ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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Someday......

The Championships, Wimbledon 2009 FINAL
R. Federer d. A. Roddick 5-7, 7-6(6), 7-6(5), 3-6, 16-14

全く、何という試合だったのか。ファイナルセットの数字は一体何なんだ。確かにロディックは2003年全豪の準々決勝でモロッコのエルアノーイと死闘を演じたことがある。あれも凄かったけれど、今度も凄まじかった。ロディックは、間違いなく私たちテニス・ファンの記憶に残るプレイヤーであるばかりでなく、確実に記録を積み上げているようだ。

そりゃぁ、ウインブルドンの優勝者として再び歴史を塗り替えたフェデラーは偉い、偉いに決まっているけれど、昨夜のロディックを見たらたとえ彼を“finalist”と呼ばざるを得ないとしても、“champion”以上に偉大だ、と讃えたい。あなたのおかげで素晴らしい時を共有できた、奇跡的なものを見せてもらった、その気持ちを彼に伝えたいと思う。

第2セットのタイブレイクでフェデラーを6-2まで追い詰めたとき、ひょっとしたら今年トロフィーを掲げるのはロディックなんじゃないか、誰もがそう思ったはずだ。あぁ、それなのに……。何だか気の抜けたようなボールを返してみたり、ハイバック・ボレーをミスしたり(サンプラスが観客席にいたからか?)、セットを取ったフェデラーが叫ぶのと同時に、「馬鹿馬鹿馬鹿〜〜〜!!」とテレビに向かって叫んだのは私だけではないだろう(ロディックによれば風が吹いていたのでその時はよい判断だと思ったそうである)。
 しかし、第3セットも失って絶体絶命となったロディックは、まだ諦めてはいなかった。フェデラーにミスが出てきたところをすかさずブレイク。もちろん容易ではなかったが、勝負をファイナルセットに持ち越した。ここでまた夢を見せてもらった。

最後の最後まで夢は続いた。「小さい頃からウインブルドンでトロフィーを掲げるのを夢見て来た」ロディックの夢。固唾を呑んで見守ったのだが。
 ラストボールがフレームショットになったときのロディックの顔、忘れない。かつて2年連続して決勝で敗れたときにも見せたことのない表情。ベンチに座ってうつむく彼の丸まった背中。今までどんなにコテンパンにやられてもユーモアを忘れなかった彼が、今回のインタビューでは言葉数が少なかったのが印象的だった。それでも“Sorry, Pete.”とサンプラスを微笑ませたのにはグッときた。

試合後のインタビューでも、
When do you expect you'll start feeling better and feeling sort of happy with how you performed and the occasion as opposed to the disappointment now?
(今のがっかりした気持ちとは反対に、あなたの気分がよくなりプレーに満足できる気持ちになるのはいつになると思いますか? という意味だと思うが)という変な質問に対しては「わからない。僕は精神科医じゃない、テニスプレイヤーだもの」と答え、
Didn't look real easy to have to rally after losing that second set. Was there a struggle inside of you to stay positive? Were you able to blank it out right away?
(第2セットを落とした後でラリーを続けなければならないのは簡単ではないように見えました。あなたの中で前向きでい続けるために葛藤はありましたか? すぐに消し去ることはできましたか?)という問いに対しては「僕たちはサイボーグじゃない、人間だ。その時点で2つのオプションがあった。諦めるか、続けるか。2番目のオプションが自分にとってよさそうだったんだよ」と答えるなど、健気なところを見せた。

プレースタイルも雰囲気も違うが、決勝に進みながらイバニセビッチに敗れ、サンプラスに敗れ、ついにウインブルドンのタイトルを取ることができなかったラフターのことを思い出す。彼は毎週毎週勝ったり負けたりすることに疲れ、コートを去って行った。
 今、ロディックはラフターのように、ちょっと危ない気持ちになっているかもしれない。だけどあなたはまだ若い。コーチが変わるたびに新しいことを身につけ、成長してきた。頂点に立ったのが20歳の頃。普通なら年々下降線を辿ってもおかしくないところ、6年経ってもまだまだ進化し続けているというのは並の選手ではない証拠だ。

どんなにいいプレーをしても、勝てなければ悔しいだろう、きっと満足はできないだろう。だからこそ、いつかきっと夢を叶えて欲しい。次こそきっと。頑張れロディック! 有難うロディック!

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そうそう、遅ればせながら、フェデラーおめでとう。もうすぐ生まれてくる赤ちゃんも、パパを誇りに思うだろう。今年有明であなたの姿を拝むのを楽しみにしています。
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by slycat | 2009-07-06 23:30 | テニス

やはりアンディが来た

今夜はウインブルドン男子決勝の試合が予定されている。昨夜はまたもやウイリアムズ姉妹対決だった。
 ナダルが欠場となった今大会、私はフツーにフェデラーが決勝に進むことに疑いをもたなかったが、ではもう1人のファイナリストは誰になるかと問われたら、かつて姉妹のヒッティング・パートナーが(どちらが勝つかと訊かれて)「ウイリアムズが勝つだろう」と言ったのを真似て「アンディが来るだろう」と答えたかった。ただし、実はマレーだと思っていた。

準決勝での2人の戦いは本当に面白かった。特にマレーの第2セットの獲り方はぶっちぎりで、胸がスカッとしたものだ。7年前、準々決勝までは冴えまくっていたヘンマンが、イバニセビッチが放つ強烈サーブの前に屈してしまったときは残念で堪らなかったが(翌年はヒューイットに負けた……)、少なくともマレーにはセンターコートの雰囲気とか、国民の期待とか、そんなもののプレッシャーに負けるような景色は見当たらなかった。

