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ミステリ・テニス・ハムスター・モルモットについてあれこれと……
by slycat
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入院してみて知ったこと

結局2日間入院した。入院は出産のときに1週間経験したことがあるが、前回は別に病気ではなかったので、不便はあったが気は楽だった。今回は、さすがに出産のときとは違う。

迅速な処置のおかげで呼吸困難や血圧・体温低下からは復活したものの、またショック状態になる恐れはあったらしく、ベッドに寝かされたまま病室へ。個室だった。望んだわけではないが、ほかに空き部屋がなかったのだろう。窓を背にするようにベッドが置かれ、ほんとにドラマみたいにモニターにつながれた。最初は寒気がとまらず、ずっと膝が震えていたので、看護師さんが足下に湯たんぽを置いてくれた。

その後は、約1時間ごとに看護師さんが部屋に来て、血圧と体温を測る。ときどき医師もやってきて、ショックの原因となった薬や、飲んだ状況、病歴などを確認していく。今回の事故を国に報告するそうだ。
 救命救急センターの看護は非常に丁寧だ。点滴ひとつとっても、患者の扱いが全然違う。夫が入院したときは、点滴パックが空っぽになっても誰も取り替えに来ない、ということが結構あったのに(なくなったらナースコールを押せ、と言われていたそうだ)、ここはまず点滴パックを設置する台にアラームがついており、ちょっとでも管が詰まったり、量が少なくなったりすると、すぐにピーピー鳴り出して、看護師さんが飛んで来る。長いことピーピー鳴りっ放しになったりすると、看護師さんが「すみません」「ごめんなさいね」と謝ってくれる。しかもなぜか美人ばっかりだ。シフトの交替のときは、必ず名札を見せて「日中の担当となる○○です」と名乗ってお世話してくれるのも気に入った。

最初の日は絶飲食で、夜になって担当医が水くらいは飲んでもよい、と許可が出たが、食欲も渇きも感じなかったので、翌朝まで何も摂らなかった。お腹が鳴ることもなかった。朝は水を一杯飲ませてもらい、うがいもさせてもらった。水くらい、さっさと飲んでもよかったのだが、飲みたくなかったのには理由がある。
 何しろ部屋から一歩も出られないので、トイレにも行けない。ポータブル・トイレで用を済ませるように言われた。何も飲み食いしなくても、点滴液は体内に入っているので、恥ずかしくてもたまにはトイレを使わなければならない。それがいやで、できれば余分な水分は摂りたくなかった。よくないことだったかもしれないが、なるべく回数を控えるようにしていた。
 使った紙は医療廃棄物となる。そのうち関東大震災がやってきて、バイオハザードなんてことになったら、あの紙が東京を汚染することになるのだろうか、なんてことを考えた。

消灯時間が過ぎても看護師さんは様子を見に来てくれる。起きたときだけ血圧と体温を測りましょうね、と言ってくれたが、年をとると環境の変化に敏感になるのかもしれない。看護師さんが入って来ると自然に目が覚める。看護師さんのスニーカーがきしむ音、ノック式のボールペンをクリックする音などで容易に目が開いてしまうのだった。それに、病院というところは、意外とうるさい場所であることがわかった。点滴のアラームだけでなく、何に反応するのか、モニターもすぐに音を出す。熟睡するのは至難の業だ。

翌日には退院できると思っていたが、教授回診の際に教授が「やはり大事をとって48時間は観察すべきだろう」とおっしゃったようで、もう1日入院となった。仕事が気になったが、携帯電話は救急車を頼んだときに家に置いたままにして来たし、第一病室から出られないのでは電話はできない。面会時間になって夫が来るのをジリジリと待っていた。

2日目の夜10時頃、重症の急患が来て、元気になった私は4人部屋に移された。正面には気管に挿管され、手にぐるぐると包帯が巻かれた人が寝ており、右側には骨折から感染を起こしたらしい人、斜め右奥には呼吸困難の老婦人がいた。なるほど、ここは救命救急センターなんだな、と改めて納得。重症の人ばかりがいるのである。

食事も摂れるようになり(薄味でなかなか美味でした)、自力でトイレに行くのも許され(ただし尿量は測らなければならない)、ベッドに寝ているのが不自然になった頃、ようやく退院させてもらった。2週間後に必ずアレルギーの検査をするように、とのことだった。今までも何度か検査をしていて、何も出たことがないのだが、もっと精度の高い検査法があるそうだ。薬は飲まないに越したことはないが、急な伝染病の流行などで、どうしても服用しなければならない場合もあるので、きちんと知っておかなければならないと言われた。

最近、某薬剤に関して問題が生じており、退院して家で休んでいると、テレビでしつこく報道しているようだ。だが、その報道の仕方には少々疑問を抱いた。
 強烈な作用をもつ薬がホイホイ処方されるのであれば、これは改善してほしいし、薬効より副作用や有害事象のほうが大きいとなれば、薬剤の認可を取り消すことも検討しなければならないのは当然だ。
 しかし、まるで毒薬のような扱いで、いたずらに市民の不安を煽るような扱い方は、いかがなものかと思う。その薬剤が必要な人々を怖がらせて、服用せずに病気が悪化、などということになったらどうするのだろう。
 ペニシリンが使えるようになって、感染症で亡くなる人が激減したのは事実だが、ペニシリンによるアナフィラキシー・ショックもまたよく知られている。どんな薬であれ、何らかの副作用があるものだ。特定の薬剤を攻撃するだけでは、問題は解決しない。薬で入院沙汰になった自分が、そう思う。

ところで、ふと考えたのは、今回私が受けたような治療法がなかった時代、食べ物や植物の毒にあたってアレルギーを起こした人たちは、きっと発疹や顔貌の変化によって、差別されたりいじめられたりしたに違いない、ということ。アナフィラキシーが起こっているとき、体の内側でバリバリと血管が怒張するのが感じられたが、『ヴァン・ヘルシング』の変身シーンを地でいっているようなのだった。狼男や魔女の類いは、実はアレルギーをもつ人たちだったのかも。
 あるいは、自分のアレルギー体質を利用して、占いや神事に利用した者もいるかもしれない。薬物・毒物に精通していれば、ほんの少し摂取して、軽いショック状態を作り出すことができたかもしれない。顔や声が変わるのを目の当たりにして、信者たちは神様が降りてきた、と思ったのじゃないだろうか……。
 恐らくは、もうすでに誰かが同様の説をもっと立派な根拠をもって論じていることだろうが、いやぁ、あのときの自分の顔は、ホントに凄かった。二度とはしたくない経験だ。多少難ありでも今の顔がいい。現代医学のおかげで助かった。治療してくださった医師、看護師の皆さんに改めて感謝の気持ちを伝えたい。
by slycat | 2007-03-02 00:07 | 日常のこと
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