ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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有難うアンディ

ついにアンディ・ロディック引退のときが来てしまった。あっという間の10年。2003年最年少でNo.1になった彼だったが、それ以来とうとう一度も1位に返り咲くことはなかった。翌年から、奇跡のようなフェデラー時代が始まったから……。

ちょっと傲慢なプレイヤーだと思っていた。「ロッカールームの嫌われ者」などという噂もあったし、有明で本物を見たときも、コートの上だと何かヤなヤツ、という感じを拭い去れなかった。
しかし、一方で彼は熱心にチャリティに取り組む一面をもっており、特に子供たちのための努力は惜しまない人であった。チャリティの会に顔を見せるはずだった著名人がドタキャンした際、困った主催者が友人であるアンディに電話をしたところ、快く引き受けた彼は吹雪の中駆けつけたという。また、2004年だったか2005年だったか忘れたが、ローマ大会のとき、テニスプレイヤーたちが宿泊していたホテルで火災が起こったことがあったが(サフィンのラケットは燃えてしまったとか)、率先して人々の救助にあたったのもアンディだった。米国テニスのエースと呼ばれるに相応しい振る舞いの数々は、実はコートの外で行われることが多かったのかもしれない。

忘れもしない2007年全豪オープンでの歴史的敗退のときも立派だった。不思議なことに、彼は負けたときこそ人格の素晴らしさを見せつける人だった。ウィンブルドンで一度は優勝して欲しかった。それはとうとう叶わぬ夢となってしまったが、負けても格好良かったじゃないか。別にanother Andyを責めるわけではないけれど、ロディックは負けても泣かない人だった。泣きたい気持ちであったとしても、上手なスピーチで観客を沸かせることができた。

そのアンディが、デルポトロ戦で負けを意識したとき、泣きそうで陣営のほうを見ることができなかったと試合後語った。この1週間、まるで子供が公園で遊ぶような気持ち、innocentな気持ちでテニスを楽しんだ、そう話すのを見たとき、涙を堪えられなかったのは私だけではあるまい。

トップ4はともかく、最近どうも個性を感じられないプレイヤーが増えてきたような気がする中、アンディは、誰にも真似のできないビッグサーブで観る者を圧倒した。半面、リターンのほうは正直言ってお粗末な印象もあったことは否めないが、これほど個性的な人はいなかった。これほどチャーミングな人も。

アンディ・ロディックの引退により、確実に何かが終わった。そう思う。さようなら、アンディ。長い間楽しませてくれて有難う。お疲れさまでした。
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by slycat | 2012-09-07 02:30 | テニス

今さらながら、全仏男子決勝のこと

Roland-Garros 2010, Men's Singles Final
R. Nadal d. R. Soderling 6-4, 6-2, 6-4

もう3日も経ってしまったが、いまだ感動中。ナダルは頑張った。偉かった。もちろん、ソダーリングだってかなりイイ線行っていたが、勝ちに行ったときのナダルの凄みというか、(ホントに再三ソダリングには申し訳ないけれど)選ばれし者の底力というものを見せつけられた感じがする。

何と言ってもソダーリングは背が高いし、サーブが速い。これと言って何が凄いのか説明しづらいナダルと比べると、明快に魅力を語れる選手である。高く上がったボールを思い切り打ち込めば、ナダルといえども打ち返すことなくうなだれるしかない。彼が天から授かった才能は大きい。しかしそれでもナダルは負けない。なぜなんだろう。

昨年はここ全仏の舞台でまさかの敗北を期し、何と決勝にすら進むことができなかった。ディフェンディング・チャンピオンであったのに、ウインブルドンを欠場した。その後もいまひとつすっきりしないまま、No. 1の座をフェデラーに譲ったまま、ファンをやきもきさせていた。

私はずっと、彼の不調は怪我のせいだと思っていたのだが、出張先で合流したバルセロナの同僚に聞いたところ、スペインではナダルの不調は両親の離婚によるものだ、というのが定説だという。「彼もまだお子ちゃまということよね」などと言われた。今回WOWOWの放送でもダパディさんが少し触れていたが、ナダルにとって親の離婚は相当ショックだったらしい。彼の強さが、家族や友人や親戚など、周りを取り巻く人々の絆によって培われていたものだということがいよいよはっきりした。

しかしこの決勝の日のナダルの素晴らしさ。ボルグを基準とするとかつては考えられないほどの筋肉、日々の厳しいトレーニング、天賦の才、彼の場合はその上に強靭な精神力が乗っかっている。そのどれが欠けても彼のバランスは崩れてしまう、が、ひとたび強い精神が戻ってくれば、多少の疲れや不調は何の妨げにもならない。

大切な両親が別れてしまったことで受けたダメージを乗り越えて、ナダルは大人になった。そして、大人になったからこそ、優勝が決定した後、あれほど涙を流すことができたのだろう。経験の乏しい子供は、自分にとっての大きな出来事を目の前にしても泣かないものだ。彼が泣く様は、昨年全豪オープンの優勝を逃したフェデラーの泣き顔とダブった。そうだ、フェデラーも泣き虫なのではなく、さまざまな経験を人一倍しているからこそ、あの場面で泣いたんだね。

2年連続で準決勝となってしまったソダーリングは本当に気の毒だが、ここはちょっぴり我慢して欲しい。あの涙のわけをもし慮ってくれるなら、勝ち負けはともかく、とてもいい試合であったことに満足してくれるなら、許して欲しい。

今年はナダルに勝って欲しかった。その願いが実現したことに感謝したい。
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by slycat | 2010-06-09 23:47 | テニス

ああ、US OPEN 2009

US OPENが始まったぞ〜!とテレビをつけたら、何とWOWOWの放送が終了していた。ブルーの画面に映る、デジタルではご覧になれます、などというメッセージが虚しい。慌ててケーブルテレビのカスタマーセンターに電話し、デジタルへの切り替えを申し込んだが、工事に来てもらえるまで1週間から2週間かかるという。「テニスを観るためにWOWOWに加入しているんですぅ、US OPENが終わっちゃったら意味がないんですぅ」と電話に出たカスタマーセンターの女性に泣きついて、何とか急いで対処していただいたが、それでも観られるようになったのは9月11日。マジで泣きたい。