しかしロディック、君は何て大人になったんだろう。去年AIG OPENで初めて生で見たときは、プレーよりもゴーマン・エンターテイナーとしてのキャラが際立っていたが、さすがにウインブルドン準決勝となると別人のようだった。本人も記者たちに対し「決勝まで進んだのは偶然じゃない」と言い放ったが、天賦の才だけに頼らず見えないところで地道な努力を続けてきた自信が、ここに成果となって現れている、そう思う。

解説者がしきりに褒めていたように打点が高くなり、バックハンドも正確になってサーブだけでなくリターンで勝負できるようになった。第2セットでいきなりギアをトップに入れたマレーが徐々に息切れしていったのに対し、ロディックのほうはさすがベテラン、長い試合の戦い方をよく知っていた。経験の差が出た……って、ロディックに対してこんな言葉を使う日が来るとは思わなかったな。大会前は「今年の決勝もナダル vs フェデラー!」を楽しみにしていたけれど、芝といえばこの人、ロディックを忘れてはならないのだった。大変失礼しました。

今年、ロディックは新婚、フェデラーは間もなくパパになるということで、どちらにとっても生涯における大切な年である。勝ちたい気持ちの強さはどちらも変わらないだろう。うわぁどうしようかな、やっぱり初タイトルになるし、アンディを応援すべきか……。フェデラーが勝つとナダルがNo. 2に落っこちてしまうので、それも少々気になるところである。
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by slycat | 2009-07-05 13:24 | テニス

ナダル、芝を制す!

The Championships, Wimbledon 2008 FINAL
R. Nadal d. R. Federer 6-4, 6-4, 6-7, 6-7, 9-7

長い長い決勝戦だった。観ていただけでもぐったりなのに、戦った2人には本当にお疲れさま、有難うと言いたい。

3年連続で同じ組み合わせとなったウインブルドン決勝。2人が別々の相手とそれぞれ戦っていたとき、すでに彼らの圧倒的な強さはいやというほど見せつけられていたのだが、2人が同じコートに立つと、さらにその恐ろしさが明らかになった。信じられないほど高いレベルのテニスが今、ここにある。凡人にはそれだけしかわからなかった。

最初から2人ともガンガン飛ばしていたので、大丈夫かなと思った。当然だが2人とも真剣そのもの。
 フェデラーに勝つにはミスは許されず、たったひとつチャンスがあれば必ずもぎ取ることが必要だ。ナダルはうまくそのチャンスを摑んだ。つまり自分のゲームは必ずキープし、ひとつでいいから相手のゲームをブレイクすること。
 どちらかと言えばナダルのサービスゲームのほうがデュースにもつれていたにもかかわらず、ブレイクを大事に守ってナダルが2セット先取した。サーブを打つのに時間をかけ過ぎる、と主審に警告をとられても動じなかった。逆にフェデラーのほうはナダルのゲームを崩せず、苦しい立場に追い込まれた。

ところがどっこい、雨による中断の後、王者フェデラーの逆襲が始まった。今までにも似たようなことがあったな、2セット取っていたのに逆転負けしたことが……。だからフェデラーは怖いのだ。勝つまでは安心できない。
 ナダルは第3ゲームのときに剥げた地面に足を滑らせ、右膝の痛みを訴えてトレーナーを呼ぶ。せっかくここまできたのに、まさか万事休す? しかし大怪我ではなかったようだ。再びコートに戻り、ナダルは何もなかったかのようにプレーを続けた。
 お互い一歩も譲らずタイブレイクとなった第3セット、フェデラーのサーブがナダルを上回った。フェデラーが第3セットを取る。

第4セットに入っても、勝負の流れはフェデラーに行ったりナダルに行ったり。厳しいボールの応酬が続いて再びタイブレイクに。今度はナダルがフェデラーを攻め、ついにチャンピオンシップポイントを握ることとなった。ナダルのコーチ、トニおじさんも思わず立ち上がり勝利を確信する。
 ウインブルドンの観客は完全にフェデラーの味方となり、ロジャー・コールが沸き起こった。これに応えるように頑張るフェデラー、ナダルのバックハンド・ショットがエラーとなり、何と試合はファイナル・セットへ。やっぱりこうなっちゃうのか。

第5セット第5ゲーム、2-2、デュースの時点で再び雨。全くロンドンの空は移り気だ。しかしこれも今年までのこと。来年からは雨が降っても屋根ができるから試合は続行されるんだなぁ。

試合が再開され、第8ゲーム、3-4のときはあわやフェデラーがブレイクするかと思われたが、ナダルはこれを凌ぐ。観客席(トニおじさんたちとは別の席だ。遠慮したのかな?)のご両親が両の拳を振り上げて息子を讃えていた。本当に、どんな気持ちだろう、こんな局面にいる息子を見ているというのは。

第11ゲーム、今度はナダルにブレイクチャンス。しかしフェデラーもこれを凌ぐ。もちろんフェデラー陣営でもご両親とミルカさん(ついでにグウェン・ステファニーも)が必死の応援をしており、一喜一憂。試合をしている2人も大変だが、見守る家族の心労が慮られる。

