ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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摂州合邦辻〜女は強し

友人にチケットを予約してもらい、再び文楽鑑賞。今回は、チラシの写真に惹かれて『摂州合邦辻』の「万代池の段」および「合邦庵室の段」を観に行った。
 右翼らしき宣伝カーが来ていて、そのためか警官がうじゃうじゃ待機しており、国立劇場周辺は物騒な雰囲気だったが、いざ劇場に入れば平和なもの。人気の演目らしく(しかもしばらく演ってなかったらしく)、会場は満員だった。

お話の内容は、河内国のお家騒動を背景に、国主の後妻「玉手御前」(お辻)が命を懸けて継子・俊徳丸を守る、というもの。非常にややこしいお膳立てで、現代人でなくても「???」というところなのだが、お芝居そのものは見せ場満載で面白い。

【万代池の段】
舞台の真ん中に、みすぼらしい掘建て小屋がある。右手に池。小屋は河内の国主高安左衛門道俊の嫡男、俊徳丸の住まい。俊徳丸は病のため視力を失い、顔には発疹が出ており、人目を忍んでひっそりと暮らしている。
 そこへ合邦(左衛門の妻玉手御前の父親)がやってきて、天王寺の参詣人相手に仏教の有難さを身振り手振りで語る。ちゃんと名前のある登場人物は、3人がかりで操る立派な人形だが、その他大勢の参詣人は1人で操るタイプで、みんな同じ顔。台詞のほうは2人の若い太夫が代わる代わる担当する。合邦と参詣人たちとのやり取りは、なかなか軽快で楽しめる。
 お布施を貰って合邦は昼寝。すると今度は俊徳丸の許嫁、浅香姫が登場。小屋から出てきた俊徳丸に、乞食と思って「このあたりに俊徳丸という美しいお若衆様はいらっしゃらないか」と尋ねる。声で浅香姫とわかった俊徳丸は、醜く変わった自らを恥じて、その男ならここにはいない、巡礼の旅に出た、と言って小屋に引きこもる。もちろん、人形遣いの方々も一緒に小屋に入っていく。意外に大きい、しっかりした小屋なのである。
 姫を追って来た家来の入平が、それは何か変だ、と思い、小屋に近づき「それでは俊徳丸様の後を追って熊野路へ行こう」と大声で言い、わざと「足音どしどし、どしどし」と去るふりをして、実は抜き足差し足、小屋の傍で待ち伏せすれば、2人が去ったと思い込んだ盲目の俊徳丸が小屋から出て来て嘆く。そこを2人が「やっぱり俊徳丸様だった」と駆け寄り、ああだこうだ、と言っているところに、家督を狙う俊徳丸の義理の兄、次郎丸が出てきて浅香姫を奪って行こうとすると、今度は昼寝から醒めた合邦が間に入って助ける……と目まぐるしい展開。
 この敵役、次郎丸に対して、浅香姫の家来が「ヤァ獅子舞鼻の千松面」と悪口を言うのが笑える。次郎丸の人形(頭)は、赤い顔で髷もツンツン立っており、いかにも不細工なのが可哀相。しかも合邦とやり合った挙げ句、結構な年寄りなのに合邦に投げ飛ばされて池でおぼれてしまう。舞台中央でポーズを決める合邦のはるか右後方で、ときどき池から顔を出すのがまた笑いを誘う。

【合邦庵室の段】
この作品の主役、玉手御前が役どころの魅力を魅せに魅せまくる場面。合邦夫婦の家に、継子・俊徳丸に恋をして出奔していた娘、玉手御前が訪ねて来る。母親のほうは娘可愛さにすぐにも家に入れてやろうとするが、元武士である合邦は許さない。しかし幽霊と思えばよい、との妻の言葉に親心が勝ち、それでは入れてやって茶漬けでも食べさせなさい、などと言う。このあたり、人の情けの描き方がとてもいい。
 ところがこの娘が、俊徳丸への恋は本物、何とか夫婦にさせてくれ、などと言うので、合邦は怒り狂う。妻に止められていったんは収まるが、ここで合邦に匿われていた俊徳丸と浅香姫が部屋から出て来て、玉手の言葉を聞いたからには一刻も早くここから立ち去ろう、などと話しているところに、再び玉手御前登場。玉手御前と浅香姫が、俊徳丸を巡って丁々発止、挙げ句の果てに殴り合い(?)の喧嘩になる。
 そこへ合邦が飛び出て来て、自分の娘を刀で刺す。武士を捨てて出家したのに我が娘を手にかけてしまった、「これが坊主のあろうことかい」と悲しむ父親に、すべては俊徳丸を次郎丸の魔手から守るため、家督さえ継がなければ命を狙われることもないからと毒を飲ませ病気にさせたのだ、と告白する玉手御前。父親を煽ってわざと刺させたのは、寅の年寅の月寅の日に生まれた自分の肝臓から生き血を採り俊徳丸に飲ませれば、病が全快するからだ、と言う。
 何もそこまで複雑なことをしなくても…と思うのだが、まぁそれはさておき。一同が「何と、そういうことであったのか!」と驚き、合点した後、「サァ父様、コレ鳩尾を切り裂いて、肝の生き血を取り、この鮑で早う、早う」と娘に言われるのに、「すべてがわかった今となっては、可愛い娘を切るなんてとんでもない」と尻込みするお父さん。さらに、「若役ぢゃ入平殿とやら、大儀ながら頼みます」と他人に押し付ける。押し付けられたほうも「これはまた迷惑千万」と引き受けない。
 仕方なく「もう人頼みには及ばぬ」と、何と本人自ら懐剣を手にして肝臓を切り裂く、という凄まじさ。いやぁ〜男の人って昔からだらしない、というか、女の人は強い、というか……。あまりにもあんまりな状況の中、生き血を鮑の杯に受け、しっかり俊徳丸に手渡して、玉手御前は息絶える。
 俊徳丸が生き血を飲み干すと……あら不思議、一瞬のうちに発疹は消え目はパッチリ(発疹・盲目のお面を外すらしいが早過ぎて見えなかった)。見事な最期を遂げた玉手御前を皆で讃えるのであった……という顛末。

玉手御前は左衛門の前妻に腰元として仕えていた女性で、忠義の心から正式な後継者を守り抜いたのがあっぱれ、ということなのだが、俊徳丸への恋は実は本物だった、という解釈もあるそうだ。人形の頭は「老女方」といって年増のものなのだが、実際には19か20歳、恋が本当のものであってもおかしくない、そのへんが哀れでもあり健気である。
 玉手を操った人形遣いは重要無形文化財保持者の吉田文雀氏、合邦は吉田文吾氏だったが、細やかな人形の動きに感服すると同時に、操っている際の真剣な表情にも圧倒される。そもそも人形と一緒に人間が舞台に上がり、しかもその人の顔が見える、という人形劇は、世界にも類がないと思われるが、これが全然気にならない、というか、むしろ舞台に雰囲気を出しているのだから凄い。

次の公演は『絵本太功記』。しばらく時代物が続きそう。江戸が身近に感じられるようになってきた。
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by slycat | 2007-02-12 01:29 | 文楽
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