神様が哀れに思ってくださったか(?)、ニューヨークは雨続き。そのためギリギリで準決勝や決勝には間に合ったのだが、その間に新星が現れたり、サフィンや杉山が引退表明したり、今年は絶対タイトルを取ると信じていたマレーが負けてしまったりと、さまざまな事件が起こっていた。見逃したのが悔やまれてならない。

ナダルは残念だった。さっさとグランドスラムを達成すると思っていたんだけどなぁ。まだマスターズ1000の大会がいくつか残っているが、できればもっとじっくり身体のコンディションを整えて欲しい。ロディックも残念! マレーも……。予想は外れっぱなしだ。

4月に会社のごたごたが一段落したのはいいけれど(問題の人は円満にクビになった)、後始末や新しい案件で急に忙しくなり、週末に出張が入ったりするものだからテニスの試合をあんまり観られない状態が続いた。情報収集もままならず、クライシュテルスが復帰したのも直前になるまで知らなかった。仕事に振り回されるなんて、ほんとに格好悪い。

それにしてもクライシュテルスは凄いじゃないですか。このままずっとテニスに戻ってくれるのであれば、女子テニスもだいぶ面白くなること間違いない。エナン・ファンとしては実はかなり複雑な思いもあるのだが、とにかくプレーがとても素晴らしく、心地よかったので、ここは素直に拍手を送りたい。優勝おめでとうございます(お嬢さんも超可愛い)。

<女子準決勝>
準決勝でのセレナ・ウイリアムズには驚かされた。彼女が線審に対して言った言葉は全く聴き取れなかったが、あのジェスチャーはフツーに怖かった。ネットのところまで行って「殺すなんて言ってない、Are you serious?」と言ったのは聞こえた。何が何だかわからなかったが、その前にラケットを地面に叩きつけた時点でwarningを取られていたのでポイントを失ったのだということだ。決して褒められた行動とは言えず同情はできないが、それでもスッとクライシュテルスのところまで歩んでいき、握手して去って行ったのは美しかった。あのまま怒りに任せて対戦相手に言葉もかけずに去っていたら目も当てられない。
 試合後すぐにテニス・サイト(Xtreme Tennis)に行ってみたら早速記事が上がっていて、物凄い数のコメントが書き込まれていた。なかなか面白かった。意外に多かったのは、「あの局面で審判がフットフォルトを取るなんて信じられない」という意見。正直なところ、私にはフットフォルトというものがよくわからないので(結構みんなラインを踏んでいるように思う)、まぁそうかなぁとも思うのだが、それにしても怖かったもの、セレナは。後は当然「キムに気の毒だ」という意見が大半だったが、だんだん人種問題にまで発展してしまって、コメント欄はぐだぐだになっていた。
 セレナは、ああやって感情をストレートに表現するところが彼女のよさでもあるのだけれど、非常に勿体ないことだった。クライシュテルスは記者会見でも立派だったし、テニスというスポーツはまず自分の感情を制することが必要なんだということを、余計な言葉抜きで見せてくれたと思う。

<男子準決勝>
会社のスペイン事務所から同僚が来日したので、早速「ナダルって本国ではどう?」などと聞いてみたら、予想どおり国民的アイドルだそうだ。向こうではKIAのCMなどにも出演しているという。「ナダルって動物系で可愛いよね」と盛り上がったが、残念ながらデルポトロにコテンパンにされてしまった。今回の準決勝では、ジョコビッチの頑張りが印象に残る。ようやく来たブレイクチャンスに、これでもか、これでもか!と強打していったところが特によかった。今大会では調子がよさそうだったので期待していたのだが……2児のパパとなったフェデラーはますます強かった。

<決 勝>
女子のほうはもう、何も言うことがない。クライシュテルス強し。あんまり強いのでちょっと悔しい、エナンの馬鹿……。ダベンポートといい、クライシュテルスといい、一流選手はいったん育休を取っても十分復帰できるということを証明してくれた。と言うか、いい選手にいいプレーを長く続けてもらうには、時にブレイクも必要なんじゃないか。そんなことを考えた(だから、エナン……)。家族で勝利を祝うクライシュテルスの笑顔、2005年優勝のときよりもさらにきれいだった。

男子は……。デルポトロがここまで強くなったとは。てっきりフェデラーが来ると思っていた(何しろパパだから)。サフィンがサンプラスを破ったときのような衝撃、かもしれない。しかしここでもことを複雑(?)にするのは、同じ国の出身で常にイイ線行っているのになぜかグランドスラムを取れないナルバンディアンの存在である。彼より先に、デルポトロが取っちまった、その事実に打ちのめされる。最近全然姿を見られないし……。
 愚痴はさておき、デルポトロは同じグランドスラムの大会でフェデラーとナダルを破った最初のプレイヤーになるそうだ。そう言えばそうだった。ジョコビッチが全豪で優勝したときはフェデラーを倒したけれどナダルとは対戦しなかった。そのほかの大会ではフェデラーかナダルか、どちらかが勝っているんだから。これはひょっとして、ひょっとするのか。2010年はデルポトロの年になってしまうのか? 何はともあれ、おめでとう、デルポトロ。先輩には優しくしてあげてね。

何だか中途半端になってしまったが、前半観られなかったので仕方がない。来年はデジタルだから全放送を観られるんだし、それを楽しみに年明けを待ちたい。
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by slycat | 2009-09-15 12:23 | テニス

やはりアンディが来た

今夜はウインブルドン男子決勝の試合が予定されている。昨夜はまたもやウイリアムズ姉妹対決だった。
 ナダルが欠場となった今大会、私はフツーにフェデラーが決勝に進むことに疑いをもたなかったが、ではもう1人のファイナリストは誰になるかと問われたら、かつて姉妹のヒッティング・パートナーが(どちらが勝つかと訊かれて)「ウイリアムズが勝つだろう」と言ったのを真似て「アンディが来るだろう」と答えたかった。ただし、実はマレーだと思っていた。