第13ゲーム、40-30でフェデラーのボレーがネットにかかり、またまたデュース。今度こそピンチかと思った、が、ここでも凌いでフェデラーの7-6に。しかし次のゲームをナダルがキープして迎えた第15ゲーム、ナダルがとうとうブレイクした。今度こそ、とばかりにトニさんらが立ち上がる。
 ナダルのサービス。リターンが少し長くなり、最初のポイントはフェデラーへ。するとナダルはサーブ・アンド・ボレーで次のポイントを取った。その次も一度返した後ネットに出て30-15。またフェデラーが取って30-30。
 ここで主審が観客に向かってフラッシュ撮影をしないよう注意したが、その後ナダルのサーブに時間がかかったのに憤ったか、フェデラーが何事か訴えていたようだ。主審パスカル・マリアさんの戸惑ったような顔が映るが、彼は特に警告を出さなかった。苛々が災いしてか、フェデラーのボールがアウト。しかし次は苛々を力に変えて素晴らしいリターンエースでデュースに。この場面でこんな球が出てくるなんて、驚いてものが言えない。

再びナダルのサーブ。フェデラーのリターンが大きくアウトすると、トニおじさんはもう座っていられない。ナダルのお父さんの横で落ち着きなく立っている。最後のサーブ。静かに打ち合う2人。フェデラーのボールがネット。ナダルの優勝が決まった。コートにひっくり返るナダル。陣営のほうも大騒ぎだ。

フェデラーと肩を抱き合い、讃え合った後、ナダルは勝者の特権として家族のもとへ上った。嬉しそうなご両親、おじさんたち、みんな笑顔だ。こういう場面を見ると胸がいっぱいになる。お父さんにスペイン国旗を手渡され、ちゃんとスペインのフェリペ王子ご夫婦(だと思う)にも挨拶してからベンチへ戻った。

あっという間に準備が終わり、セレモニーが始まる。大事そうにトロフィーを抱えるナダル。ここでインタビューに応えなければならないのはフェデラーにとって残酷だが、彼はきちんと責務を果たした。ナダルも控えめに喜びを語りつつ、フェデラーに対する敬意を忘れなかった。

ナダルの初優勝はとても嬉しい。いつも「もっと進歩しなくっちゃ」と言っているナダル、バックハンドや戦い方など、本当に目覚ましい進歩を見せてくれた。それに2年連続で負けているんだもの、今年勝ってもいいじゃない……。でもフェデラーの気持ちを思うとほろ苦い気分になる。勝ちたかったよねぇ。

「テニスでは、残念なことに必ず勝者と敗者がいなければならない、引き分けはないんだ」。試合後、フェデラーは言った。かつて同じ意味の言葉がアガシによって語られたときは「だからテニスは美しいんだ」と締めくくられたのだが。
「とても辛いよ……。パリで負けたことは僕にとって何でもなかった。ここで負けるのはdisaster(災難)だ」

フェデラーはオリンピックに出場し、USオープンでいい結果を出してシーズンを終えたい、と言っている。ウインブルドンで味わった失意を次に戦うときのための力に変えて欲しい。
 そしてナダル、本当におめでとう! 頑張って頑張って、ついにクレーだけでなく芝でも勝てることを証明した。今回の勝利は、そのために重ねてきた努力にふさわしい。

寝不足続きのウインブルドンはすべての試合が終わった。これでゆっくり眠れる。おやすみなさい、また来年!
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by slycat | 2008-07-07 12:41 | テニス

ヴィーナス優勝

V. Williams d. S. Williams 7-5, 6-4

2003年決勝以来の姉妹対決。あのときはヴィーナスが腹筋だか背筋だかを傷めており、いまひとつピリッとしなかった(でも棄権しなかったのは凄かった)。エナンが準決勝で敗れてしまっていたのでガックリ、「まぁたこの2人かよ〜」とテンションは下がりまくっていた。
 しかし今思えば、このときが“姉妹”としてのピークだったのかもしれない。その後ヴィーナスにしてもセレナにしても、怪我に見舞われ長く苦しんた。今回のAll-Williams対決が5年振りだとは……。2003年当時、こんなことになるとは夢にも思っていなかった。あのとき、「またか」と思ったこと、実は後悔している。

一方エナンは同じ年、2つのグランドスラム・タイトルをとって名実ともにNo. 1となった。エナンは2004年全豪優勝の後、病に襲われて残りの3大会をふいにしてしまったがアテネ・オリンピックで金メダルを獲得、ベルギーの英雄となって面目を保ち、2005年の全仏で復活、その後3連覇とUS OPENタイトルを取り、いろいろあったが今年、No. 1のまま引退した。

エナン・ファンの私にとってウイリアムズ姉妹は常に目の上のタンコブであり、記者会見でエナンが「彼女たちに勝つためには何が必要か、わかってはいるけれど難しいわ」と語るのを見るにつけ悔しかった。ほっそりと可愛らしかったエナンが筋肉ムキムキになって現れたのを見て驚き、ウイリアムズのためにここまで……と感心する一方でやはり悔しかった。恵まれた身体をもった2人がスイスイ勝つのは当たり前じゃん、全然面白くない、と憤っていた。

しかし、エナンがいなくなった今、結局頼りしたのはこの2人。エナンがいなくなった途端にするっとNo. 1の座が手に入るなんて納得できない、ウイリアムズじゃなければディメンティエワか、ダヴェンポートでもいい、“あの頃”活躍していた人にタイトルを取って欲しい。歪んだファン根性が暴走した。

