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過去よりも今が幸せ
当初の予想どおり,モヤとナダルはQFで対戦することになった。ようやくフルで試合が観られると息子は大喜びであるが,観たいような観たくないような。どちらを応援すればよいか,わからないじゃないの。
6月4日付のモヤのインタビューを読んでみると,まぁ最初は選手なら誰でも言いそうなことを言っている。 「ラファと闘うことになるとすれば,素晴らしい試合になるだろうし,お互いどちらにとってもタフになるだろうね」 ベスト8の中で30代はモヤだけ(以下,訳文かなり怪しい……)。 「僕がドローで一番若い選手だったときのことはいまだに忘れない。時が経つのはとても速くて,それに気づいているのは一人だけ(??)。でも今一番年をとったプレイヤーであることを誇りに思うし,僕の前にはまだもっといいテニスがあると思う」 「若いときには,今の自分みたいでいることに価値を見出さないものなんだ。(最年長プレイヤーとして?)グランドスラムで最後の8人に残ったことは僕にとってはとても名誉なことだよ。だから今のほうがもっと楽しんでいる。22,23歳の頃,僕はトップ10で,ローランギャロスのQFにいるべき選手だった。今はトップ20なんだから,ここにいるのは凄いことだね。僕は若い頃と違っていることを楽しんでいる。トップ10でも,無理矢理QFにいなければならないなら,それはあまり意味がない。今ここにいる何者かであることが凄いんだ」 「(10年前優勝したときは)うまくプレーできていると感じていたけれど,ほかにも順調な選手はたくさんいた。リオスを倒したことで,大会を通して勝てる自信が出てきたのを覚えているよ」 「今は1998年とは状況が違う。今がテニス人生最後の何年かだということはわかっている。だから僕はもっと楽しもうと思っているよ。20歳の頃は自分のキャリアの終わりがいつかなんて考えもしない。今は,あと何回パリに来るチャンスがあるかなと思うことがある。だから今僕がやっているのは,楽しもうとすることさ」 フェレールの帰国で終わりを告げた例のプレステ・マッチについては, 「4人で集まってゲームをするときは,とてもいい雰囲気だよ。テニスの試合だったら緊張するけれど。楽しむのはいいことだよ。ここにいるとプレッシャーが多いから,テニスのことを考えないための方法のひとつなんだ。僕らがちょっとリラックスするためにはいいことだと思うよ」 結局,彼らが何を賭けてゲームをしていたのか,ついに明かされることはなかった。 記者会見が行われたのは,まだナダル対ヒューイット戦の結果が出ていなかったため,「次の対戦相手はナダルだけど,どう?!」という先走る記者たちを何度も諫め,「ラファはまだ勝っていない。ヒューイットを尊敬しているし,彼は偉大なチャンピオンだ」と諭していた。 ふだんは親しいモヤとナダルだが,いざテニスの試合になったら「コートの上では友達はもてない。つまり、敵(対戦相手)は自分より多くのポイントと賞金を稼ぐことになるだろう,友達っていうのはそういうことはしないものだよ」。 「だけどコートの外では,僕らは友達だよ」と言った言葉を捕らえて「それでもプレーステーションでは打ち負かしたんでしょう?」と突っ込んだ記者に,「コートの上と同じこと」と切り返したのはさすがである。 何年か前は,燃え尽きたと感じていたという。バックハンドを何とかしなければ,と悩んでもいたそうだ。しかし,そろそろ引退を考える年齢に至ってまた調子が戻り,勝ち進むようになってきたことを彼は心から楽しんでいる。いや逆に,あるがままの状況を楽しめるようになったことが,彼に勝利を引き寄せたのかもしれない。 モヤとナダル,2人の出身地マヨルカ島ってどんなところなんだろう。陶器で有名,ということくらいしか知らない。沖縄本島の3倍くらいの面積らしいが,その島から,2人も全仏優勝者が出るって,凄い確率じゃないか。 その島に生まれ育つと,みんなナダルみたいに素朴な少年になり,モヤのように現実を見据えた大人になるのだろうか。もしそうなら,グランドスラムで優勝するより,そちらのほうが凄いことなのかもしれない。
by slycat
| 2007-06-05 15:52
| テニス
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