準決勝での2人の戦いは本当に面白かった。特にマレーの第2セットの獲り方はぶっちぎりで、胸がスカッとしたものだ。7年前、準々決勝までは冴えまくっていたヘンマンが、イバニセビッチが放つ強烈サーブの前に屈してしまったときは残念で堪らなかったが(翌年はヒューイットに負けた……)、少なくともマレーにはセンターコートの雰囲気とか、国民の期待とか、そんなもののプレッシャーに負けるような景色は見当たらなかった。

しかしロディック、君は何て大人になったんだろう。去年AIG OPENで初めて生で見たときは、プレーよりもゴーマン・エンターテイナーとしてのキャラが際立っていたが、さすがにウインブルドン準決勝となると別人のようだった。本人も記者たちに対し「決勝まで進んだのは偶然じゃない」と言い放ったが、天賦の才だけに頼らず見えないところで地道な努力を続けてきた自信が、ここに成果となって現れている、そう思う。

解説者がしきりに褒めていたように打点が高くなり、バックハンドも正確になってサーブだけでなくリターンで勝負できるようになった。第2セットでいきなりギアをトップに入れたマレーが徐々に息切れしていったのに対し、ロディックのほうはさすがベテラン、長い試合の戦い方をよく知っていた。経験の差が出た……って、ロディックに対してこんな言葉を使う日が来るとは思わなかったな。大会前は「今年の決勝もナダル vs フェデラー!」を楽しみにしていたけれど、芝といえばこの人、ロディックを忘れてはならないのだった。大変失礼しました。

今年、ロディックは新婚、フェデラーは間もなくパパになるということで、どちらにとっても生涯における大切な年である。勝ちたい気持ちの強さはどちらも変わらないだろう。うわぁどうしようかな、やっぱり初タイトルになるし、アンディを応援すべきか……。フェデラーが勝つとナダルがNo. 2に落っこちてしまうので、それも少々気になるところである。
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by slycat | 2009-07-05 13:24 | テニス

Australian Open 2009決勝:記録と記憶

Australian Open FINAL
R. Nadal d. R. Federer 7-5, 3-6, 7-6, 3-6, 6-2

全豪オープン男子決勝は、予想どおりフルセット、4時間22分の激闘となった。大舞台に上る栄誉を与えられた2人は、やっぱりフェデラーとナダル。フェデラーにとってはグランドスラム14勝というピート・サンプラスの記録に並ぶチャンスであったし、ナダルにとってはハードコートでの初勝利がかかっていた。そして何より、この2人が戦えば、どちらが真の王者たるかが示されることになる。しかし何という試合だったのだろう。

フェデラーは、準々決勝の対ベルディヒ戦ではかなり危ないんじゃないかと思わせたものの、準決勝では好調だったロディックを相手にストレート勝ち。あぁロディックよ、君はフェデラーを奮い立たせるために神が地上につかわした天使なのか、と思ってしまったが、やはりフェデラーは強い、まだまだ怖い存在だということが明らかになった。

一方ナダルは順調に勝ち上がったように見えたものの、ベルダスコとの準決勝ではヒヤヒヤした。最後にベルダスコがまさかのダブルフォルトで自滅したときは、これほどの接戦がこんなあっけない幕切れになるなんて、と信じられない気持ちだった。同時に何だかホッとした。肉体的にも精神的にも追い詰められた場面でこそ強さを発揮するナダルの底力を再確認した。

どう考えても疲労度の高いナダルが不利だと思われたのだが、最初のセットを取ったのはナダル。あぁ苦しい試合を勝ち抜いたからこそ、かえってまたひとつ進化したのかもしれない、これはストレートでナダルの勝ちなのかなぁ、などと思った。

しかし徹底してバックハンドサイドを攻められていたフェデラーが逆襲開始。早いタイミングでボールを打ち返し、ナダルに暇を与えない。これはテニスか卓球か? 相変わらず美しいフォームで打つフォアは鋭く、あり得ない角度であり得ない場所へ飛んでいく。うわぁこれはやっぱりフェデラーが勝つのか。今までどちらかといえばアンチ・フェデラーみたいだった息子が今回は熱烈にフェデラーを応援している。ロッド・レイバー・アリーナの観客もフェデラーに肩入れしているようだった。

第3セットはナダルが取ったが、メディカルトレーナーを呼ぶなど脚の状態が悪そうだ。第4セットをフェデラーが制したときは、もうこれでフェデラーが優勝するものだと思った。
 しかしどうしたことか、ファイナルセットに入ってからのフェデラーは精彩を欠いた。急に元気がなくなったように見えた。長い長い時間、たった1人で相手と向き合うのだから、疲労の感じ方や集中力などに波があるのは当然だが、この大事なときに……。
 最後のボール、フェデラーが打ったボールはほんの少し長かった。ナダルが仰向けに倒れる。試合は終わった。

ついにナダルがハードコートで優勝した。「これであとは全米オープンを1つ取ればいいんだから、生涯グランドスラムは案外近いところまで来たね」「フェデラーの14勝はこっちもあと1つ、あと1つなんだけれど近いようで限りなく遠いね」そんなことを息子と話しているうちにセレモニーが始まった。

ロッド・レイバー、ケン・ローズウォール、ジョン・ニューカムとテニスのLegendたちが居並ぶ中、偉大なファイナリストとしてフェデラーが呼ばれた。手を振りながら壇上に上るフェデラー。「Hey, guys. Thanks for the support」とスピーチを始めたフェデラーに観客が声をかける。「Roger!」「Roger, I love you!」
 ここで思いがけないことが起こり、物凄いショックに襲われた。フェデラーの瞳から涙が溢れ、涙は止まらない。何度も涙を拭うが、声が出てこない。フェデラーはスピーチをすることができなくなり、後方に下がった。
 何度も優勝セレモニーを見たけれど、ファイナリストが壇上で泣きじゃくるのを見たのは、恐らく自分の記憶では初めてである。ベンチに下がって泣く選手を見たことはあるけれど、大抵さばさばとした表情で出てきて、スピーチでは軽い冗談くらい言うのが通例だ。
「フェデラー可哀相! 可哀相すぎるよ」と息子が叫ぶ。自分より10歳も上の、しかも王者に向かって可哀相とはおこがましい。しかし46のおばさんも思わずもらい泣きしてしまった。