そうしたら、そんな願いが叶ってしまったではないか。正直言って驚いた。圧倒的にセルビア勢有利だと思っていたし、クジーやシャラポワにもチャンスがあると思っていたのだが、マジで強いぞこの2人(ちなみにディメンティエワも頑張ってくれ、非常に満足した)。

今回の興味は、いつも何となく妹に遠慮しているんじゃないかと思われるヴィーナスが、セレナを敵としてどこまで攻められるのか。前回はエナン贔屓のため色眼鏡で見てしまった悔いが残るので、観客として真剣に付き合いたかった。

いや、もう、全然心配する必要はなかったようだ。2人とも容赦なく自分の試合をした。2人のお父さんは見るに忍びない、とアメリカに帰ってしまったそうだが、これはぜひ見てあげて欲しかった。素晴らしく真剣で、素晴らしく非情だった。

相手が誰でも関係なく攻めていけるだろうと思っていたセレナ、やはり最初から好調だった。解説の神尾米さんが「今回のセレナは丁寧にプレーしている」と仰っていたが、動きもいいし、チャンスでネットに出ていくタイミングも早い。これはまたセレナかなぁ、などと思った。

しかし、ヴィーナスは冷静だった。試合の途中、風が強くなってきて何度かサーブに支障をきたしたが、慌てず騒がず、風に流されるボールに対して的確に対処していった。反対に、セレナのほうには苛立ちが見られるようになった。大きな空振り。入るはずのボールが入らないことに腹を立てる。それが表情に現れた。
 ヴィーナスがセレナに追いつき、7-5で第1セットを取る。第2セットに入っても風は止まない。セレナの苛立ちも収まらない。何度となく、自分本来のプレーができるよう、自分自身に何事かを語り続けるものの、ひたすらマイペースで打ち続けるヴィーナスに、隙はなかった。

第1セット、ラリーの途中で大声を出してしまい、主審がリプレーを告げた場面で「今のは私が悪かった」とヴィーナスのポイントを認めたセレナは偉かった。相手がお姉さんだから、ということを差し引いても偉かったと思う。大人になったねぇと褒めてあげたい。
 本当は悔しくてたまらなかっただろうに、準優勝のプレートを手にポーズをとり、ユーモアを忘れずインタビューに答えたところも立派だった。そして強風にもめげず、妹のガッツにも負けなかったヴィーナスは美しかった。

“若手”トップシードたちが結果を残せず、ウイリアムズ姉妹が決勝に残ったことに対して、当然「不甲斐ない」「女子テニス界はこれでよいのか」という声が挙がるんじゃないかと思われるが、姉妹が歩んできた道程を思えば、まだまだ2人の時代が続いてもいいような気がする。
 25歳であっさりキャリアを捨てたエナンを責める気持ちはないけれど、寿命は延びているんだもの、アスリートの活躍期間も延びていい。ディメンティエワがベスト4に入ったことも嬉しいし、タナスガンの頑張りも印象的だった。みんなが納得できるまでプレーを続けてくれればいいと思う。

何だかんだ言いながら、結構楽しめたウインブルドンも、後は男子決勝を残すのみ。さて、今夜、結果はどうなりますか……。
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by slycat | 2008-07-06 12:54 | テニス

そして2人が決勝へ

R. Federer d. M. Safin 6-3, 7-6, 6-4
R. Nadal d. R. Schuettler 6-1, 7-6, 6-4

第1試合
サフィンがセンターコートに帰ってきた。肩を揺すりながら歩く姿は熊のよう。放たれる重いショットはまさにグリズリーの一撃のごとし……。やっぱりこの人には大舞台が似合うなぁと思う。
 観客席にはボルグの姿。自分の記録が破られるかどうか、気になっているだろうな。今年は来ていないかと思っていたクリフ・リチャード氏もちゃんと座っていた。決勝を別にすれば、今大会最も注目される試合である。

フェデラーにしてみれば、サフィンは何度も闘ってその実力が十分わかっている相手。彼が準決勝に現れても驚きはしないだろうが、サフィンにとっては大事なチャンスだ。それに、どうも彼は小さなトーナメントを地道に回ってランキングを上げていくのが似合わない。グランドスラムで一発当てるほうが向いている。

サフィンが出場する試合が「いい試合」になるかどうか、それはいつでもサフィン次第である。対戦相手は世界No. 1なのだから、本気にならないわけがない。しかし相変わらず、表情こそ真面目だが、何だか無造作に打っているような感じ。まぁ、それが彼の魅力なんだけれど。
 誰もが期待するこの試合、それにしてもWOWOWの番組スタッフはちょっと画面を作り過ぎ。三文小説の惹句じゃないんだから……見ていて恥ずかしい。

いきなりブレイクされてしまってオイオイ、しっかりしてくれよと思う。プレースタイルは全然変わっていないようだ。独特の打ち方、独特の雰囲気。サーブも重そう。さすがのフェデラーもやりづらそうに見えたが、「そういえばサフィンてこうだったかな」くらいの印象だろうか。フェデラーが25分であっさり第1セットを獲った。

