slycat | 2008-09-15 18:51 | 映画