「ロジャーにはちょっと休んでもらいましょう」などと司会者がフォローし、優勝者としてナダルの番がきた。ロッド・レイバーからトロフィーを受け取るナダル。ここで彼は、すっと後ろに下がりフェデラーの横に立つと片手を彼の肩に回し、耳元で何かを囁いた。まだ目や鼻は赤かったが、フェデラーはにっこりと笑い、「I'll try again」と言って前へ出た。
 ナダルもどうしていいかわからなかっただろうに、とっさにこういう行動がとれるところがナイスガイ。ちゃんとフェデラーのスピーチが終わってから、自分のスピーチを行った。美しいスポーツマンシップを見た。

今回、勝ったほうが真の王者としての存在を証明すると思っていた。しかし、終わってみたら、勝ち負けなんてどうでもいい、という気持ちである。どちらか1人は必ず負けなければならないというスポーツで、2人が全力で戦ったことが重要なのだった。コートを離れればどちらも感情豊かな清々しい若者なのである。この世界に、そういう2人がいてくれること、その2人を見られることが幸せだ。そんなことを再確認した、今年の全豪オープンだった。
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by slycat | 2009-02-02 12:43 | テニス

US OPEN準決勝:第2試合

A. Murray d. R. Nadal 6-2, 7-6(5), 4-6, 6-4

男子準決勝に進んだ4人は世界ランキングNo. 1~4。何しろNo. 1~3の強さが半端じゃないので、次の席に誰が座るかの争いは大変なものだが、このところグングン頭角を現してきていたスコットランドのアンディ・マレーがNo. 4の座を占めることになった。
 とうとうマレーが……。かつてのコーチ、ギルバート氏も喜んでいるだろう。以前はせっかくいいところまで行きながら試合途中でキレてしまったり、足の怪我が気になって「早くやめたいなぁ」なんて顔をしたりと自滅気味だったのだが、ウィンブルドンでは見違えるようなプレーを見せ、イギリス国民の過剰な期待すら味方につけ、プレッシャーに負けない精神力を見せつけた。そしてシンシナティでは初のマスターズ・シリーズ優勝。ついに才能が全開しつつある。

ナダルは全仏、全英、オリンピックと優勝を続け、この全米オープンを制すれば歴史に残る偉業となるはずだった。しかし、さすがに疲労の色は隠せない。強いから勝ち進むのだが、勝ち進めば試合数が増え、体力を消耗する。トップ選手は対戦相手とだけでなく、常にこの矛盾と戦っていかなければならない。何たる厳しさ。しかも試合を夜に組まれてしまい、昼夜のリズムが狂う。体調を万全に保つのは容易ではなかったはずである。

熱帯高気圧に変わったハリケーン・ハンナの影響で、いつ雨が降り出してもおかしくないという天候の中、急遽コートをルイ・アームストロング・スタジアムに移して試合は始まった。
 ふだんならナダルこそが長いラリーの中から試合を有利にもっていくのだが、この日のマレーはじっくり腰を据えてかかり、逆に試合の流れを自分のほうに引きつけていった。第3ゲーム、早々にマレーがブレイクする。
 マレーは非常にリラックスしている印象で、決してガンガン叩いていったわけではないが、いいところで緩急をつけ、時にサーブアンドボレーを見せるなど実に落ち着いていた。丸々1セット使って相手の出方を窺っているかのよう。ナダルのサーブの際にやたらと後ろに下がっていたのには驚いたが、その辺の理由は素人にはよくわからない。対ナダル研究の結果なのだろう。
 ナダルのボールはどんどん浅くなっていく。パスも決まらない。ナダルに一度もブレイクチャンスが来ないまま、33分でマレーが第1セットを取った。

第2セットに入ると、ナダルも気持ちを切り替えたかキッチリとキープ。マレーのほうは変わらず淡々としているが、サーブがとてもいい。ワイドに、センターにといいコースを突いていく。キックサーブも大きな武器だ。
 ナダルが切り返しのタイミングを早めて攻め始め、ボールを左右に振るのに合わせ、マレーも高い打点からボールを叩き込むようになる。第4ゲームに入るとサーブアンドボレーの回数も増やしていった。こういうプレーを見ると、かつてのラフターやヘンマンが思い起こされて何だか嬉しい。
 ナダルのほうもワイドに切れるサーブでマレーをコートから追い出すなど、自分から活路を見出していくが、徐々にマレーが勝負のきっかけを作り始め、ドロップショットで誘ったり、ネットに出たり、ペースを上げたりと、さまざまなスタイルで攻めていった。ナダルはむしろ防戦体勢になった。
 そして第11ゲーム、マレーがさらに攻めを加速させる。バックハンドの鋭さ、速さ。フォアの打点の高さ。じわじわとナダルを追い詰める。時折映るトニおじさんの顔色も冴えない。しかしナダルはピンチを切り抜けた。やっぱりNo. 1にふさわしい。
 続く第12ゲームをマレーが素晴らしいサーブでキープし、タイブレイクに。ここでもマレーが先に先にとポイントを取る。3-2のときに初めてのダブルフォルトをやらかしたが、マレーは動じなかった。5-4とようやくナダルがリードして打ったボールがネットに嫌われ5-5となると、むしろナダルのほうが苛々とした表情を見せた。珍しい場面である。6-5としてさらに自分に喝を入れるマレー、ナダルのボールがアウトとなり第2セットもマレーが取った。拳を振ってマレーが大声を出す。