1セットダウンでかえってすっきりしたのか、第2セットは少し気持ちを引き締めてきたような。いいサーブが入ってゲームをキープ。でもまだボールが長い。ネットに引っ掛けるよりはマシだけれど。
 このセットを取れたら、サフィンにも勝機があったと思う。サフィンだって、フェデラーに2セット先に取られてしまったら後がなくなることくらい承知していたはずだ。だけどフェデラー相手にミスを重ねたのは致命的だった。もう少し集中できていればなぁ。フェデラーは3分の2くらいの力しか出していなかったのではなかろうか。
 恐らくそんなことも全部わかっていただろうから、余計にサフィンの苛立ちは大きかった。お馴染みのシーンではあるが、ラケットを叩きつけてぶっ壊す。それでも足りずにベンチにラケットをぶちかまし、主審のグラフさんにジロッと睨まれた。

結果はやっぱりフェデラーの勝ち。力だけ、技術だけでは語れないフェデラーの強さをしみじみ感じた。それでも勝利の瞬間、飛び上がって喜びを表したフェデラー。後のインタビューで「僕は芝では無敵だ」と言ったフェデラーといえどもサフィンには脅威を感じていたんだ……と思っておこう。

それでもサフィンの強さが健在だということは十分証明されたと思う。2004年、フェデラーに負けるたびに悔しい思いをし、マスターズ・カップでも打ちのめされた彼が、翌年の全豪準決勝で見せた奇跡的なテニスを忘れない。彼はまたやってくれる。そう信じて、残りのシーズン、見守っていくつもりである。

第2試合
ベッカー、シュティヒに次いでドイツでは3人目のSF進出。ず〜っと不調を囲ってきたシュトラーだけど、彼は本当に不思議な人だ。2003年の大活躍、2004年アテネ・オリンピックでのメダル獲得など、彼よりずっと華やかで才能のありそうな人たちを差し置いて、いいところで母国に貢献しているように思える。
 フィリポーシスやクエルテンがノー・スポンサーでコートに現れたり、アガシがウェアをアディダスに替えたときは、スポーツ・ビジネスの厳しさをひしひしと感じたものだが、シュトラーは相変わらずフィラを着ているし、ラケットも変わらずヘッドのまんま。彼のマネージャーがしっかりしているのだろうが、日本で考えられている以上にドイツでの評価は高いんじゃないかと思う。

観客席にはご両親の姿が。親孝行だなぁ。だけどいいんだろうか、ナダルとの対戦なのに呼んじゃって……。要らぬことを考えながら試合を観る。
 いきなりナダルがガンガンとシュトラーを圧倒する。うわぁもう見ていられない、どうすんのよ。クレメンとの長丁場の後にしては疲労の色は見られなかったが、全然歯が立たないんじゃないだろうか。

ところがあっさり1セットを落とした後、彼は頑張った。どちらかといえば彼はフォアよりバックハンドが得意で、2003年は特にダウン・ザ・ラインで随分ポイントを稼いだものだが、開き直ったのだろうか、いいボールがちゃんと入るようになった。ボレーもきれいに決める。諦めることなく左右に、前後に走る。

シュトラーの粘りに対して、今度はナダルの調子がおかしくなってきた。解説の土橋さんによれば、早くポイントを取ろうと焦る気持ちがミスにつながる、とのこと。ナダルでも苛々することがあるんだ……。相手のボールを走って走って打ち返す、というスタイルはナダルに似ている面がある(ついでに言えば、ベンチでペットボトルをきちんと並べる点も似ている)。自分がやられるといやなものなんだろうか。

苛々の理由は、剥げてしまった芝に足をとられて、思うように動けないところにもあったようだ。ナダル陣営が新しいシューズを届ける。すぐには履き替えなかったが、結局何ゲームか後のコートチェンジの際に履き替えた。それでも足がもつれる場面があったので、ひょっとしたらどこか痛いんじゃないだろうかと心配になる。

しかしシュトラー、力及ばず。苦しくても勝つ、そこがナダルの凄いところ。第2セットのタイブレイクを何なく取り、第3セットでもすがるシュトラーを振り切った。結局ストレートで準決勝に進出。久々のシュトラーの大活躍は、ここでピリオドを打たれた。

でも、頑張ったよねぇ。第2セットは、ひょっとしたら取れるんじゃないかと期待させてくれた。ナダル相手にここまでできたんだから、ビールをザブザブかけて祝ってあげたいと思う。彼が一番得意とするのはハードコートなので、北米のUS OPENシリーズでもこの勢いを絶やさず、実力を発揮して欲しい。
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by slycat | 2008-07-06 11:27 | テニス

ウインブルドン:いよいよ準決勝

女子決勝の組み合わせはall-Williamsに決まった。以前なら「またか……」と文句を言っただろうに、今回は嬉しく思うのだから、勝手なものである。やっぱりこの人たちが元気じゃないと、テニスは面白くない。

一方、男子のほうは1試合雨で翌日まで持ち越されたものの、準決勝のカードが決まった。週末でよかった、仕事中、眠くて仕方がないんだもの。

第1試合 ロジャー・フェデラー vs マラト・サフィン
第2試合 ライナー・シュトラー vs ラファエル・ナダル

正直なところ、いくらシュトラーのファンでも、第2試合のほうの結果はすでに見えているような……。クレメンとのQFは何と5時間にわたったという。さすがに粘り強い、2人とも。だけどその翌日にナダルと戦うなんて、本人のせいじゃないけれど無謀だ。

「イギリスの人たちは負けそうなほう(underdog)を応援するんでしょ? 僕、間違いなく負けそうだよね」だなんて本人が言っていることだし、シュトラーが決勝に進む確率はかなり低いだろう……と書いてしまう。でもいくら相手がナダルだからといって、ボロ負けはして欲しくない。というか、しないんじゃないか、今回のシュトラーは。
 2003年の勢いをもう一度! 2004年モンテカルロ準決勝のときみたいに徹底してサーブ&ボレーで攻めるとか、何か奇策が欲しいな。頑張れKorbacher!