第3セット。2セットアップで気が緩んだか、マレーにミスが続きいきなりナダルがブレイク。このセットを落としたらもう後がないのだから、ナダルもうかうかとはしていられない。自分を励ましつつ、集中する。
 しかしナダルがウィナーを決めると、すかさずマレーがいいショットでお返しする。さらにはサービスエースで再び流れを自分のほうへもっていく。
 第5ゲームはまたダブルフォルトで始まったが、焦りは見せないマレー。ナダルのミスで30-30に追いつくと、サービスエース2本でキープした。

ここで雨。どちらの選手にとって吉と出るのか、全くわからない状況のまま、試合は大会第14日に延期となった。

舞台はアーサー・アッシュ・スタジアムへ。第3セット第6ゲームからの試合再開となる。前日は勢いがナダルに行きかけたかと思われた時点での中断となったので心配だったが、意外とさばさばとした感じでナダルがポイントを重ね、ラブゲームで第6ゲームをキープした。
 対するマレーは、前日のゆったりした立ち上がりとは全く異なる始め方で、早いタイミングでボールを叩いていき、こちらもラブゲームでキープ。ピリッとしたいい雰囲気である。

第8、第9ゲームもお互いにキープ。前日に第1ゲームをブレイクしていたため、マレーがデュースまでもっていきブレイクチャンスを握ったものの、第10ゲームをキープしてナダルが第3セットを取った。

第4セット、1つダブルフォルトがあったが、まずはマレーがキープ。第2ゲーム、少しは体調もよくなったかと思ったナダルだったが、いきなりブレイクのピンチに。デュース、デュースと続く。前日の第1セットとはうって変わったペースの速いラリー。2人ともギアを上げている。マレーにはブレイクチャンスが7回あったが、ナダルが堪えてキープした。

第3ゲーム、マレーも疲れたのかナダルがブレイク。第4ゲームはナダルのダブルフォルトで始まったがかろうじてキープ。以前だったらこの辺でやる気をなくしていたかもしれないマレーだが、今年の彼は別人のように我慢強かった。変われば変わるもんだなぁと思う。第6ゲーム、ナダルのボレーミス、逆クロスのアウトでマレーがブレイクバックし、第7ゲームはラブゲームでキープした。第8ゲームにもナダルにピンチが訪れたが、ここも踏ん張ってキープ。試合の行方はさっぱりわからなくなった。

しかしマレーの5-4で迎えた最終ゲーム。コードボールがうまく入ってマレーのポイントに。ナダルの30-15で、ナダルのボールがコードに当たると、マレーがネットに走り、ナダルの横を抜くショットでマレーが30-30に。ナダルはツキにも見放されたのだろうか。そしてデュース、長いラリーを制したのはマレー。観客席ではヴァージンのブランソン氏に見える男性が拍手を送っている(たぶん本人だろう、カメラが映していたんだから)。

マレーのマッチポイント。くたびれ果てたのだろうか、ナダルが「このタイミングで?」と驚くドロップショットを放つと、マレーがすかさずパスでナダルの右を抜いた。マレー勝利。ナダルがすぐにマレーに握手を求める。2人で相手の肩を抱き、胸を叩いてお互いを讃え合った。非常にいい光景だった。

ナダルは負けても立派だった。観客の声援に応え、マレーに拍手を送り、ファンのサインにも応えてコートを去っていった。
 そしてマレーも立派だった。以前のような子供っぽさが消え失せ、危ない場面でもキレることなく、サーブを含め自分の力でチャンスを切り開いていった。本国イギリスは今頃熱狂の渦だろう、そして来年のウィンブルドンではさらにマレーへの期待がエスカレートするだろう。

マレーにとっては初めての、片やフェデラーにとっては何度も経験してきたグランドスラム決勝はもうすぐ始まる。どちらが勝っても偉大な歴史の1ページとなるこの試合、一体どうなることやら……。胸のドキドキは収まりそうにない。
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by slycat | 2008-09-09 05:06 | テニス

US OPEN準決勝:第1試合

R. Federer d. N. Djokovic 6-3, 5-7, 7-5, 6-2

フェデラーは相変わらず強い。強いのだが何となく不安だ。シーズン開始直後に患ったウイルス性疾患によるダメージがずるずると続いているような気がする。
 何年間も他を圧倒してきたのだから、不調の時期が少々あってもおかしくないのだが、ほんのちょっとリズムが狂い出すと「フェデラー時代の終焉」などと言われる。当人にしてみれば本当に迷惑な話だろう。
 だがNo. 1の座をナダルに奪われ、今年は1つもグランドスラム・タイトルを手にしていない。彼のプレーに納得していないのは、彼自身であるに違いない。US OPENの5連覇に向けて、何が何でも勝とうと決意しているはずである。その決意は今大会、試合のたびに吠えまくって自らを鼓舞する態度に現れていたと思う。

そんなわけでこの試合、フェデラーが勝つんじゃないかと予想していた。ジョコビッチは決して体調万全ではなさそうだし(何となく目が腫れぼったかった)、メディカル・タイムアウトを頻繁にとって休んでいるなどと言われたり、ロディックがその件について冗談を叩いたことに過剰反応したりと、精神面でも揺らぎがあった。勝ちに対してハングリーであるという意味で、戦う前からフェデラーのほうにちょっぴり分があったように思う。

第1セットは、いつも立ち上がりの悪い印象のあるフェデラーが、最初からいいサーブを生かしてあっさり先取。相手が強敵ジョコビッチだという認識からか、この試合ではウィナーの1つひとつに吠えることもせず、集中することを心がけていたようだ。第2セットに入ると、ジョコビッチも負けてはならじと攻めていく。フェデラーもダブルファースト(サーブ)を見せて強気の応戦。

しかしこのセット、ファーストサーブの入りが悪くなってきた。バックハンドのボールがアウト。第4ゲームでジョコビッチがブレイクする。しかし第7ゲームではちょっと浅くなったボールをフェデラーがすかさずバックハンドで捉えてダウン・ザ・ライン。次のジョコビッチの逆クロスがネットにかかってフェデラーがブレイクバックする。

これで少々がっかりしたんじゃないかと思ったが、さすがにジョコビッチ。次のゲームをフェデラーがキープ、第11ゲームではダブルフォルトをしてしまったものの、キッチリと正確なショットを打ってフェデラーを走らせ、ミスを誘って6-5にした(このとき、ジョコビッチのスマッシュを、結果的にはアウトになったけれどもフェデラーがジャンプして“スマッシュ返し”をしたのが面白かった)。この後ミスが増えたフェデラー、ジョコビッチが第2セットを取る。

第3セットはお互いにキープを続けた。どちらかが何かを仕掛ける様子もなく、不気味なほど静か(うるさいのは飛行機の音ばかり)。試合が動いたのは第11ゲーム。サーブのとき観客から声がかかり、いったん手を止めたジョコビッチ。次のトスのときには飛行機が上空を通り過ぎた。これでリズムが狂ったか、ジョコビッチのボールがネット。フェデラーにブレイクチャンスが来た。
 ジョコビッチのサーブをフェデラーがスライスで返す。ジョコビッチがフォアのクロスで打ち返す。フェデラーがクロスで返し、ジョコビッチがフェデラーのバックサイドに打ったボールがコードにぶつかり、ほんの少し間ができた。フェデラーのバックハンド、打ち返したボールがジョコビッチの足許に……ジョコビッチのボールはアウト。フェデラーがブレイクした。
 フェデラーのサービング・フォー・ザ・セット。最初のポイントはジョコビッチのスマッシュをフェデラーがジョコビッチの頭上を越えるスピンボールで返して観客を沸かせた。フェデラーも片手を高々と上げる。ジョコビッチはリターンエースを決めるなど意地を見せたが、フェデラーが第3セットを取った。

フェデラーはここでいったんバスルーム・ブレイクを取った。気持ちも新たに迎えた第4セットはいきなりブレイクしそうな勢いで、第2ゲームはラブゲームでキープ。第3ゲームはジョコビッチもキープできたものの、第5ゲームをブレイクされてしまう。フェデラーのサーブはこのセットでも冴えていた。何とエースが20本。そして第7ゲームもフェデラーがブレイクする。
 最後のゲーム。フェデラーにラブゲームでやってきたマッチポイント。センターに打ったサーブをジョコビッチが返すと、フェデラーのフォアのストレートで試合は決まった。ここで初めてフェデラーがYeah!と叫ぶ。5年連続で決勝進出、やはり王者は王者だった。

2人とも、かなり疲労の色が濃かったと思う。通常のスケジュールでもキチキチなのに、今年は北京オリンピックに出場。2人ともメダルを獲得したからよかったものの、シーズン最後のグランドスラムにはもう少し余裕をもって臨みたかっただろう。
 それでもこうやって2週目を勝ち進んでくるのだから、頭が下がる。本当に凄いぞ、この人たちは。

ハリケーン・ハンナのために延期となった決勝が、あと数時間で始まる。フェデラーの対戦相手は、スコットランドのアンディ・マレーに決まった。ずっと応援してきたマレーがいよいよ大舞台の決勝に……。非常に嬉しいが、フェデラーの完全復活も見てみたい……。
 ファンの期待をよそに、当人たちはどんな思いで試合開始を待っているのだろうか。お互い悔いのない試合をしてもらいたいものである。
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by slycat | 2008-09-09 02:15 | テニス

錦織君、有難う

US OPEN TENNIS 2008 4th Round
Juan Martin Del Potro d. Kei Nishikori 6-3, 6-4, 6-3

昨日の朝はドキドキしながら起きた。スペインのダビド・フェレールを破ってUS OPENのベスト16に残った錦織選手と、このところ絶好調のデルポトロ(アルゼンチン)のティーンエイジャー対決。この大事な試合を急遽WOWOWで放送することになっていたからである。とは言っても8時には家を出なければならないので録画予約し、後ろ髪を引かれる思いで出勤した。

残念なことに、錦織はストレートでデルポトロに負けてしまった。ちょっとお疲れ気味のNo. 4よりも、連勝中で上り坂の19歳を相手にするほうがキツいだろうなぁとは思っていたのだが。う〜ん悔しい。1stサーブの確率もエラーの数も、そんなに変わりはなかったのに……。
 しかし日本人選手として71年ぶりにUS OPENの4回戦まで進んだ、この事実は大きい。何より、ふだんは(サッカーWCだのWBCだの、そんなに夢中になれない)“非国民”の私まで興奮させるほど、錦織君のプレーは魅力的だった。
 彼は178 cmで日本人としてはそれほど背が低いわけではないものの、外国の選手と比べるとやはり小さく見える。顔もまだあどけなく、身体は大人になり切っていない感じだ。にもかかわらず、繰り出すフォアの力強いこと。ボールのコースも素晴らしい。

年とともにワクワクすることが少なくなってきた毎日。しかし錦織君のおかげで夢を見ることができた。今後の活躍が楽しみである。18歳でいきなりここまでの成績を出してしまった才能は凄いものだが、焦らずあと2年くらいかけて体力をつけ、ゆっくり経験を積めばよいと思う。じっくり見守っていきたい。

しかし18歳の少年が偉業を成し遂げている間に、一国の首相が「だって誰も僕の言う通りにしてくれないんだもん」と言って辞任しており、国技といわれる相撲でまたもや大麻問題が発生していた。大人たちのだらしないこと、ホントに情けない。放っておけばいくらでもこんなことが出てくるのだろう、この国は。

だからこそ、錦織君に感謝したい。ベスト16、おめでとう。そして夢を与えてくれて有難う。
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by slycat | 2008-09-03 10:19 | テニス

ナダル、芝を制す!