そして、サフィン対フェデラー。これがどっちへ転ぶのか、全くわからない。論理的に考えれば絶対フェデラーが勝つはずなんだけど、サフィンが絡んでいると何かが起こりそうな気がしてしまう。あくまでも希望的観測ではあるけれど。見てみたいなぁ、2004年マスターズ・カップのときみたいな、2005年全豪準決勝のときみたいな手に汗握る熱戦を……。
 サフィンを見ていると、頭の中で"Hose Runter"(Die Prinzen)という曲が鳴り出すのだけれど、なぜかというとそのものズバリ、全仏オープンで曲名と同じことをしたからである。言葉の意味としては「開き直れ!」ということらしい(以前は歌詞の和訳を紹介してくれる方がいらっしゃって助かっていたのだが、事情により歌詞を公開できなくなり残念だ)。実際に行動に移さなくていいから(何しろここはウインブルドン)、気持ちだけは開き直ってもらいたい。

さてさて、明日は休みだし今夜はずっと起きていられるぞ。選手の皆さん、いい試合を頼みます!
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by slycat | 2008-07-04 16:03 | テニス

ウインブルドン:驚きのベスト8

エナン引退後のウインブルドン。女子のほうはトップシード4人が消えてしまい、波乱のセカンド・ウイークとなっているが、男子のほうも驚きの顔触れがベスト8に残った。

男子QFのカードは、
 ロジャー・フェデラー vs マリオ・アンチッチ
 マラト・サフィン vs フェリシアーノ・ロペス
 アルノー・クレメン vs ライナー・シュトラー
 ラファエル・ナダル vs アンディ・マレー

それぞれ出身はスイス、クロアチア、ロシア、スペイン、フランス、ドイツ、イギリスとヨーロッパ勢が圧倒しており、かつてテニス王国だったアメリカのアの字もない。

フェデラー、ナダルを除けば、ほかの6人は大会前には予想だにしなかった顔触れである。ジョコヴィッチやロディックが入っていると思っていたのだが……。何でも始まってみるまではわからないものである。
 
マレー対ガスケの試合は非常に面白かった。ガスケのほうがお利口なプレーをする、チャンスの場面で落ち着いている、と思っていたのだが、今大会のマレーは昨年とは大違いだ。
 苦しいときによく粘るようになった。左右によく走る。諦めない。対ハース戦でもそうだったが、いいところでネットに出てボレーで決めたり、相手の動きをよく見てロブを使ったり、強打に頼らずうまく相手の意表を突いたプレーができていた。
 何より、長いことヘンマンが苦しんできた「国の期待」をうまく自分のエネルギーに変え、よく叫び、自分を奮い立たせた。観客と一緒になって闘うことができた、その効果は絶大である。

ロペスについては、もともと芝で活躍できる人だと思っていたので、そんなにびっくりはしていない。とにかく惚れ惚れするほど美しい人だから単純に嬉しい(昨年、AIG OPENのとき、すぐ横を通り過ぎて行った彼はこの世の人とは思えないほど神々しかった……)。

サフィンがここまで勝ち残ったのが嬉しい。感激のあまり言葉が出てこない。彼としては謙虚に「今年はコートが遅いからラッキー」と述べているが、いや、君の力ならここまで来て当然だよ、と讃えたい。有難う、ここまできてくれて。

シュトラーの活躍も嬉しい驚きである。2003年は大躍進で世界6位まで行った彼の、最後まで諦めない粘りのプレーが大好きで応援していたのだったが、2004年以後どうもパッとしなかった。負けが込んでくるとプレーも投げやりになり、元気がみられなかったものだが、このウインブルドンで勝ち進む彼の顔は生き生きと輝いている。やっぱり勝利こそがプレイヤーを勇気づけるんだな、と改めて思う。
 そしてクレメン、サングラスにバンダナとお洒落な出立ちにばかり目を奪われてしまうが、フランス人らしい個性的なプレーで楽しませてくれる。シュトラーとのQFは30代対決となった。次はどんな試合を見せてくれるのだろうか。

さらに病気や故障で苦しんできたアンチッチが息を吹き返したことが嬉しい。クロアチア人らしい強気の攻め、長身を生かしたサーブはやはり魅力がある。QFの相手はフェデラーだからもちろん楽ではないが、芝の王者を苦しめるところが見てみたい。

大会前はフェデラーとナダルの因縁対決ばかりを気にしていたが、こうなると誰が決勝に残っても面白そう。泣いても笑っても最後には2人に絞られてしまうのだが、何だか勿体ないなぁ。

どうぞ神様、彼ら一人ひとりに最高の試合をお与えください。勝つ人も負ける人もみんなが完全燃焼できますように。
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by slycat | 2008-07-01 22:39 | テニス

宇宙のテニス

ナダル対ベックの試合を観て、やっぱり今年のナダルは優勝候補に挙げられるだけあって落ち着いてるなぁなどと思い、杉山のスピード感あるプレーに満足し、とりあえず後は録画して眠ったのが水曜深夜。仕事から帰ってマレー対サントロの試合を再生、息子が「サントロすっげえぇ〜ホントにもう、信じられないんだぜ」などと大声を上げるのを背に必死でコロッケを作っていた(あぁ、コロッケってシンプルなくせにどうして作るのは面倒臭いんだろう)。