The Championships, Wimbledon 2008 FINAL
R. Nadal d. R. Federer 6-4, 6-4, 6-7, 6-7, 9-7

長い長い決勝戦だった。観ていただけでもぐったりなのに、戦った2人には本当にお疲れさま、有難うと言いたい。

3年連続で同じ組み合わせとなったウインブルドン決勝。2人が別々の相手とそれぞれ戦っていたとき、すでに彼らの圧倒的な強さはいやというほど見せつけられていたのだが、2人が同じコートに立つと、さらにその恐ろしさが明らかになった。信じられないほど高いレベルのテニスが今、ここにある。凡人にはそれだけしかわからなかった。

最初から2人ともガンガン飛ばしていたので、大丈夫かなと思った。当然だが2人とも真剣そのもの。
 フェデラーに勝つにはミスは許されず、たったひとつチャンスがあれば必ずもぎ取ることが必要だ。ナダルはうまくそのチャンスを摑んだ。つまり自分のゲームは必ずキープし、ひとつでいいから相手のゲームをブレイクすること。
 どちらかと言えばナダルのサービスゲームのほうがデュースにもつれていたにもかかわらず、ブレイクを大事に守ってナダルが2セット先取した。サーブを打つのに時間をかけ過ぎる、と主審に警告をとられても動じなかった。逆にフェデラーのほうはナダルのゲームを崩せず、苦しい立場に追い込まれた。

ところがどっこい、雨による中断の後、王者フェデラーの逆襲が始まった。今までにも似たようなことがあったな、2セット取っていたのに逆転負けしたことが……。だからフェデラーは怖いのだ。勝つまでは安心できない。
 ナダルは第3ゲームのときに剥げた地面に足を滑らせ、右膝の痛みを訴えてトレーナーを呼ぶ。せっかくここまできたのに、まさか万事休す? しかし大怪我ではなかったようだ。再びコートに戻り、ナダルは何もなかったかのようにプレーを続けた。
 お互い一歩も譲らずタイブレイクとなった第3セット、フェデラーのサーブがナダルを上回った。フェデラーが第3セットを取る。

第4セットに入っても、勝負の流れはフェデラーに行ったりナダルに行ったり。厳しいボールの応酬が続いて再びタイブレイクに。今度はナダルがフェデラーを攻め、ついにチャンピオンシップポイントを握ることとなった。ナダルのコーチ、トニおじさんも思わず立ち上がり勝利を確信する。
 ウインブルドンの観客は完全にフェデラーの味方となり、ロジャー・コールが沸き起こった。これに応えるように頑張るフェデラー、ナダルのバックハンド・ショットがエラーとなり、何と試合はファイナル・セットへ。やっぱりこうなっちゃうのか。

第5セット第5ゲーム、2-2、デュースの時点で再び雨。全くロンドンの空は移り気だ。しかしこれも今年までのこと。来年からは雨が降っても屋根ができるから試合は続行されるんだなぁ。

試合が再開され、第8ゲーム、3-4のときはあわやフェデラーがブレイクするかと思われたが、ナダルはこれを凌ぐ。観客席(トニおじさんたちとは別の席だ。遠慮したのかな?)のご両親が両の拳を振り上げて息子を讃えていた。本当に、どんな気持ちだろう、こんな局面にいる息子を見ているというのは。

第11ゲーム、今度はナダルにブレイクチャンス。しかしフェデラーもこれを凌ぐ。もちろんフェデラー陣営でもご両親とミルカさん(ついでにグウェン・ステファニーも)が必死の応援をしており、一喜一憂。試合をしている2人も大変だが、見守る家族の心労が慮られる。

第13ゲーム、40-30でフェデラーのボレーがネットにかかり、またまたデュース。今度こそピンチかと思った、が、ここでも凌いでフェデラーの7-6に。しかし次のゲームをナダルがキープして迎えた第15ゲーム、ナダルがとうとうブレイクした。今度こそ、とばかりにトニさんらが立ち上がる。
 ナダルのサービス。リターンが少し長くなり、最初のポイントはフェデラーへ。するとナダルはサーブ・アンド・ボレーで次のポイントを取った。その次も一度返した後ネットに出て30-15。またフェデラーが取って30-30。
 ここで主審が観客に向かってフラッシュ撮影をしないよう注意したが、その後ナダルのサーブに時間がかかったのに憤ったか、フェデラーが何事か訴えていたようだ。主審パスカル・マリアさんの戸惑ったような顔が映るが、彼は特に警告を出さなかった。苛々が災いしてか、フェデラーのボールがアウト。しかし次は苛々を力に変えて素晴らしいリターンエースでデュースに。この場面でこんな球が出てくるなんて、驚いてものが言えない。

再びナダルのサーブ。フェデラーのリターンが大きくアウトすると、トニおじさんはもう座っていられない。ナダルのお父さんの横で落ち着きなく立っている。最後のサーブ。静かに打ち合う2人。フェデラーのボールがネット。ナダルの優勝が決まった。コートにひっくり返るナダル。陣営のほうも大騒ぎだ。

フェデラーと肩を抱き合い、讃え合った後、ナダルは勝者の特権として家族のもとへ上った。嬉しそうなご両親、おじさんたち、みんな笑顔だ。こういう場面を見ると胸がいっぱいになる。お父さんにスペイン国旗を手渡され、ちゃんとスペインのフェリペ王子ご夫婦(だと思う)にも挨拶してからベンチへ戻った。

あっという間に準備が終わり、セレモニーが始まる。大事そうにトロフィーを抱えるナダル。ここでインタビューに応えなければならないのはフェデラーにとって残酷だが、彼はきちんと責務を果たした。ナダルも控えめに喜びを語りつつ、フェデラーに対する敬意を忘れなかった。

ナダルの初優勝はとても嬉しい。いつも「もっと進歩しなくっちゃ」と言っているナダル、バックハンドや戦い方など、本当に目覚ましい進歩を見せてくれた。それに2年連続で負けているんだもの、今年勝ってもいいじゃない……。でもフェデラーの気持ちを思うとほろ苦い気分になる。勝ちたかったよねぇ。

「テニスでは、残念なことに必ず勝者と敗者がいなければならない、引き分けはないんだ」。試合後、フェデラーは言った。かつて同じ意味の言葉がアガシによって語られたときは「だからテニスは美しいんだ」と締めくくられたのだが。
「とても辛いよ……。パリで負けたことは僕にとって何でもなかった。ここで負けるのはdisaster(災難)だ」