やっとでき上がった夕食を食べながら試合観戦に戻ると、対戦相手を苛々させるであろうサントロのプレーに、マレーがキレもせずに真面目に対処しているのを確認して驚いた。大人になったねぇアンディ君。観客席には美しい恋人が座っており、マレーのプレーに声援を送っている。なるほど、彼女ができたんで張り合いがあると。ギルバートよりも彼女かぁ、と思わずにやにやしてしまう。
 昨年までは、準決勝くらいまで勝ち進んでも途中で苛ついたり、試合をやめたそうな顔をしたり、せっかくの才能を生かし切れていないと思われる場面も多かった。傷めていた脚にはサポーターが巻かれ、思うように走れないようにも見えていた。しかし、今回はしっかり集中していましたねぇ。立派、立派。マレー君には凄い潜在能力があるとずっと信じているので、その蕾が開きそうな予感に、すっかり嬉しくなった。

そして夜は更け木曜の朝。突然思いがけないニュースが飛び込んできた。何と、優勝候補の1人、ジョコヴィッチが2回戦でサフィンに敗れたというではないか。ひゃ〜サフィン、やっぱり貴方は凄い!
 いつだったか、(サフィン本人は登場していなかったが)マスターズシリーズの試合中、解説者(確か一藤木貴大君のお父様だったと思う)が「サフィンは本気になると宇宙のテニスをしますからね」と言っていた。うまいこと言うなぁ、と思った。

残念ながら全豪優勝を決めた2005年に膝を故障し、以来彼にとって不本意な日々が続いているが、サフィンが何も考えず(あれこれ考え始めるとロクなことがない……)試合だけに集中することができたら、彼に勝てる選手はいないんじゃないか。そう思わせるだけでも彼は偉大だと思うのだが、なかなか無心になれないようで(まぁそういう試合でも面白いんだけど)、いまだにランキングが上がらない。

我が家の人間は一家揃ってサフィン・ファンである。夜遅く帰ってきた夫に「サフィンがジョコヴィッチに勝ったよ〜!」と報告すると、口の悪いおっさんは「へえぇ〜やったか!?」と驚いた後で「ほんとに端迷惑な男だな〜」と言った。
 ジョコヴィッチにしてみれば、確かにどうしてサフィンと“2回戦で”当たらなければならないんだ、というところだが、シードがついていないのはサフィンのせいじゃないやい。怪我が悪いんだい、と言いたい。
 息子に至ってはついさっきまで試合の結果を知らなかったので、「サフィン、ジョコヴィッチに勝ったよ」と教えてやると、「えっマジ? リアルで勝ったの?」などと言う。事実だとわかってようやく喜んだが、オイオイ、母親の言うことが信じられないのか。

もちろん2回戦で強敵を倒したからといって即、優勝が期待できるわけではなく、3回戦であっさりストレート負けしてしまう恐れは十分にある。サフィンが戻ってきたぁと喜び、今度こそと期待しては何度も失望を味わわされてきた身では、ここで喜び過ぎると後で何倍も悲しくなってしまうのではないか、とついつい警戒してしまう。
 
だけど相手は何と言ってもジョコヴィッチだ。喜ばずにはいられない。これは面白くなってきたぞ、ウインブルドン。どうか神様、サフィンが余計なことを考えずに勝ち進みますように……。
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by slycat | 2008-06-26 23:09 | テニス

ウインブルドン開幕

また寝不足に悩むシーズンがやってきた。しかも今年はNHKのほかにWOWOWでも試合の模様が中継されるため、どのカードを観るか選択肢が増えて、ますます悩ましい。
 と言いながら、ちょっとひと眠りと思ったのに錦織選手の試合が放送されている時間に起きられず、いきなり不覚をとった。しかも彼は途中リタイア。せっかく1セット取って、2セット目もいいところまで行ったのに残念だ。でもここで無理して、始まったばかりのキャリアが台無しになっても困るので、賢明だったと思う。まだ18歳、いくらでもチャンスがある。

フェデラーは危な気なくスイスイと勝った。巷ではいろいろ言われているが、やはりウインブルドンでは盤石の構えである。とりあえず今週は何も心配することはなさそうだ。
 最後のゲームを前にハーバティのベンチへ行き、ハーバティがフェデラーの隣に座ったのにはびっくり。へえぇ、こういうのってOKなんだ、試合中に選手同士で話をしてはいけないような気がしていたが、お咎めなし、ということはルールで禁止されているわけではないんだな。
 勿論、死にもの狂いで勝とうとしている最中に対戦相手と談笑したい、と思う選手はほとんどいないだろうから、これは王者フェデラーにしかできない超余裕の行動だ。会場は何だかほのぼのとした雰囲気に包まれた。
 ハーバティもにこやかな笑顔で、試合後は2人揃って退場。フェデラーの人柄がウインブルドンを魅了した。

そんな中、個人的に大ショックだったのはナルバンディアンの初戦敗退。カナダのFrank Dancevic(ダンチェヴィッチ)に6-4、6-2、6-4のストレート負けを喫してしまった。ダンチェヴィッチって誰よ〜! カナダにこんな強い選手がいたとは……。
 サーブがいいし、判断も速く、ネットに出るタイミングも抜群。ナルバンディアンのセカンドサーブをビシバシ叩いていく超強気のプレーには思わず引き込まれる。これで対戦相手がナルちゃんでなければ、拳を握り締めて応援するところだが、ナルちゃんの不甲斐なさに気持ちはず〜んと沈む一方。後手に回ってしまったし、1stサーブは入らないし、何よりミスが多過ぎた。勿論、相手が素晴らしかったからこそミスさせられたのではあるが、ナルバンディアンへの思い入れが強い分、情けなかった。
 第3セット第7、8ゲームではさすがに意地を見せてスーパーショットも繰り出したが、時すでに遅し。昨年のマドリッド、パリでの素晴らしい勝利は、消える前のロウソクだったのか……なんて、縁起でもないことまで考えてしまった。

1日目にしてガックリ、のウインブルドンだが、ジョコヴィッチ、ナダルがどこまでい行けるか、フェデラーの6連覇は実現するか、興味はまだまだ尽きない。サフィンがジョコヴィッチ相手にどんな試合をするかも楽しみだし、バグダティス(久しぶり!)の活躍にも期待したい。
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by slycat | 2008-06-24 05:24 | テニス

フェデラー、ボルグに並ぶ

R. Federer d. R. Nadal 7-6, 4-6, 7-6, 2-6, 6-2

ボルグにサンタナ、ベッカーとかつてのチャンピオンたちが居並ぶ中、世界ランキングNo. 1とNo. 2のプレイヤーがウインブルドンのセンターコートに立った。これだけでも十分見ものだが、試合の内容もなかなか見応えのあるものだった。

フェデラー、ナダルともに力は甲乙つけ難く、フェデラーが1セット取ったかと思えばナダルが2セット目を取る。このまま行くのかなと思っていると3セット目はまたフェデラー。フェデラーの強さはある意味当然として、苦手な芝のコートでよくぞここまで、とナダルを褒めてあげたい。

ナダルの何が凄いと言って、フェデラーが珍しく苛々する姿を見せてくれたこと。この日何度チャレンジしても失敗続きだったフェデラーに対して、ナダルの“勝率”は高かった。4セット目、ナダルが放ったかなりきわどいボールにラインジャッジは「アウト」とコールしたが、ナダルは自信たっぷりにチャレンジを要求。フェデラーが「やれやれ、またか」という顔をするが、まさか判定が覆ることもあるまい、とスクリーンを見守る。
 ところが、これが「イン」と出た。頭に来たらしくフェデラーは主審に詰め寄るが、カルロス・ラモスさんは当然ながらホークアイの結果を尊重する。さすがのフェデラーも心乱れて次のポイントを落とし、ナダルにブレイクされてしまった。

面白かったのはこの後。エンドチェンジでベンチに戻りながら、フェデラーの愚痴ること愚痴ること。我が家の息子(15歳)風に訳すなら、「ホーント、最高だよなこの(ホークアイ・)システムってさぁ。クソ! ったくもう、何であの球がインなんだよ、ありえねぇだろ。今日はマジむかつくぜ」。

しかしこれほどまでにフェデラーを苦しめたナダルの顔色がすぐれない。主審に何事か話しかけていたが、その次のエンドチェンジの際、トレーナーが飛んできた。右脚に痛みがあるらしい。本当に痛そうだ。トレーナーが筋を伸ばしたりスプレーをかけたり、しまいにはテーピングを施した。

今大会は雨のために試合が途中で中断したり、連日ハードな試合をこなさなければならなかったり、決勝まで残った2人の疲労は極地に達していたのだろう。フェデラーにはそれが精神面に現れ、ナダルには身体的に現れたようだ。
 しかしトップ・アスリートの素晴らしさというか、唯我独尊ぶりには改めて感心した。フェデラーが苛々しようが、ナダルの脚が痛もうが、お互い相手のことなどお構いなし。2人とも自分の世界に浸り切っていた。さすがだ。

普通の選手であれば、精神統一ができないというのは致命的なダメージとなるが、フェデラーは乱れる気持ちを自らの好プレーで押さえ込んでいった。対するナダルのほうは、残念ながら気持ちだけではどうにもならないほど脚の痛みが強かったようだ。
 試合中、フェデラーは調子を崩してもサーブの威力を保ち続けたが、ナダルは脚という強力な武器を失って、徐々に精彩を欠いていった。3セット目までは面白いように決まっていたパスが、ネットに引っかかる。踏ん張れないのでサーブも入らない。フェデラーが落ち着きを取り戻した時点で、勝負はすでに決まっていた。

それでも、最後のスマッシュが決まったとき、コートに頽れたフェデラーの泣き顔が、いかにそれまで苦しみ抜いてきたかを物語っていた。困難を極めた末の5連覇に、拍手を送らずにはいられない。

2007年、ウインブルドン決勝。歴史に残る好試合となった。私がもうひとつ嬉しかったのは、フェデラーとナダルのお蔭で、半ばサンプラスの伝説に埋もれそうになっていたボルグがまた脚光を浴びたこと。2人の若き名プレイヤーに敬意を表して立ち上がり、拍手するボルグがまぶしかった。我が思春期のアイドルには、年をとっても輝いていて欲しいじゃないか。

今、フェデラーやナダルを見つめる若い世代が、20年、30年の後にこのような試合に息を飲む日が、再びくるのだろう。テニスの歴史は続いていく。
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by slycat | 2007-07-10 00:51 | テニス