フェデラーはオリンピックに出場し、USオープンでいい結果を出してシーズンを終えたい、と言っている。ウインブルドンで味わった失意を次に戦うときのための力に変えて欲しい。
 そしてナダル、本当におめでとう! 頑張って頑張って、ついにクレーだけでなく芝でも勝てることを証明した。今回の勝利は、そのために重ねてきた努力にふさわしい。

寝不足続きのウインブルドンはすべての試合が終わった。これでゆっくり眠れる。おやすみなさい、また来年!
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by slycat | 2008-07-07 12:41 | テニス

ヴィーナス優勝

V. Williams d. S. Williams 7-5, 6-4

2003年決勝以来の姉妹対決。あのときはヴィーナスが腹筋だか背筋だかを傷めており、いまひとつピリッとしなかった(でも棄権しなかったのは凄かった)。エナンが準決勝で敗れてしまっていたのでガックリ、「まぁたこの2人かよ〜」とテンションは下がりまくっていた。
 しかし今思えば、このときが“姉妹”としてのピークだったのかもしれない。その後ヴィーナスにしてもセレナにしても、怪我に見舞われ長く苦しんた。今回のAll-Williams対決が5年振りだとは……。2003年当時、こんなことになるとは夢にも思っていなかった。あのとき、「またか」と思ったこと、実は後悔している。

一方エナンは同じ年、2つのグランドスラム・タイトルをとって名実ともにNo. 1となった。エナンは2004年全豪優勝の後、病に襲われて残りの3大会をふいにしてしまったがアテネ・オリンピックで金メダルを獲得、ベルギーの英雄となって面目を保ち、2005年の全仏で復活、その後3連覇とUS OPENタイトルを取り、いろいろあったが今年、No. 1のまま引退した。

エナン・ファンの私にとってウイリアムズ姉妹は常に目の上のタンコブであり、記者会見でエナンが「彼女たちに勝つためには何が必要か、わかってはいるけれど難しいわ」と語るのを見るにつけ悔しかった。ほっそりと可愛らしかったエナンが筋肉ムキムキになって現れたのを見て驚き、ウイリアムズのためにここまで……と感心する一方でやはり悔しかった。恵まれた身体をもった2人がスイスイ勝つのは当たり前じゃん、全然面白くない、と憤っていた。

しかし、エナンがいなくなった今、結局頼りしたのはこの2人。エナンがいなくなった途端にするっとNo. 1の座が手に入るなんて納得できない、ウイリアムズじゃなければディメンティエワか、ダヴェンポートでもいい、“あの頃”活躍していた人にタイトルを取って欲しい。歪んだファン根性が暴走した。

そうしたら、そんな願いが叶ってしまったではないか。正直言って驚いた。圧倒的にセルビア勢有利だと思っていたし、クジーやシャラポワにもチャンスがあると思っていたのだが、マジで強いぞこの2人(ちなみにディメンティエワも頑張ってくれ、非常に満足した)。

今回の興味は、いつも何となく妹に遠慮しているんじゃないかと思われるヴィーナスが、セレナを敵としてどこまで攻められるのか。前回はエナン贔屓のため色眼鏡で見てしまった悔いが残るので、観客として真剣に付き合いたかった。

いや、もう、全然心配する必要はなかったようだ。2人とも容赦なく自分の試合をした。2人のお父さんは見るに忍びない、とアメリカに帰ってしまったそうだが、これはぜひ見てあげて欲しかった。素晴らしく真剣で、素晴らしく非情だった。

相手が誰でも関係なく攻めていけるだろうと思っていたセレナ、やはり最初から好調だった。解説の神尾米さんが「今回のセレナは丁寧にプレーしている」と仰っていたが、動きもいいし、チャンスでネットに出ていくタイミングも早い。これはまたセレナかなぁ、などと思った。

しかし、ヴィーナスは冷静だった。試合の途中、風が強くなってきて何度かサーブに支障をきたしたが、慌てず騒がず、風に流されるボールに対して的確に対処していった。反対に、セレナのほうには苛立ちが見られるようになった。大きな空振り。入るはずのボールが入らないことに腹を立てる。それが表情に現れた。
 ヴィーナスがセレナに追いつき、7-5で第1セットを取る。第2セットに入っても風は止まない。セレナの苛立ちも収まらない。何度となく、自分本来のプレーができるよう、自分自身に何事かを語り続けるものの、ひたすらマイペースで打ち続けるヴィーナスに、隙はなかった。

第1セット、ラリーの途中で大声を出してしまい、主審がリプレーを告げた場面で「今のは私が悪かった」とヴィーナスのポイントを認めたセレナは偉かった。相手がお姉さんだから、ということを差し引いても偉かったと思う。大人になったねぇと褒めてあげたい。
 本当は悔しくてたまらなかっただろうに、準優勝のプレートを手にポーズをとり、ユーモアを忘れずインタビューに答えたところも立派だった。そして強風にもめげず、妹のガッツにも負けなかったヴィーナスは美しかった。

“若手”トップシードたちが結果を残せず、ウイリアムズ姉妹が決勝に残ったことに対して、当然「不甲斐ない」「女子テニス界はこれでよいのか」という声が挙がるんじゃないかと思われるが、姉妹が歩んできた道程を思えば、まだまだ2人の時代が続いてもいいような気がする。
 25歳であっさりキャリアを捨てたエナンを責める気持ちはないけれど、寿命は延びているんだもの、アスリートの活躍期間も延びていい。ディメンティエワがベスト4に入ったことも嬉しいし、タナスガンの頑張りも印象的だった。みんなが納得できるまでプレーを続けてくれればいいと思う。

何だかんだ言いながら、結構楽しめたウインブルドンも、後は男子決勝を残すのみ。さて、今夜、結果はどうなりますか……。
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by slycat | 2008-07-06 12:54 | テニス